台湾放浪記~恆春から高雄へ(12/30)

恆春で迎える2日目の朝は、宿のオーナーさんが買ってくるサンドイッチの朝食をお断りし、お粥を求めて町に出る。

しかし開いている店はポツポツあれど、お粥を提供している店が一向に見つからない。よもや台湾の朝にお粥を見つけられないとは考えてもみなかった。
恆春におけるお粥とは、私が忙しい時に限って電話してきて、用事がある時には全く連絡の無い間の悪い某社の営業マンのような存在なのかもしれない。

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やっとみつけた魚皮粥60元。
魚はやはりサバヒーである。

台湾南部の朝はこうでなくてはいけない。

さて、ホテルに戻り荷造りを済ませ、オーナーさんに挨拶をして、世話になった御礼に彼が好きだと言っていたハイネケンの6パックを渡す。
一旦は固辞されるも(流石台湾人w)無理矢理押し付けさようなら。
再見!
昨夜酔った彼が言っていた「中国人とは言葉は通じるけど心が通じない、貴方とは言葉は通じないけど心が通じている」という内容の言葉がなんとなく甦る。
恐らく私が恆春の地を再び踏むことはまずないだろうが、再訪の機会があればまたここに泊まりたい。

さて、バスに2時間ほど揺られて台鐵高雄駅へ。そこからMRTという名の地下鉄で市議会駅へ。

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ウォシュレット完備に惹かれて予約したバックパッカーには分不相応な四つ星ホテル、高雄アンバサダーにチエックイン。
前日までの宿との落差が激しいが、ナーバスな私の肛門が速くも悲鳴をあげ始めていたこともあり、この選択は我ながら最高だ。
しかも何故か戯れに見ていた楽天トラベルで、アゴダやExpediaと比べると信じられない程に格安のプランを見つけてしまったのである。

一息ついたら高鐵高雄、左營駅までMRTで行き、バスに乗り換える。

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向かったのは仏教アミューズメントととも呼ばれる佛光山佛陀紀念館だ。

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呆れるほどの巨大な仏像、その建物の中には仏教博物館。
更には4D上映の「仏陀の一生」なるフィルムもある。
確かに奈良や鎌倉の大仏、バンコクのワットポーにある寝釈迦仏など、大きさ故に心奪われることもあるけれど、なんだかこの寺はハリボテ感が否めない。

特に最近タイを旅してきたばかりなのである。
大乗仏教上座部仏教の違いはあるが、キンキラキンのワットマハタート・ドーイステープという私にはド派手で一見悪趣味に見えた寺でさえも、もっと感じ入るものがあった。
タイでは仏教は人々の生活の中に強く根付いている。
一方、日本に置いて仏教とは国教と呼ぶには抵抗があるぐらいの浸透度だけど、寺仏に対する敬意と、時の洗礼による重みは相当なものだ。

仏作って魂入れず。という言葉が頭を掠める。
おそらく歴史の、時の洗礼がこの寺に重みを与える時に、今とは違う姿が見えるのだろう。
私は今生では二度と来ることはないだろうが、来来来生あたりで再訪してみようと思う。

ビールを買って一旦宿に戻り、さて今宵の食事はどうしようかとネット検索などをしていると、地元の人に大人気の鴨肉飯店を発見した。

初日の夜は鵝肉、2日目は鴨肉冬粉、更には宿のオーナーさんがご馳走してくれた鴨のモモ肉、これは今日も鴨肉いっとくべきでは!?

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MRTで一駅のところを20分歩いて到着。

「!!!」

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わかるかな~?
約40人が並んでいる。

私は諦めて、他の店に行こうと思ったが、昨夜オーナーさんにご馳走になった鴨肉と、行列を避けて私が恆春食べた鴨肉冬粉の味の違いを思い出し、並ぶことにした。当たり前だが人が並ぶのには理由があるのだ。

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しかし思いの外回転が早く、20分程で私のオーダーする順番に。
メニューは壁に貼ってあるだけ、当然英語のメニューもなく、私は筆談で「鴨肉飯小、下水湯、BEER」と伝える。

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「!!!」
なんだ、これ?
旨い!いや、旨すぎる。

牛肉湯とサバヒー粥を食べるためだけに台南に行きたくなるように、バビグリンを食べるためだけにバリ島に行きたくなるように、ブンチャーを食べるためだけにハノイに行きたくなるように、今後私は鴨肉飯を食べるためだけに高雄に行きたくなることであろう。

私は大満足で店を出ると夜の高雄の町をあてもなく散歩し、ホテルに戻って四つ星ホテルならではの浅くて長い浴槽に湯を張りゆったりと湯に浸かった。
気持ちがよい。
風呂から上がりビールを飲みながらのんびりと読書を楽しんでいたのだが、いつしか深い眠りに陥り、翌朝たいそう驚くこととなる。