年越しハロン湾

朝食を終え、よりによって部屋で大便を排泄している時に電話がけたたましく鳴り響いた。
慌てて済ませて受話器を取ると、ガイドが私を迎えに来ているという。

時計を見ると7時40分。事前にもらったメールでは、ピックアップは8時となっていたので油断していた。
急いで支度しチェックアウト、小走りのガイドに誘われて大通りに停めてあるバスへ。
その後市内のホテルを順繰りに巡り総勢16名が揃い、バスは一路ハロン湾を目指した。
ハノイから170km、途中休憩入れて4時間半の長い道のりである。

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沖に停泊しているクルーザーまで、Jolly Boatと呼ばれる小型船で移動。
乗り移るとまずは食堂にてチェックイン、部屋の鍵をもらいます。

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バス・トイレ完備の綺麗な個室。期待以上である。
まずは食堂でランチを。
大皿料理をテーブルごとにシェアするシステム、私はドイツ人4人組とジャン・レノに顔も声も髪型もよく似た一人旅のフランス人と同席。

そうそう、船と海を愛するワタクシ、このハロン湾の船で年を越すという贅沢な選択をした訳だが、一方でこれは大きな賭けでもあった。
つまりこんなハレの日にこんなシチュエーションに身を置いたら、私以外の宿泊客が全てカップルの可能性もあるのではないか?狭い船に逃げ場はないのだ。

しかし結果的には私の他上記のフランス人男性、そしてスイス人女性の一人旅、更にイタリアから来た親子連れもいた。ちなみにその他はアイルランドカップル2組、オーストラリア人カップル、東欧の言語らしき言葉で会話していたカップルという内訳の多国籍軍だ。

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食後はJollyに乗り換えて洞窟のある島に上陸。

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更にはシーカヤックなんていうアクティビティまで用意。皆さん短パンにサンダルなどに着替え用意周到だったが、私はジーンズにマーチンの8ホールといういつものロックスタイルで挑んだ。
ジーンズが濡れて早々に戦意喪失したが…。

さて、日が暮れたらディナーである。

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まずはみんなで春巻き作りから。
陽気なベトナム人ガイドが見本を見せ、次いでみんなで巻き巻き。

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こんなおしゃれな揚げ春巻きに変身!

夕食後は飲めや歌えや(なんと船にはカラオケ設備があった)の狂乱の宴へと突入。
そして12時近くに既に部屋で就寝していたイタリア人親子をガイドが問答無用で叩き起こし、ついにカウントダウンが!
3,2,1 HAPPY NEW YEAR!!!

宴は午前2時まで続いた。

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翌朝は6時に起き、デッキへ。
夜は雨も降ったようでデッキは濡れているし、頭上は辺り一面の雲。
それでも僅かな可能性を求めて私は初日の出を待つ。

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う~ん、朝焼けは見えたのだけど、日の出は拝めず。
残念だけど、船のデッキを独り占めして元旦を迎えたのはそれなりに贅沢な体験、これはこれで良しとしましょう。

朝食後はまたまたJelly Boatに乗ってビーチのある島に上陸。
ビーチバレーなどのアトラクションも用意されていたが、私はビーチのベンチでのんびりと読書を楽しむ。

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午前11時、本船含めて多くのクルーザーが一斉に港を目指す。
帰港直前の11:30には最後の昼食が提供された。

我々が島に上陸している間に寝室は掃除を終えて入れ替わりでやってくる宿泊客の受け入れ準備も万端である。

ハノイから次の客を乗せてやってきたバスに乗り込み、我々はハノイに戻る。
リア充たちに囲まれて孤立するという不安が無かった訳ではないが、結果的には楽しくて得難い経験をした1泊2日であった。

行きとは逆にそれぞれが宿泊するホテルの近くで一人、また一人とバスを降りていく。
共に新年を迎えたことでなんとなく芽生えた連帯感、多少の寂しさを感じる別れとなった。

まあいい。
まだ私はには3泊残っているのである。