2014年初赤羽

3年ぶりに人事異動、2月から働く部署が変わるのだが、新部署では何の因果か呑み仲間のサマーな後輩と同僚となることとなった。
 
今年は飲む機会が増えそうなのでバタバタしているこの時期にわざわざ飲むこともないのだが、手始めに部署の状況も探っておきたく今年初の赤羽詣でを決行。
 
私は限りなくインフルエンザが疑われる酷い風邪をひいたこともあり、実に9日振りの飲み屋探訪である。
 
休みの日には楽しい釣りを、平日の夜は美味しい飲み屋をそれぞれ満喫する為に私は仕事をしているわけであり、生き甲斐が失われると日々つまらない。
健康は大事である。
 
取引先に異動の挨拶に赴き、会社に戻ると余計な雑事に巻き込まれてしまう恐れもあることからそのまま赤羽へ向かうと17時には着いてしまった。
サマーな後輩との待ち合わせまではまだ30分もあるが、赤羽には早朝より店を開けている立ち飲みいこいがあるので心配無用である。
 
赤星の大瓶が390円。
ポテサラ110円。
煮込み120円。
茄子生姜130円。
 
はっきりいってバンコクシーロム界隈で飲むよりも安い。
 
店内は携帯電話もメールも禁止なので当然写真も無し。
本も読まずにボーっと脱力して飲み食いする。
飲み屋リハビリには最適であった。
 
その後サマーな後輩と合流、コンビニで缶ビールを買ってから米山の行列に並ぶ。
我々のすぐ後にバタバタっと4組ほどが加わり、あと5分到着が遅れていたらカウンター席には座れないところであった。
危ない。しかしツキがあるとも言える。
 
ところでこの店の長い歴史を考えると通い始めて15年、地元住まいでもない(一時期別宅があったけどwww)私などとても常連とはいえない単なる一顧客に過ぎないのであるが、それでもかつては毎夜同じような顔ぶれの常連さんで賑わっていたこの店の姿を知っているだけに、訪問する度に複雑な気分と言うか、インターネットの功罪について考えてしまう。
 
恐らくは食べログや個人ブログなどで情報を仕入れたであろう若い世代のグループが客の大半を占め地元民が入りにくくなっている現状は、店にとっても赤羽の呑兵衛達にとっても最高にハッピーな状況とは言えないのではないだろうか?
 
そしてインターネットはこの店のローカル・ルールはある程度教えてくれるようだが、大衆飲み屋での作法一般に関しては本質を伝えるまでに至らないようである。
この辺りの機微は人生の先輩から学んだり場数をこなして慣れるしかないのだ。
群れなきゃ飲みにも行けない人間にはなかなか難しいことであろうが。
 
飲み屋作法に厳しいサマーな後輩は、MP3プレイヤーで音楽を聴きながら一人でブツクサ言っている隣の客に不満を漏らし、開店時に我々を追い越して先に店に入ろうとした若者を一喝し、後先考えずに注文しすぎてオーダーした品を残しまくる輩に呪詛の言葉を吐き、「なにこれー!チョーヤバいんですけどー!」などと一串ごとに奇声を発する女性軍団に眉をしかめ、「姉ちゃんたち、悪いんだけどもう少し静かに飲んでくれねえかな?狭い店なんでね」と件の女性客がマスターに窘められる様をみて嬉しそうにほくそ笑んだりしていた。
 
まあ客層が変わろうが、例え相手が糞餓鬼だろうが、常に最高の料理と酒を提供し続ける安定のクオリティを誇るこの店の泰然とした姿勢と矜持は本当に素晴らしい。
 
タン、ハツ、チレ、カシラ、レバーの半焼きオール・スターズは大振りでありながら丁寧な仕込みと絶妙な焼き加減が相俟って相変わらずの旨さ、必殺必食のナンコツ入りのつくねはしっかりとした歯応えとほんのり感じる甘味、そして予め黒こしょうを練り込んだスパイシーさが唯一無二のハーモニーを織り成し、まさにここでしか食べることの出来ない逸品。
 
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マカロニサラダ観を根底から揺さぶらるようなマカロニ、カツオ出汁が効いた透き通った汁にトロトロのシロとこんにゃくが最高のあっさり煮込み、嗚呼、やはり誰が何と言おうともここが我が最愛の居酒屋である。
美味しいもつ焼き屋は多数あれど、格も違えば思い入れも違うのだ。
 
最高の料理を満喫してすっかり満たされた我々は近隣の赤提灯(という死語が最もしっくりくるようなレトロな店)で軽く飲み直し、体勢を整えてからリベンジに向かったのであった…。
 
(つづく)