ミャンマー放浪記5日目~馬車でバガン(2019/1/1)

昨日軽くバカンの街を見た限りでは、馬車は少数派のようだった。
しかしねぇ、ここはバガン、利便性や趨勢よりも、情緒を重んじる必要がある。

前夜私はフロントにて馬車によるサンライズツアーを申し込み、出発時刻が5時30分と告げられた。
情緒を選択した見返りに私は後に酷い腰痛と臀部の痛みを引き受けることになるわけだが、それはそれとして。

私を迎えに来た馭者は70代と思しき細身の浅黒い枯れた男性で、その見た目は弊社のOBちょいワルH氏(仮名)を私に思わせるのだが、困ったことに2日前にインワの街でチャーターした馬車の馭者もちょいワルH氏(仮名)に良く似ていた為に私は心のなかで「ヒラオさん」と読んでいたのだ。
混乱を避けるため、彼のことは「ヒラオさん2号」と仮に呼ぶことにする。勿論心のなかの話である。

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漆黒の闇の中を馬車は走る。
私は馬を愛でる趣味はなく、馬を利用した公営の賭事を嗜むこともなく、むしろ馬肉が好きだったりするのだが、動力が生き物の、その息遣いと匂いを感じながら走る乗り物に揺られていると、何やら感じ入るものがある。何だろう?

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一昨年はベトナムハロン湾の船上で年を越したが悪天候で初日の出は拝めず、昨年は台湾の日月潭で年を越したが東の空だけ雲に覆われ朝焼けしか見えず、むしろ中国人観光客集団に蹂躙されて疲れ果て、今年ようやくここバガンで完璧な初日の出を拝むことが出来た。
最高の年になることが約束されたも同然である。

一旦ホテルに戻って朝食タイム。
ツアーは8時半に再開。

さて、ここから先は私の筆力では文章化出来ないので匙を投げることにする。

圧倒的な規模に圧倒されるしかないアンコール遺跡群、1000年もの長きに亘り砂に埋もれていた詠時感的に時への浪漫溢れるピラミッド型巨大仏教遺跡のボロブドゥール、それらに比べると一つ一つは小さな(あくまでも前二者に比較してだけど)バガン遺跡。
しかしこの地域に注がれた宗教的熱量は前二者に勝るとも劣らないのではないだろうか?
とにかく遺跡の数が尋常でなく、ヒラオさん2号によるとその数3000超。多くのパゴダは名前すら持たず、単に番号が振られているだけなのだそうだ。

これは昨年訪れたジョージアポルトガルでも感じられたことだけど、宗教建築に注がれた尋常ならざる熱量というのは、ある意味で異常だと思うし、だからこそ心が揺さぶられるのであろう。

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タイ様式、アンコール様式、ヒンズー様式(個人的見解です)、様々なパゴダと寺がある。
仏陀に帰依している訳ではない私でも、圧倒され、揺さぶられ、やはりこれは感動なのだろう。

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砂漠のような乾いた大地を馬車は走る。
これもまた心揺さぶられる体験である。

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砂漠の中の名もなきパゴダ群。

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13時に一旦観光を終えてホテルに戻りランチと休憩。
最も休息を欲しているのは私でもヒラオさん2号でもなく、馬であろう。

16時にツアーを再開。

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最後は高台に登ってサンセットを眺めて終了。
2017年の集中豪雨で、それまでサンライズとサンセットを眺める名所として機能していた大きなパゴダが一部崩落、それ以降危険と言うことで全てのパゴダに登ることが禁止されたのだそうだ。
その代わりに行政が人工的に日没鑑賞用として作ったのがこの丘なのだとか。
そう考えると情緒がないけど、パゴダ越しに沈み行く夕陽を眺めるというのは、なかなか良いものであった。

日出から日没まで。
バガンを大満喫。
ありがとう、ヒラオさん2号、そしてお馬さん。

翌日もツアーの残りをお願いして別れた。

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今宵は前夜のような年越しイベントなど行われておらず、静かなレストランで食事をしたが、こんなカレーがUS16ドル(税サ別)もした。瓶ビールは6ドル(税サ別)である。
バックパッカーにはバックパッカーの矜持がある。
そりゃね、夕食に3000円払う機会なんていくらでもある。
でも私はお洒落なカレーに3000円払うよりも、もつ焼きとホッピーを堪能して3000円払うことを好むのだ。
これは経済的理由のみならず、価値観と美意識と流儀の問題である。

やはり私はこのようなリゾートホテルに滞在する階級には属していないようだ。