千倉の哲人ニーチェ釣行…3/29千鯛丸

生来の後ろ向きな性格ゆえか、こと釣りにおいても解禁の喜びよりも終わりゆく釣りものに心惹かれる傾向が強い。
 
「今を逃したら来シーズンまでおあずけ」というシーズン末期の哀愁に心奪われてしまうのだ。
 
最長でもGWあたりまでという千倉のヒラメ釣りもまさにシーズン末期の釣りものである。
 
デビュー戦は北東暴風に伴う大時化に加えて雪までちらつく過酷なコンディションの中での修行、それでも3枚釣れたので今回は本命のサイズアップと裏本マハタも欲しい欲張りなイワシ泳がせ五目。
 
前回同様地元の友人(仮にA君)をピックアップして意気揚々と出かけたのだが…。
 
「風が強い(@_@)!」
 
大島では南西15m、地形的に南西に強い千倉港も結構な風である。
 
ポイントは限られ、もしかしたら早上がりもあるかも知れないとのことで予約客全ての準備が整った5時15分、定時45分前に河岸払い。
 
沖へ出るとやはり陸以上に風が強く白波が立つが、房総半島が風を遮断してくれるおかげでウネリはなく釣りをするには全く支障のないレベル。
 
しかし!
波があれば底スレスレをトレースするこの釣りがやりにくいことに変わりは無く、消去法で右舷ミヨシとなった釣座も災いしてアタリが出ない。
 
しかも!
軟調の長いヒラメ竿、竿先が風に煽られてイワシが暴れてるんだが風の影響かとんと見当がつかない。
 
さらに!
ポイントが限られる為か船長も大流しにせずピンポイントで根回りや定置網まわりを狙うので根掛かりも度々。
 
凪の海でノンビリ楽しむつもりが今回も苦行の様相を呈してきた。
 
ズドン!
またしても突如絞り込まれる竿。やれやれ、また根掛かりかよと竿を思い切り煽ると
 
“グイグイ!”
 
やっべ~~~~~~~~~~~、魚だったああああああああ!
 
慌てて巻くも二巻きほどであえなくバラし(T^T)!
あの雑極まりない電撃アワセじゃ良いところに掛かるわけないよな。
前アタリの無い一気の丸呑みは良型ヒラメかはたまたマハタか…。
嗚呼、逃がした魚はあまりにもデカい。
 
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お次のドラマはとある根回りを攻めていた時。
「コンコン、コンコン」
断続的なノック、これはまさにヒラメがイワシを咥えたに違いない。
その時
「流しかえま~す。上げて下さ~い。」
と船長の無情なアナウンス。
待って待って待って!まだ食い込んでないよ!
周りの仕掛けが全て上がっちゃったのが無言のプレッシャーとなりついアワセを入れてしまうと
「乗った!」
しかし巻き始めて程なく重みが消えて、上がってきたのは下半身が歯型でボロボロになった瀕死のイワシであった。
食い込み不十分、孫針だけにかろうじて掛かった状態だったようだ。
ここは魚がアタッていることをアピールすべきで、己の弱さに負けた1枚。
 
その後もたま~にアタリがあるのだがどうしても食い込まない。
 
時間がどんどんなくなってきた。
 
もうハタだヒラメだなんて言ってられない。
 
「神様、もう贅沢なんて言いません!せめてソゲを!ソゲだけでも釣らせて下さい!」
全力で神に祈った。
 
そして…。
 
 
 
【釣果】
5時15分出船、11時50分沖揚がり
 
【タックル】
ロッド:DAIWA 早舟ヒラメ M-270
リール:DAIWA SALTIGA-Z30L
ライン:PE3号、リーダー:フロロ40lb
 
【本日の総括】
神は死んだ。
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ドイツの哲人フリードリヒ・ニーチェキリスト教による価値観・世界観・人間観を根底から否定し、「神は死んだ」と高らかに宣言してから百余年。
 
千倉沖で私もニーチェと同様の境地に達したのであった。
 
釣りは時に凡人を哲人へと変容させるような魔力を持っている。
 
今後は自らを「千倉沖の哲人」と定義して、一層釣りに精進する所存である。
 
 
・・・。
 
 
チクショーーーーーー!
(c)小梅太夫