ポカラへ(ネパール雑記)

ヒマラヤ山脈fromナガルコット。
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そもそもの誤算はこれである。

乾季ど真ん中のネパール、そして全室ヒマラヤ・ビュー、朝日も部屋から見えちゃう素敵なホテル、クラブ・ヒマラヤ・ナガルコット。

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カトマンズから離れて1日だけこの高級ホテル(と言っても1泊9000円弱だが)を押さえたのは、心ゆくまでヒマラヤを眺めたいと思ったからだ。

しかしナガルコットから眺めるヒマラヤは雲に覆われ僅かに山頂が見えるのみ。

ナガルコット遠征はそれなりに面白く、行って良かったことは間違いないのだが、ヒマラヤを見ずして(山頂だけ見ても見た内に入らない)日本に帰るなんて耐え難い。

私はカトマンズのホテルに戻ると、身なりも見た目もサンダーバードに出てくる人形によく似たホテルの陽気なフロントマンに相談した。

「確実にヒマラヤを見たいなら方法はふたつある」とサンダーバードは言った。
「ひとつはマウンテン・フライト(遊覧飛行)、もう一つはポカラへの日帰り旅行だ。」
「日帰り?」
私は思わず聞き返した。
購入したガイドブックにも、ネパール大使館のHPにも、ネパール旅行のモデル・プランには必ずポカラが入っている。風光明媚でノンビリした町だということは充分に承知している。
しかしバスで7時間もかかると知り、移動移動で慌ただしい旅にはしたくないとの思いから、敢えて旅のプランから外したのである。もしも行くなら次の機会だ、と。

しかしマウンテン・フライトがUS200ドル、ポカラへの日帰り旅行は往路がフライト、空港でガイドと運転手が待ち受けておりそのまま主要な場所を観光、その車でそのままカトマンズへ山越えドライブをしながら帰るコースで350ドル、サンダーバードは「ポカラは最高だ。そもそもポカラへのフライトが既にマウンテン・フライトだ。こちらを強くお勧めする。最高の旅を保証するぞ。但し天気以外はなwwwwww!」おいおい、笑えねえよ!
とは言えポカラの知り合いにその場で電話をかけてくれた。ここ数日雲ひとつない晴天が続いており、今朝もヒマラヤがくっきり見えたという。(このようにネパール人は陽気で親切な人が非常に多い印象だ。)

「・・・。わかった!明日はポカラへ行くよ!」
こうして私はサンダーバードの口車に乗り、クレジットカードを差し出した。
付加価値税、カード手数料を加えると、日帰り旅行の代金は日本円にして38000円を超えた。
貧乏旅行者の私にとっては、成田-台北間の往復航空券に匹敵するこの出費は金額的負担の大きさもさることながら、ある種の屈辱とも言えるものである。
しかし背に腹は代えられない。私はヒマラヤを見ないわけにはいかないのだ。

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Yeti Airlines。日本語で言うならば「雪男航空」といったところだ。日本にも「ツチノコ航空」とか「ヒバゴン・エア」とかあっても面白いかもしれない。
ちなみに航空券はフライトナンバー、出発時間など全て手書き、そして席はなんと自由席である。昔のアエロフロートのようだ。

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こんな玩具みたいな飛行機が本当に飛ぶのだろうか?
私は軽く死を覚悟した。

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シートは右2列、左1列のアンシンメトリー。
重量バランスは大丈夫だろうか?しかも右側がヒマラヤ側となる為勿論右側の席から埋まっていく。
いよいよ私は死を覚悟した。

飛行機は定時にテイク・オフ。
すぐにヒマラヤが見えてくる!

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翼よ、これがヒマラヤだ。

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僅か25分のフライトながらちゃんとコーヒーのサービスもある。
しかし飲み終わる前に着陸態勢のアナウンス。果たして全乗客に行き渡ったのだろうか?

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決死のフライトだったがアッサリとポカラ到着。

空港で私の名前を書いた紙を持って待つガイドと無事に合流、即観光の開始だ。

標高800mのポカラからまずは坂道を登り標高1500mの村、サランコットへ。
ここから眺めるヒマラヤが素晴らしいとのことだったが…。

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すげえ!
真ん中のひと際尖ったピークはまるでマッターホルンのよう、しかしマッターホルンよりも2000m以上高いそうで、しかも人類未踏だそうだ。

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水牛とヒマラヤ。

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町も見えます。

既に「来て良かった感」が半端ない。ありがとう、サンダーバード

お次は日本人が建立したという仏教寺院へ。

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こんな名前のお寺です。

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この寺からもヒマラヤが見える。標高は1200mとのこと。

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天上天下唯我独尊。

さて、町に降りて駆け足に観光は続きます。

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洞窟。

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滝。

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最後は湖に到達して足早の観光は終了した。
ポカラ空港に降り立ってから僅か4時間の短い観光、当然物足りないのである。

ちなみにガイドさんは釣りが大好きでこの湖でよく釣りをするとのこと。
今までに釣った一番大きな魚はどのぐらいだ?と聞いたら、15kgの大物を仕留めたというではないか!
そんな巨大淡水魚がいるの???
「友人は20kgの魚釣ったぞ!」なんて追い打ちもかけられ、これは1週間ぐらいポカラに滞在して釣りとトレッキングを存分に楽しまねば!という気になってきた。
ネパール、再訪決定。

昼食を済ませてからは陸路でカトマンズへ。
舗装の剝げまくった悪路で幾つもの山を越えるタフなドライブ。

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しかしこのように山間部に暮らす人々の様子を車窓越しに窺い知ることも出来、また風景も最高で空路では味わえない趣がありなかなか楽しい。

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乗用車は日本車が多いけど、トラックとバスはTATAというインド・メーカーのものが殆ど。
色彩がヒンズー的で、このトラック見るだけでなんとなくテンションがあがります。

寡黙な初老のドライバー、会話はポツリポツリという感じだったが、そう言えば航空会社の名前にYetiとつけるぐらいなのだから、ネパール人はYetiの存在を信じているのだろうか?私は「あなたはYetiの存在を信じているか?」と尋ねてみた。
「信じている。当然だ。」
これが一般的な感覚であるはずがないとは思うのだが、ここまで強く断言されるとツチノコヒバゴンと同じ次元で語るべきでないUMAだと言わざるを得ない。

フライト25分。
観光4時間。
帰路6時間。
代金38000円。

何かが間違っている感覚は拭えないが、このポカラへの日帰り旅行が旅のハイライトだったような気がする。

I'll be back!

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