昭和の日・・・善の家

私が好きだったマンガ「ハイカラさんが通る」の中で、伊集院伯爵の「明治は遠くなったのじゃ」というセリフがあるが(ちなみにとても良いシーンである)、私も最近「昭和は遠くなったなぁ」と感じることしばしばである。

ノスタルジィとは老人の感傷に過ぎず、私も前だけを見て歩いていくべきなのかもしれない。
しかし時には自らが歩いてきた道を振り返りたくなるのも人情だ。

店内に額装された巨匠・山岸一雄直筆の「王道」の色紙が質の悪い冗談にしか見えぬほどに邪の道を突き進んでいた江戸川橋大勝軒
昨年惜しまれながら(かどうかは知らないが)閉店してしまったけれど、そのすぐ近くに昭和から変わることのない頑固一徹の中華料理店がある。

善の家。

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この半ちゃんラーメンが僅かに650円である。

飽食の平成の世にあって、決して旨いものではない。

しかしこの味、遠い昭和の世の中で、土曜日半ドン(という言葉も昭和までしか通じない死語であろう)の小学校から帰宅してから、母と妹と一緒に昼食をとりに行った地元の中華料理店を彷彿させるのだ。

古い店舗、そして店舗に負けない古めかしい親爺がワンオペで鍋を振る昭和歌謡、ここにはある種完璧な様式美がある。

平成生まれには分かるまい。
昭和は遠くなったのだ。