大人の遠足・・・埼玉屋(東十条)

葡萄作りを学ぶために長野県に移住した我が酒朋・DDVセンパイ(仮名)と夕方から飲みの約束。

ワイナリー経営を目論んでいるセンパイにお土産のジョージアワインをお渡しすることが本来の目的だったのだが、賢明な読者諸氏はご存じの通り、私のワインはカタール・ドーハ空港で留め置かれ、再会は叶わなかったのである。

イメージ 1


土曜日の埼玉屋は16時に開店、と同時に暖簾を仕舞う一部制。
我々は14時45分に東十条駅で落ち合ったのだが、店の前は既に大行列が形成されていた。猛暑の中、その後もひっきりなしに好き者どもが現れて、一種異様な光景が。

定時に開店、我々は焼台の目の前という特等席に案内された。果たして並んでいた全ての人が入りきる事が出来たのだろうか?

大将の激情型劇場は健在。
一斉に入店した大勢の客を相手にしても、いつもと変わらぬ悠然とした手付き、そしていつも通りに口数も多い。
本物の職人とはいついかなる時もバタバタすることはないのだ。

一杯目、炎天下で一時間以上並んで喉カラカラの私はビール、長野では旨いホッピーが味わえないとお嘆きのDDVセンパイは生ホッピーをそれぞれ空け、2杯目以降はお互いにお約束の生レモンサワーにチェンジ。
レモンサワーの発祥は祐天寺のもつ焼ばんであるというのが定説だが、レモンサワーの終着駅は間違いなく東十条埼玉屋である。
ここより美味しいレモンサワーを私は知らない。
しかも一杯につきカットレモンを2個惜しげもなく搾るサワー、2杯目以降は同じグラスにどんどんレモンを追加していくスタイルなので、杯を重ねる毎に旨味が増すのだ。

お任せの串、大根とクレソンのサラダ、ポルコ(豚の耳を塩とオリーブオイルで)、煮込み、お決まりのフルコースを堪能したところで打ち止め。僅か2時間のみの営業で閉店である。

なんとこの日は大将が外に出てお客一人一人をお見送り。
センパイがワイン作りを学んでいる、というと大将が予想外の食い付き。
驚いたことにフランスにとても詳しく(今年も行かれるのだとか)、ワインへの造詣もDDVセンパイが驚くほどに深い。
ローカルルールも多いし、大将の接客も一癖(いや二癖)あるけど、美味しい料理と酒に拘る姿勢はポーズでも演技でもなく、心の底からの思いの現れであるのだと改めて思った。柔軟に、自由に、美味しいものは何でも取り入れる。
マニュアルなどない、本物のホスピタリティがここにはある。

すっかり満足した我々は、更なるディープな遠足を続けようと、京浜東北線に乗って赤羽を目指した。