家なき子…11/3開成フォレストスプリングス

2007年9月16日。30度を悠に超す猛暑の中、容赦なく照りつける日差し(よりによって快晴)を全身に受け生命の危機に直面しながらも(決して誇張ではない!)殆ど休む事無く釣り続けた前回。にも関わらず僅か6匹の釣果に終わり大惨敗を喫した悪夢のような思い出。
“涼しくなったらリベンジを”との思いを胸に抱き続けてきたが、いよいよその時が来たようだ。

5:40出発。予想以上に交通量の多い東名道(管釣りベスト・シーズンだからか?まさかね。)、途中2キロの渋滞もあり予定よりやや遅れ気味でオープンに間に合うか微妙だ。『今日はやけにここで降りる車が多いなあ』と思いながら大井松田ICを降りたのが6:50近く。(管釣りベスト・シーズンだから皆開成に行くのか?まさかね。)7時ギリギリに滑り込み、3号池の2号池入り口近辺に釣座を構えた。

曇り空で日差しは全く無く、ほんの1月半前の前回とはうって変わって肌寒いくらいだ。先週は白河FSにて豪雨の中対峙した林養魚場のマスども。酷暑も豪雨も乗り切った今の俺には恐れるに足りないぜ!
散発的にライズが発生し雰囲気的には悪くない。
NOA2.6サンスイ・オリカラからスタート。反応が無い為、ドーナ2.0、BUX2.5、オリエン4g、鱒玄人2.0と手を変え品を変えタナを変え探る。

…。1時間経過。

……。2時間経過。

………。3時間経過。

釣れない!アタリも殆ど無い!
場所を移動しようかとも考えたが、とにかく1匹釣ってからだ!

…。4時間経過。流石に焦ってきた。

とにかくタナもカラーもまるで絞り込めない!表層付近に多くの魚が見られるが、そいつらは食い気がまるで感じられない。一方深い所を探ってもアタリがまるでない。魚影は決して薄くは無いし、水温だって適温のはず。それなのに周りもあまり釣れていないようだ。

先週白河でドナを釣った鱒玄人2.0満月ホタルに思いを託し、キャスト。
ゆっくりゆっくり巻いているとラインが左にずれた!あまりにアタリから遠のいていた為反応が遅れたがフィッシュ!しかしホッとしたのも束の間、バラシちゃいました…。

無情に鳴る正午の鐘。「午前券のお客様は終了のお時間です。」のアナウンス。俺の左に陣取っていた二人組みはボウズと1匹という貧果で切り上げて行く。って危ねえ!俺も午前券にしてたらボウズだったじゃないか!1日券を買っておいて良かった。
飲まず食わず出さず(トイレも行ってない)で挑み続けた5時間、1匹も釣れなかった。ここまで苦戦したのはボウズを経験した忌まわしい白河での釣行以来記憶が無い。

初心に帰り、俺に初めてスプーンの楽しさを教えてくれたALF2.7を片っ端から試すことにした。新商品目白押しの管釣りスプーンの中にあって、オーソドックス過ぎる形、ウエイトの割りに出ない飛距離、少ない色数、はっきり言って少々古臭さも感じるこのスプーン、最近出番が減ってきているのは確かだ。しかし俺は未だにこの不器用で男気を感じるルアーを偏愛しており、どこの管釣りに行っても必ず1度は使うことを自身に義務付けている。そしていい時にいい仕事をしてくれるのだ。

黒→赤→カニミソとローテし次に選んだのがマイルド・グリーン。1投目でいきなりラインが張った!すかさずアワセるとドラグが激しくなる!正真正銘フィッシュ!強い引きだ!苦労が大きかった分喜びも大きいというもの。しゃがみこんでファイトを楽しみつつ慎重に寄せる。すると…。
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背びれにルアーが刺さったブラウン。初期アタリをキッチリかけたつもりがまさかのスレ掛かりだったとは…。

午後一で放流があったものの、特にポンドの活性が上がったようにも思えない。
足元に目をやると、丸々と太った2匹のドナルドソンがじゃれあうように泳いでいる。これってもしかして産卵床を作っているのでは…。で、作戦変更!産卵期に入り縄張り意識を持っているであろう大物夫婦があちこちにいるに違いない!そいつらをミノーで刺激して口を使わせてやる!
リッジ56sをチョイス、着水直後から激しくトゥイッチを入れてアピール、ライン・スラックを取る程度巻き、極力同じ場所でルアーを操る。
何度かアタリは感知できたがフッキングまで持ち込めない。そういえば過日鹿島槍にて読んだ雑誌で村田師匠が魚体をいたわる為にプラグ類のフックの数に制限が無いエリアにおいてさえ、テールにワン・フックしかつけずに釣りをされていた姿に感銘を受け、俺も全てのプラグをワン・フックにしたばかり。その影響もあったか?腕が違うのにスタイルを真似たのが凶と出たのかもしれない。でもいいの。私、村田師匠のスピリットを大事にしたいのよ。(何でオネエ言葉になってるんだ?)

プラグ使用に迷いが生じた為、再びスプーンに。最近使っていないようなスプーンも次々試そう!とレオンの黒(ピンクマーカー入り)をチョイス。これで中層をゆっくり引いていると、ラインが張った!しっかりアワセ!しかしファイトの最中にフッと重みが消えた…。痛恨のバラシ。ピック・アップしたルアーを見ると、魚の口の一部と見られる物体がフックに刺さったままだった。渋いが故にアワセが強すぎ、更には竿をあおって追いアワセまで入れた為にどうやら魚の口が切れてしまったようだ。





以上だ。







以上?








えっ!?
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「これ、ボウズじゃないですか、ご主人様!?」(実家の猫・談)

そう。紛れもないボウズだ…。
熱中症になりそうな酷暑の中、小雪ちらつく厳寒の中、大量のスギ花粉舞う俺の最悪シーズン、僅か2時間のイブニング券釣行、渋いと言われるこの釣り場でどんな悪条件だろうとも俺は釣ってきた。今年だけでも23回目、トータルでも30回位は通っているホーム・開成でまさかこんな事になろうとは…。

辺りが薄暗くなった16:40過ぎから、俺は肛門がムズムズし、何度か訳もなく勃起し、手が震えた。もしかしたら涙も浮かんだかもしれない。あってはならない状況に、精神が極限まで追い詰められたのだろう。ハタから見たらきっと辞任直前の安倍晋三元首相のようだったのではないか?

こんな体たらくで、こんなミスボラシイ真似をして、それでも尚ここをホームと呼ぶ資格が俺にあるか?答えはNO!である。
すぐにでもリベンジに行きたいところだが、まずは自分なりに反省と振り返りを行い、その上でしっかり対策と課題を持ってから次回に臨みたいと思う。この屈辱をバネに、俺は更に伸びるよ!大毅、お前も頑張れ!
今後暫くは俺はホームを持たない「家なき子」として釣りを続けていく所存である!

同情するなら金をくれ!
同情するなら金をくれ!
同情するなら…(哀しくフェード・アウト)


【釣果】
0匹

【タックル】
ロッド:レスターファイン X-STREAM 63SUL
リール:05TWIN POWER 1000PGS
ライン:GT-Rトラウト・ゴールド 3.5lb


【ヒット・ルアー】
…。

【本日の総括】
こうして記事にするのも腹立たしく、書くことが辛かった。
帰りの道中、事故を起こさない様にカーステで大爆音で好きな音楽を鳴らし、ともに口ずさみし激走した。やっぱり音楽っていいですね。
カーステを聴きながら色々な思いが頭をよぎる。

MY BLOODY VALENTINEの名曲「SOMETIMES」、この曲ほど夜の東京の街をドライブする時にハマル曲はないと昔から思っていた。そういえば、映画を全く見ない俺に映画好きの友人(仮にA君)が過日貸してくれたDVDの中に、ソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」という作品があった。映画は見たことないが、この作品のサントラはマイブラのケビン・シールズが新曲を引っ提げて参加したということもあり持っていた為、興味津々で見た。映画自体は俺の琴線に触れることなくあまり楽しめなかったのだが、東京を舞台にしたこの映画で、主演(なのかな?)の女性が夜タクシーを拾い東京の街を走るシーンで何とこの曲が使われていたことが強く印象に残っている。見事な選曲だと思う。
そしてRADIOHEADだ。

俺が生涯で最も衝撃を受けた作品といっても過言でない97年発売の3rd「OK COMPUTER」。初めてこの作品を聴いたとき、自分がどのようにリアクションして良いか分からなかった。暫くの期間、来る日も来る日もこの作品だけを聴き、他の音楽は一切聴かなかった。
ある雨の土曜日の午前中(そういえば梅雨だった)、5曲目の「LET DOWN」だけを歌詞を見ながら何度も何度も聴いていた。歌詞の意味はまるでわからず、地味なこの曲に自分が何故魅かれるのかもさっぱり分からなかった。その時に電話が鳴り、それは病院の母親からで、闘病中の祖父が死んだ事を知らされたのだった。
その年の暮れには勤めていた会社が倒産した。
個人的に激動の年であり、その年にリリースされたこの90年代最高のロック・アルバムは作品としても見事であるだけでなく、俺の個人的な思い入れと相まって以降長らく俺のアルバム・チャート1位に君臨する事となった。

しかし、この傷心の東名ハイウェイでこの2作品(LOVELESSとOK COMPUTER)をたまたま聴き較べて、俺は91年発売のLOVELESSがいまだに当時の輝きと衝撃を持ち続けているのに対し、OK COMPUTERは当時より色褪せて聴こえる事に気が付いてしまった。これはあってはならない事だ。

「何故だろう?」テツ&トモ(どこへ行った?)の如く俺は疑問を投げかけ、そして道中考え続けた。

OK COMPUTERの次に、RADIOHEADは「KID A」という途方も無い怪物アルバムを作ってしまった。この作品を聴いた時、あまりの訳の分からなさ加減に俺は戸惑い、『RADIOHEADはもう終わった』などと思った。なんとか理解したくて片っ端からインタビューを読んでも何の助けにもならなかった。
でも、今ならトムが当時語った「川の流れをただじっと見ているような無自我」というイメージがよくわかる。何故なら俺も色々と取り返しの付かない年齢になったから(或いはなったことを自覚した)だ。
これは本当にとんでもないアルバムだ。冷静に考えれば、俺にとって「OK COMPUTER」を凌駕してKID Aがナンバー・ワンになっているのかもしれない。今間違いなく彼等の作品の中で俺が聴く事が多いのは「KID A」だ。(KID A以降の2作品はこれからマイ・ブームが来るかも知れないが…。反応遅っ!)

一方MY BLOODY VALENTINELOVELESS以降作品を発表していない。

「KID A」を作る事で「OK COMPUTER」の“先”を提示したRADIOHEAD。一方LOVELESSを消化して先に進むことができなかったMY BLOODY VALENTINE。道程なのか最終地なのかの違いが、この2作品に対する俺のリアクションになっているのだと思う。俺にとっては「KID A」が「OK COMPUTER」を風化(言葉が悪いが他に適当な言葉が思いつかない)させたことになる。

その上で改めて自分に問う。
自分にとって最も重要な90年代の作品は?
今なら「LOVELESS」だ。
自分の生涯で最も重要な作品は?
わからない。

などと考えていたら家に着いた。
音楽のお陰で辛い今日から逃避できたってわけだ。

そしてこんな考察でも入れなかったらとてもじゃないがこの記事をアップする気にはなれなかったね。

大物を沢山釣り上げることでしかこの傷は癒せない。
となると、次は……。