老人と海…4/14野毛屋

「時」という概念は恐らく人間が創造したものであろうが、これほど公正で残酷なものも無い。
 
この日また一つ歳を数えることとなった私はまた一歩老人へと近づいた訳で、こんな日に仕事をするのもどうかと思い代休を強奪、金沢八景の老船長のもとへと向かった。
 
同じ船で二日前にアタリすらない丸ボウズを喰らったばかりであり、その日に魚の活性を下げていたと思われる酷い水垢も恐らくは改善していないであろうが、こんな日は釣果よりもロマンを求めたい。
 
大人になれば合理的判断を求められる場面は否応なしに増えるが、生きることと合理性は位相が異なるものであり、このようにロマンを求めることで私は社会とのバランスを保っているのである。
 
唯一の心配は週の初めの月曜日からこんな釣果の悪い船に他の客が来るかという一点であったが、幸い2名の変態、もとい、熱心な真鯛フリークが集まり3人の客+キャプテンUGの4本の竿で真鯛との勝負開始。
 
苦戦は承知の上だが一日でガラリと様子が変わることがあるのもまた釣りの醍醐味。
私は前しか向いていなかった。
 
しかし経験的に言うと悪い予想というのは的中率が高いのであった。
 
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【釣果】
7時10分出船、15時沖揚がり
 
【タックル】
ロッド:ZENITH零式 LIGHT G-TOP L 
リール:DAIWA RYOGA BAY JIGGING C1012PE-HWL
ライン:PE1号、ハリス:フロロ5号

【本日の総括】 
 
男は背中で語るもの。
 
港へ向けて船を走らせるために操舵室に戻ったキャプテン勇治の後姿がこの日の釣果を雄弁に物語っている。
 
ノーヒット・ノーキャッチ。
 
中一日での丸ボウズ、アオリを含めれば第二忠丸で三戦連続丸ボウズ、おまけに2年連続で第二忠丸誕生日釣行のボウズ、ことほど左様に我が師は釣りの楽しさだけではなく、釣りの厳しさも身を以て教えてくれるのである。
 
生きることの困難さに比べれば、真鯛のボウズなんてなんということもない。
 
見よ、この凪いだ美しい海を!
 
私は魚を獲ることは出来なかったのだが、ある種の喜びと満足は享受したのである。
この敗北も次に釣り上げるであろう真鯛の喜びを増幅させるスパイスに過ぎない。
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