台湾放浪記~狂乱の宴(12/29その2)

夕食時の恆春の町。
レストランの人気不人気の格差は激しく、満席の店と空席だらけのコントラストは見事なものだが、ひときわ目立つ大行列。

イメージ 1


鴨肉の店のようだ。
そう言えば看板に鴨を掲げる店が多いような印象、もしかしたら恆春の名物料理なのかもしれない。

しかしこんな大行列に加わる気も起きず、放浪していると適度な混雑具合の鴨肉店を発見。

イメージ 2


ピンぼけだが、冬粉とは春雨の麺のこと。
入口で肉類をオーダーし、冬粉の有無を告げ、持ち帰るか奥の店内で頂くスタイル。

イメージ 3


モモ肉は「時価」と、まるで銀座の寿司屋のような表記だったけど、締めて185元ですからね。
小骨が多いけどとても旨く、大満足。
と言いたいところだけど、ビールがなかったから中満足だな。

足りない最後のピースを補おうとコンビニでビールを買って宿に戻ると、オーナーさんが中国人宿泊客たちとBBQを始めるところで執拗に誘われた。

読みかけの本が中途半端だったし、シャワーも浴びたいし、とにかく早くビールも飲みたいし、後で合流すると告げて一旦部屋へ。

1時間ぐらい遅れて合流すると、既に宴は狂乱の様相を呈していた。
空いたビールの缶の本数がとんでもなく、オーナーさんもかなり酔っている。
オーナーのお兄さんと息子さんがホスト役、あとは北京から来たという親子連れだ。
その中国人一家の中学生ぐらいの息子さんが流暢な英語を話し(インターナショナル・スクールに通っているとか)、冒頭で通訳をやってもらって助かったのだが、シャイなのか日本人が嫌いなのか、直ぐに宴を離れて部屋に引っ込み、何かを食べたいときだけまた加わるという感じ。
しかしオーナーさんはスマホGoogle翻訳アプリを駆使して自身の中国語を日本語に翻訳、その少しおかしな日本語訳を見て私が英語で答えるという回りくどいコミュニケーションでお互いに頑張った。それでもなんとかなるものである。

私が、夕食に食べた鴨肉が旨かったと写真を見せると、あそこは大したことない、行列が出来ていた店の方が遥かに旨い、と言い始め、おまえに食わせるから待ってろ、と息子を買いに走らせた。
もうお腹一杯だし、気持ちだけで有り難いと告げるも取り合わず、Googleアプリで「私はあなたに食べて欲しい」「私はそういう人間です」みたいな文章を見せられと、観念するしかない。

ことほど左様にたまに見られる台湾人の熱いホスピタリティとは、とにかく凄まじいのだ。

イメージ 4


唖然とするほど山盛りの鴨のモモ肉がやってきた。
確かに旨い。とくに皮目が最高である。

御礼にビールを買いに行く、と席を立つと肩を押されて押し止められ、代わりにお兄さんがコンビニに走る。

イメージ 5

警戒心を解かない猫も鴨肉を貰いに寄ってくる。
手に乗せて食べさせようとしても寄ってこないが、放り投げたらむしゃぶりついていた。


こうして狂乱の宴は深夜まで続き、酔いと疲れも手伝って眠くなった私は23時頃に引き上げると、そのまま部屋で昏倒した。