千倉の哲人エピクロス釣行・・・4/16千鯛丸

時として釣人を哲人に変容させる魔の海千倉沖。

しかしこの日は快楽主義的イージーな釣りが待ち受けていた。

港では体感4~5mといった北東風。
しかしこの程度の風であってもこの風向きなら千倉沖は結構な波とウネリがある。
港を出ると、先日カマスを釣った庄治郎丸が早上がりを決めた頃の状況と似たりよったりな海況となっていた。

そして船長が決めたポイントは港前の根廻り、水深は10m程。

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海面から突き出た岩のギリギリを流す、緊張の操船である。

合図があって1投目。
着底してオモリを僅かに底を切り構えると、ガリガリっとオモリが根にこすれる感触、あわてて1mほど巻いたその刹那、
「ガツン!」
やべえ、間に合わなかったか。
てっきり根掛かりしたと思ったらグイグイ引っ張る魚の感触が!

キター!

多分仕掛けを下ろしてものの10秒ぐらいのものではないだろうか?
上がってきたのは目測2kgはありそうな良型ヒラメ。
1ヶ所目の1投目でいきなり本命が釣れてしまった。

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写真撮ったりSNSをいじったりと余裕をかましていると、船中あちこちで竿が曲がっている!
私もタモ持ってお隣さんの取り込みをアシスト。
船長の作戦は見事的中!

さて、2匹目のどじょうじゃなくてイワシを使って2投目。

とにかく底がやたらとゴツゴツしているので根掛かり防止の為にやや高めに仕掛けを上げて待っていると、
「ゴツン!」
またキター!

今度も仕掛けを下ろして30秒も経たないうちのヒット、しかも一気に食い付く高い活性!

後の検量で2.8kgだったなかなかのサイズである。

大きくて桶に入らないので、一回り大きな樽に移す。

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3枚目も似たような感じで掛かった。
すなわち根掛かり恐れて気持ちタナを高めにとっていると、いきなりガツン!とくるのだ。
ヒラメ40コチ20のセオリーと真逆のヒラメ1秒である。
しかしこちらは取り込み寸前に海面でさようなら(-_-)/~~~。

ちょっと掛かりが浅かったか?

気を取り直して4投目。
またしても簡単に掛かる。
これまた目測2kg前後、こんな良型がこんな簡単にバンバン釣れても良いものだろうか?

流石に不安になってきた。こんなサイズがあと2、3枚も釣れちゃったら、私の24リットルクーラーに入りきらない。
それにどう考えても食べきれない。

私はペースを落として、ことさらノンビリと釣りをした。

まずは最初に釣れた魚の血抜きを施す。
しかる後に錐で頭に穴を穿つ。
形状記憶合金の針金を差し、背骨に沿って押し入れると激しく暴れるヒラメさん。
神経絞め、一丁上がりだ。
ここのところ真鯛では毎回施している神経絞めもヒラメでは初めて。
数日寝かせても身に釣りたての歯応えが残るので、ヒラメでこそ試したいとここ最近思っていた。食べるのが楽しみである。

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もうヒラメは充分だ。
そろそろマハタを狙いたい。

しかし沖目は高水温の潮が入り込み、潮がカッ飛んでいるらしい。
また、左舷に陣取る3人組の新規のお客さんの中にはヒラメ初挑戦の方も居るようで、船長は左舷が潮先になるように船を操りなんとか釣ってもらおうと一生懸命だ。
流石ユルいマイクパフォーマンスで常に船上を和ませてくれる船長のホスピタリティ面目躍如。
私は「ヒラメはもういいからマハタが欲しい」という強欲な願望を口にすることは慎んだ。
時が来るのを待つのみである。

とは言え仕掛けも下ろさずノンビリし過ぎるのもキャプテンUG道にもとる行為なので、神経絞めが一段落した時点で5匹目のイワシを投入。
「ガツン!」
またしても激しいアタリ、そして暫く間をおいて竿を立てると魚の激しい抵抗が伝わってくる。
また良型だ!

お隣さんにタモ取りしてもらったのはまたしても2kg超えの良型。
これまでの4枚で軽く9kgはありそうだ。
いよいよ私のクーラーの容量が心配になってきた。

この後私は釣果目的ではなく、魚との駆け引きを楽しむ釣りに変更した。

簡単に言えば孫針を切り、親針1本でヒラメに挑む男らしい釣り。
名付けるとしたら、「千倉の達人calmさん釣方」といったところか?

孫針レスで挑み、この日初めて歯形がついたイワシが上がった。
逆に言えばここまで5匹のイワシを使って全てヒット(1枚バレたけど)、ヒラメ釣りに付き物の歯形イワシと無縁であった。

しかしねえ。
心に余裕があるからだろうか?孫針無くてもソゲが釣れちゃうんですよ。

当然海にお帰り頂きます。
とにかく残り少ないクーラーのスペースは、マハタの為に残しておかなければならないのだ。

「仕掛け無くなっちゃったのかい?」
隣の常連さんがなかなか仕掛けを下ろさない私を気にかけて声をかけてくれる。

「あれ~?もしかして船酔いしちゃったかな~?」
優しい船長が声をかけてくれる。

答えはいずれもNo。
もう釣りすぎちゃったんです!

結局7人で41枚ものヒラメが上がり、船上は満足感に支配された。

結局この日はマハタ狙いに切り替える事無く、港前の浅場で充分なヒラメの釣果を叩き出し、このまま10時早上がりとなった。


【釣果】
5時15分出船、10時沖揚がり
ヒラメ6枚


【タックル】
ロッド:DAIWA 早舟ヒラメ M-270
リール:DAIWA SALTIGA-Z30L
ライン:PE3号、リーダー:フロロ40lb


【本日の総括】
裏本マハタは狙わずも、こんな良型ヒラメがバンバン釣れたら勿論大満足なのであります。

私の釣果は6枚で、使用したイワシは僅かに8匹。
いかにヒラメの活性が高かったのか、いかに私がサボりながら釣りをしていたのか、このイワシの数でお分かり頂けると思う。

アタリを食い込ませるまでのドキドキ感がヒラメ釣りの魅力の一つであるとしたら、この日はあまりにもイージーな釣りであった。
しかし活性が高い時のヒラメの釣方を学ぶにはまたとない良い機会であった。

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帰宅後に捌くと、いずれのヒラメも胃袋はカタクチイワシが沢山入っていた。
そういえば千倉沖には沢山の鳥が飛び回っており、イワシの群れがいたのであろう。

タイラバでも俗に言う「イワシパターン」というのがある。
カタクチイワシの群れに着いた真鯛は、通常より高いタナまでエサを追ってきて、前アタリなく一気に針がかりすることが多い。

恐らくはこの日のヒラメもイワシパターンであったのだろう。

たっぷりのイワシを食べているヒラメは身も厚く、いかにも美味しそう。
神経絞め効果も確かめるべく、数日寝かしてから頂くとしよう。

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