房州らーめん(千倉)

ボウズが怖くてマハタが釣れるか!
と鼻息荒く千倉までやって来たのだが、ボウズ同然の貧果に終わると、その長距離ドライブの手間とコスト的に気分は沈むのであった。
そして釣れないのは誰のせいでもなく、むしろ誰かに問題があるとすればそれは私の腕前に他ならないというのに、優しい船長は「ごめんなさいねぇ」「ろくにお土産もなかったねぇ」「申し訳ない」と社交辞令ではない心からのお詫びの言葉をかけてくれるので、己の未熟さに忸怩たる想いがするのだ。

千倉に来たからこその楽しいことをしてから帰ろう。

私は不甲斐ない自分への慰めと、船長の優しさに報いる為に、千倉で一番美味しいラーメンをキーワードにネット検索して、代替的な解決を図った。

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ヒットしたのがこちらの房州らーめん。
一番人気、限定30食とある蛤満載の「房州ラーメン」をオーダー。

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傷ついた私の心を癒す、優しい塩味のスープが美味しい。
出汁の旨味で食わせるラーメン、その出汁が滅茶苦茶に濃厚なので薄味なのに輪郭がはっきりとしている。

申し訳程度のチャーシューはご愛敬、しかし千倉の豊かな海が産んだご当地ラーメン、大変美味しゅうございました。

私は個人的に千倉の海産物には心が揺さぶられる事情がある。
それは今は亡き安西水丸画伯の出身がここ千倉であり、村上春樹氏との対談で千倉の豊かな海と、俄には信じがたい海産物との距離感(ヒジキを拾って歯を磨いていた云々)を十代の頃に活字で疑似体験していたからである。

来て良かった。
それは千倉に来て良かった、このラーメン店にきて良かった、という二重の意味合いにおいてである。