バビロン再訪…10/19BIG FIGHT松本

あれから約2ヶ月。絶対にまた行きたいと思っていた。でも、まさかこんなに早く再訪できるとは夢にも思わなかったな。
そこでの思い出を風化させたくないからこそ、このブログを立ち上げるに至ったMOTHER EARTH、BIG FIGHT松本。10日程前に急遽飛び込んだ札幌出張に併せ、様々な障壁を無視し相当な無理をしつつ再びその地に立った。札幌に来るのは今年最後であろうこのチャンス、何物にも俺を止めることは出来ない!

前日(17日)は夜中まで仕事とそれに伴う飲み。深夜2時に帰宅してから出張及びタックルの準備を済ませ、殆ど寝ないままに朝5時半に家を出て7時羽田発の札幌行に乗り込んだ。夕方に仕事を終え、すすきのの夜を満喫することなくラーメンをすすり直ぐにホテルにチェックイン。部屋でサケトバを肴にビールと赤ワインをがぶ飲みし、日本ハムのリーグ優勝を確認するとほぼ同時の9時半頃意識を失った。翌朝目覚めれば5時。空がうっすらと白み始める中ホテルを早々にチェック・アウトし、近隣の24時間営業のレンタカー・オフィスの門を叩く。(って実際には自動ドアですよ、勿論。)聞けば峠道は凍結の恐れがあるということで(!)スタッドレス・タイヤの車を借りて出発。

既に本格的に紅葉が始まっている山道。景観は素晴らしく、のんびり走れば気分の良いドライブ・ルートだが俺は黙々と先を急ぐのみ。7時20分にBIG FIGHT到着。先行者はゼロ。前回の野外受付は無人。『あれ?まさか本日休業とか…?』周りを見渡しても人の気配はまるでない。どうしたものかと思ったが、受付に人が居ようが居まいがそこに魚が居る限り俺は釣らねばならぬ。とりあえず例の野外便器で小便を済ませタックルの準備にとりかかる。すると程無く「おはようございます~。」と確かに聞き覚えのある声が背後より聞こえてきたので振り向くと、前回大変お世話になったおばさんが駆け寄ってきた。「寒くなったので受付はあの建物の中になったんですよ。」と自分が走ってきた方角の建物を指差す。“受付”など何処にも書いていない大きな平屋建ての建物、これでは気付くはずも無い。早くも超然たるここの唯一無二さ加減にヤラレ気味だ。タックルの準備を終え、さあ実釣開始!と思ったら、おばさんが「そのブーツじゃ無理よ!あなた長靴持ってないの?」と俺の足元をしげしげ見ながら問いかける。俺は「勿論そんなの持ってないですよ。前回来たときもこの靴でしたし。」と答えると、「夏より相当水位が上がっているから長靴が無いと移動も出来ないですよ!」「えっ!!!」呆然と立ちすくむ俺。すると「あなた靴のサイズは?貸してあげるから!」というわけでご好意に甘えニーブーツをお借りした。
「昨日はまだ暖かかったけど、昨晩から急激に冷え込んだから今日は魚はまだ目覚めていないと思いますよ。主人が奥の池から餌やりしてるから、奥の方から始めるといいですよ。」とアドバイスをいただきつつ、いざ戦場へ!
信じ難いことに、この広大なBIG FIGHT松本が貸し切り状態だ。景色の素晴らしさと相まって真剣に感激し、直ぐにポイントには入らず、しばし感動を噛み締める。
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“ここに今自分がいる”ということだけで単純に嬉しい。

でも俺はここに観光に来たのでない!いつまでも感慨に耽っていないで釣りを始めよう。おばさんの助言を無視する形にはなってしまったが、奥には行かず受付から近い4号池からスタート。だってペレット撒かれて活性が上がったトラウトを掛けたって面白くないじゃないか!数釣りだったらこの前鹿島槍ガーデンで十二分に堪能した。ここでしか出会うことのできない半ネイティブのトラウトに真っ向勝負を挑む為に来たんだ!

……。でも意気込みだけじゃ魚って釣れないのよ…。俺の新パイロット・スプーンCOMP2.3サンスイ・オリカラから始め、その後NOA、下駄、BUX、オリエンとタナを変えつつ色も頻繁に変えつつ広く探るも、アタリすらない。“昨晩から急激に冷え込んだ”というおばさんの言葉を思い出し、だんだん日も昇ってくれば活性も上がってくるだろうと悟りにも似た気持ちで竿を振り続ける。

開始から1時間程過ぎた8時半頃、ポンド内の魚たちが表層直下で回遊を始めたように隊列をなして泳ぐ様が見られるようになった。ややアピール強めのルアーで表層を攻めてみようと鱒玄人2.0ラッシュ・クロゴキをチョイス。対岸スレスレにキャストして着水と同時にゆっくり引く。同じ攻め方を繰り返していると、今日始めてラインが微妙に動いた!神経が張り詰めていたので瞬時に反応して竿を跳ね上げるとガッチリとフッキング!“ジジジジ爺ジジジジ時事ジジジジジジジ痔痔痔ジジジ時時慈ジ字~!”と異様にドラグが鳴る。『やべえ、ドラグの調整を忘れてたかも!』フッキングの過程と頭を振っているような感触が手に伝わることからスレ掛かりとは考えにくい。でも元のドラグの状態が分からないからどの位締めていいものか判断もつかず、とにかく高速でハンドルを回し続ける。1匹目から正に「BIG FIGHT」だ!
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開始から1時間10分、サイズはそこそこながら綺麗なレインボーをキャッチ。でもこの尾びれの大きさは何だ!

魚をリリースしリールのスプールを手で回してみると、アレ?むしろいつもよりドラグが固めになっていた。何という突進力なんだろう、ここの魚は!?鹿島槍での強烈な引きの感触がまだ両腕に残っていたにも関わらず、それを軽く凌駕する桁違いのパワーを見せつけられ、改めて道産子トラウトの凄まじさに恐れ入った。

すこしづつ移動しながら同じルアーで攻め続ける。小さいアタリはあるが小さすぎて上手くアワセることができない。さすがはキャッチ&リリースのBIG FIGHT松本、簡単には釣らせてくれないようだ。些細なアタリも見逃すまいと、ますます神経が研ぎ澄まされていく。
右側から水の音が聞こえ視線を送ると、いつの間に入ってきたかは知らないが、フライ・フィッシャーがいきなり釣ってる。負けてられない!ラインが少しでも怪しい動きをしたら片っ端からアワセていく。空振り続きだったが、何回目かでゴツンという感触が!またまたドラグがけたたましく鳴る!ビクン、ビクンと魚が頭を振る感触が伝わってくるのでスレ掛かりではなく完璧に口にかかっていると確信、自然に顔がにやけてしまう。それ程の重みは感じないが尋常でないトルクを感じるこの引き味、感嘆せずにはいられない!
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この色、この尾びれ、本州の管釣りではお目にかかれないようなレインボーだ。

渋い状況ながらも納得のいく方法で納得のいく獲物2匹を釣り上げ大満足。
で5つあるポンドの中で前回唯一攻略できなかった5号池へと移動、ここで釣ってこそ俺のBIG FIGHT遠征釣行は完結するというもの。4号池と5号池を結ぶ橋の役目を果たす岩は完全に水没しており、お借りしたニーブーツのありがたみを噛み締めつつ3号池寄りインレットに入った。
引き続き鱒玄人のラッシュ・クロゴキを投げる。僅か2投目でラインが張った!アワセも決まり、巻く巻く巻く!
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婚姻色がハッキリしてきているレインボーをキャッチ!

更に続けざまにもう1匹釣り上げたが、ネットの中でこいつが暴れまくり、ラインが魚体に巻きついてしまった。複雑に絡んでしまってなかなか外れない。素手で触ってこの綺麗な魚体を痛めるわけにはいかないし、このままの状態で写真撮ってる場合じゃない。で、水中で処理をしようとポンドに魚を戻した途端、いきなり暴走を始めてラインブレイク・・・。さようなら アタリルアーと レインボー。(五七五)

鱒玄人の他のカラー試すが、アタリがない。形よりもカラーに反応していたと判断、オリーブ系、ブラウン系のルアーを色々試すことに。
NOA2.6ブラオレ(タックル・アイランドのオリジナル・カラー)に変えて1投目、いきなりラインが張った!これまたとんでもない引きでドラグが鳴りっぱなし!駄目だ、抑えても抑えても顔がほころんでしまう。これでは完全なる変態じゃないか!やべえ「すげえ!」とか独り言まで言っちゃってるし・・・。我ながら気持ちが悪い。ネットインしたのはこんな凶悪な顔をしたレインボー。
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体は細身だが長い!しかも鮭みたいに鼻も曲がっている上、尾びれのでかさといったら!
アレ?でも良く見ると尾びれの上部が一部欠損しているではないか。それでこの引きだったのか・・・。こいつが完璧なヒレピンだったらどうなっていたのだろう?
秋になってトラウト達のパワーは増している。『今日こそは本当に竿が折られるかもしれないな・・・。』覚悟とも期待ともつかない思いが頭によぎるが、これは全くの杞憂に終わったのだった・・・。

見渡すと俺のほかにはフライの客が三人いるだけ。5号池に至ってはいまだ貸し切り状態が続く。これで1箇所に留まっていたのでは“もったいないオバケ”が出ちまう!というわけで徐々に移動しながらキャスト。同じNOA2.6ブラオレを流れに向かってキャスト。魚がひったくるようにルアーを咥えて反転するのが見えた!アワセる間もなく向こうアワセでフッキング!こいつがまたまた派手に大暴れ、身をくねらせジャンプを繰り返しさらに走る走る!ただならぬ様子に興味をもった他の魚たちがドンドン集まってきてしまい、さながらペレット・タイムのようだ。他の魚の歯でラインが切られるのを防ごうとなんとか強引に引きずり出そうとするも、引きが強すぎて思うようにならない。と、ブチっとラインブレイク。どっと疲れた。

気分を変えようと奥の2号池へ移動。
4号池と3号池を結ぶ通路は完全に水没しており、ここもニーブーツ無しでは到底通ることができない。ありがとう、おばさん!

さて、2号池だが透明過ぎるにも程があるだろっ!って位澄んでいる。摩周湖ってもっと澄んでるのかな?最深部で5メートルはあろうかという深さだが、底に横たわる倒木も、その陰に潜む魚も丸見え状態だ。先行して竿を振っているフライ・フィッシャーも全く釣れておらず、相当渋そうだ。
スプーン、クランク、ミノー、シャッド、何を試しても全く反応が無い。サイトで狙って魚の斜め後ろからルアーを引いても、追うどころか逃げやがる!最奥の1号池と行きつ戻りつしながら、なんとかこの超クリア・ポンドで1匹!と粘るも全く駄目だ。
2時間半程無益な戦いを続けたが、巨大スパイダーの襲撃を受けて(黒と白の不気味なクモが俺の右手は這っていやがった!)虫嫌いな俺の気力が完全に萎えたのを機に、3号池へと移動。しかしここも透明かつ渋い!更に足場が悪くキャストをするのに難儀だった為早々に見切りをつけて朝一で入った4号池に移動した。
3号池と4号池を隔てる水路を歩く。ここがエリアとネイティブを隔てる分水嶺であるかのように思える。1~3号の各池は、ロケーションも魚も管理釣り場とは到底思えないような池なのだ。俺の当面の目標は、「いつかアメリカ西海岸でネイティブ・トラウトをスプーンで釣ってみたい」というもの。大自然の中でその思いが高まっていく。

(またまた文字数オーバーの為、次の記事に続く。)