留萌「ひさや食堂」

「留萌・増毛 国際マラソン」改め、「留萌・舎熊 ドメスティックマラソン」を走り終えた私は、ホテルでシャワーを浴びた後、失われたカロリーを補う為にホテル近隣のラーメン店の暖簾をくぐった。

「塩野菜ラーメンとビール。」
と私は年老いた女性店員に私の注文を伝えた。

「あのねえ、ウチはアルコールは一切置いていないんですよ。」
と、まるでアルコールの存在を全否定されるかのような強い拒絶のニュアンスを含んだ答えが返ってきた。

まあ良い。

私がビールを愛することと同程度、あるいはそれ以上にビールを忌み嫌う価値観がこの世界に存在することは、インドネシアで学習済みである。

OK。
俺はビールを愛する。
あなたにはビールを提供する意志がない。

それだけのことだ。

そもそも観光客の情緒的なリクエストなど相手にせず、留萌市民の為だけに永らく存在しているこの食堂は、私がビールを所望することはおろか、文章化すること自体をも拒否しているのかもしれない。

イメージ 1

ところで提供されたラーメンは、しみじみと旨かった。
決して美味しいラーメンというわけではないのだが、心に染み入る味がある。

もしこのラーメンが提供されるまでビールを飲みながら待つことが出来たなら、きっと私の評価はもっともっとも~~~~~~~~~っと、上がったはずである。


そういえば私が愛して止まない「ラーメン二郎三田本店」にもビールはなく、ビールとラーメンの旨さに相関関係が無いことなど百も承知だ。
しかしビールを飲みながら着丼を待つ時間というものは、ただ漠然と着丼をまつのに比べて何倍も優雅なのである。

嗚呼、ビール。
私は店を出るとホテルに向かう道すがらサッポロクラシックの500ml缶と鮭とばを買い求め、部屋で喉と身体を潤した。