2013年真鯛開幕戦…3/16野毛屋

昨年は4月に似たような状況に陥ったと記憶しているのだが、ノッコミを前にした東京湾アオリイカがサッパリと釣れなくなった。
 
当然客も来ない。
 
そんな訳で野毛屋のエビ鯛船の開幕が例年より1か月以上も早まったのだが、昨年冴えないシーズンを送ってしまい、真鯛の引き味に飢えまくっている俺としてはありがたい話。
 
シーズン最初の土曜日となったこの日、俺と同じ思いを抱えた10人のアングラーが集まったがなんだか見覚えのある顔ばかり!
いや~、皆さんこの時を待っていたんですな。
 
いつも通りの時間に家を出たのだが幸い右舷のミヨシが空いていたのでゲット、ここが俺の初戦の戦闘席である。
 
前日までの様子では真鯛はまだ第三海保までは上がってきていないようで、この日野毛屋釣船店第二忠丸は観音崎沖の水深80m前後のポイントを徹底的に攻めたのだが、結果的にはこの作戦が見事にはまった。
 
「大根の落と潮、三海保の上げ潮は潮型が悪い」とは敬愛する老船長から何度となく聞いた通説だが、この日は80gのラバージグで十分に底立ちが取れる素直な潮。(昼頃から潮型悪くなったけど)
 
船中ファースト・ヒットは手バネ竿をよく使っている常連さん。(この日はタナが深いからか終日スピニング・タックルとベイト・タックルを使っていらした)
かなり強烈に竿が絞り込まれており良型であることは間違いなかったのだが、残念ながら20mぐらい巻いたところでバラし。
 
そして間髪入れずにお次は俺のお隣さんにヒット!
これまたかなりの型モノに見受けられたが、同じような感じでバレ。
「ああああああああああ、もう何やってんだよおーーーーーー!もっと落ち着いてやり取りしろよ!」
連続のバラしに耐えかねたキャプテンの怒声が東京湾にコダマする。
懐かしい光景であり、第二忠丸で鯛を釣るなら誰もが経験する通過儀礼でもある。
 
しかしだんだんヒットが俺に近づいてきてるな!
次は俺のば
“ゴンゴン、ズドン!”
“キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!”
 
「ラバージグにキタ!」とお隣さんが絶叫するものだから船中の視線が俺に注がれる。
そして2kg近く締めたドラグが稼働してラインが放出!やべ~、デカい!
しかし、
“フッ…”
「…。」
 
「またかよ!」
嗚呼、老キャプテンの怒声が俺に降り注ぐ。
一番傷ついたのは大物をバラした本人なのに、その傷口に敢えて塩を塗り込む言葉をかけてアングラーのメンタルを鍛えるのがキャプテンUGスタイルなのだ。
 
ん?魚の重みが消えたのは当然として、ジグの重みまで消えている。
回収してみると!
「!!!」
き、き、昨日買ったばかりのボクのタングステン製ラバージグが、SHIMANOの最新遊動式ラバージグ(3150円)が、無くなっている!!!
リーダーが切れており、更に切断面から10㎝ぐらいがザラザラに毛羽立っている。
どうやら掛かったのは真鯛ではなくサワラ、それもあの凶暴な引きから推測するにサゴシ級ではなくかなりの良型だろう。
小さなタングステン製ジグ故、ヘッドまでもが丸呑みされたものと思われる。
 
う~~~~ん、残念!
超高級外道寒ザワラ、これは獲りたかったぜ!
 
気を取り直して再開。
 
船中は時折誰かしらが掛ける展開。
バラしも結構あったが上がれば全てデカいメスばかりのようだ。
 
何故見もしないのに状況が手に取るように分かるのかと言えば、誰かが掛ける度、誰かがバラす度、誰かが釣り上げる度にキャプ…あ、特に名を秘すとCP.UGさん(仮名・64)が大声で叫ぶから嫌でもわかってしまうのである。
 
ところでタイラバにはロマンがある。
 
落としては巻き落としては巻きを延々と繰り返すストイックで忍耐力を要す誘い、しかしドラマは突然に訪れるのだ。
 
“ゴンゴン…ズガーーーーーーーーーーーーーン!”
 
6m程巻いたところで強烈なアタリ、そしてそのまま一気に竿が絞り込まれ、2kg近くまで締めたドラグがフル稼働、ガンガンと頭を振る強烈な引き込みが!
 
「でっかい真鯛、喰ったどおおおおおおおおおおお!」
 
いや~完全に忘れてた、この引き味!
良型のアマダイも結構凶悪な引きを演じるけど、真鯛のこの直接的で暴力的で享楽的なこの引きは、何者にも代えがたい。
 
フックはガッチリと掛かっているようだ。
ドラグが稼働し糸は出たり巻いたりを繰り返したが20mは巻き取った、あと10mも巻けばおとなしくなるかもしれな…
“フッ…”
「ん?」
「バレた~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」
 
CP.UG(仮名・64)の罵声と落胆のため息を全身に浴びながら涙を堪えてジグを回収する。
針には唇の一部と思わしき何らかの魚類の痕跡がくっついていた。
 
どうやら掛かりが浅かったようだ。
 
無念…。
 
 
潮も緩み、花粉症の症状は悪化の一途を辿り、追加で飲んだ薬の影響で眠気が凄まじく、完全に敗色濃厚となってきた。
 
眠気と闘いながらのタイラバ、これは苦行以外のナニモノデモナイ。
 
CP.UGスピリットの薫陶を受けた俺は、いつでもどこでもそれが船の上である限りは力の限りターゲットと対峙し続ける姿勢を貫いているのだが、そんな俺の思いを簡単に打ち砕く程に今年の花粉は凄まじい。
 
俺としては非常に珍しいことなのだが、船上で居眠りまでしてしまう始末。
 
…。
 
……。
 
「ハッ!」
気が付けば2時を過ぎている。
 
沖揚がり時刻まではあと1時間もないじゃないか!(*注:第2忠丸が定時の15時で揚がることは非常にまれなのだが、一応船宿が定めた沖揚がり時刻をここでは指している)
 
気力を振り絞って釣りに集中、そしてドラマは沖揚がり時刻の30分前(*注:くどいようだがあくまでも船宿が定めた沖揚がり時刻15時を基準にしている)に起こったのだった…。
 
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【釣果】
7時15分出船、16時10分沖揚がり
真鯛1枚(3kg)

【タックル】
ロッド:ZENITH零式 LIGHT G-TOP L 
リール:DAIWA RYOGA BAY JIGGING C1012PE-HWL
ライン:PE1号、ハリス:フロロ5号

【本日の総括】 
“ゴンゴン、ズゴーーーーーーーーーーーン!”
 
キタね~、アタリが。
入ったね~、竿先が。
鳴ったね~、ドラグが。
釣れたね~、真鯛が!!!
 
しかも旨かった…。
3kgのオスであれば釣味は推して知るべしだが、食味も推して知るべしという決めつけは当てはまらなかった。
釣れた水深は80m、これは春のノッコミの魚ではなく、越冬中の冬の魚なのだろう。
 
 
初戦は薄氷ではあったが劇的な勝利、今年こそ真鯛と縁のある年になりますように。
 
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*追記:この日最大は3.8kg、最小でも2.5kgと良型ばかりが10枚上がった最高の日。俺の3kgの獲物は小さい方から数えて2番目という凄まじい釣果を叩き出した1日だった。
興奮したCP.UGも16時10分過ぎまで粘り、その後横横道路の渋滞にまで巻き込まれた為に帰宅は18時を大きく過ぎ、18時時間指定の宅配便で手配したワイン12本セットを受け取り損ねてしまったのだった…。