2012年初アオリ・・・2/5野毛屋

土曜日に予約していた沼津の夜タチウオは、強風の為昼過ぎに出船中止が決まった。
今更他の釣りものに変えようにも、こんな時間からではもうどうしようもない。

やむなく日が高いうちから酒盛りを初め、貴重な休日をダラダラと無為に過ごしてしまった。
もしもこの世から釣りという娯楽が無くなったら、俺の人生はかなり退廃的なものになってしまうことだろう。
時代が昭和であればデカダンスに多少の需要もあったが、今は平成24年
そんな時代錯誤なライフスタイルは誰からも相手にされないに違いない。

気が付けばもう3週も釣りをしていない。

日曜日こそは釣りを、それもスカッとする類いの釣りをしなくてはならない。
退廃ライフへの落下口が目前に迫っている。


という訳で翌日曜日は真冬の釣りのファーストプライオリティ、アオリ狙いで常宿の金沢八景野毛屋へ向かった。

途中でマクドナルドに寄ったり、ガソリンスタンドに寄ったりで宿に着いたのは6時過ぎ。
先行者は6人で四隅と両ミヨシ二番手が塞がっていた。
迷った末に左舷ミヨシ三番手を確保したが、客はその後一人来たのみで両舷4人ずつでの出船となった。

久里浜沖の70mからやる」と出船前に言っていた船長、しかし船は観音崎の手前で大きく左にカーブし、大貫沖でスローダウンした。
神の御告げでも舞い降りてきたのだろうか?

指示ダナは20m、ポイントのみならず探る水深も全然違うな。

ここを起点に徐々に南下しながら探って行ったが、右舷でアオリが1杯上がり、左舷ミヨシでシリヤケが1杯上がっただけで、その後は外道も含めて掠りもしない展開が続いた。

2時間程無益な闘いを続けても成果がなく、見切りをつけて次に向かったのは久里浜沖。
最近最も安定したポイントらしい。
しかし潮色は真っ青に澄んでいる上に潮流れもあまりない。
嫌な予感がしたが、この手の嫌な予感はまず外れることがない。

釣れない時は客も辛いが操船する方にとってもかなり辛いのだろう。やがて野村克也でさえ脱帽しそうなボヤキが始まり、警笛を鳴らした貨物船に毒づき、航路を空けろと注意にきたタグボートに怒鳴り散らす。
触れたら火傷してしまいそうな程、キャプテン勇治が熱くなってきた。
頼む、アオリちゃん、そろそろ釣られてやってくれ!

その後スミイカが連発するポイントに入り、俺もなんとか2杯ゲット。
ノッコミ直前のスミイカは型も良く、とりあえずおかずの確保には成功だ。
ここで恐らく10杯程のイカが上がったが全てスミイカ。まずいな、これではキャプテン勇治の怒りは治まるべくもない。
俺がなんとかしなくては!

ここまで様々なエギをローテーションしていたが、澄み潮には暗色というセオリーに忠実にダークオリーブのエギを投入し、気合いを込めてしゃくる。と、その刹那
“チュドーン!”
“キターーーーーーーーーーーーー!”
この衝撃、この引き味、
「あ、アオリだぞ!」
背後からキャプテン勇治の弾んだ声が聞こえた。まずいな、これをバラそうものなら俺は殺されてしまうかもしれない。何を隠そう(隠してないけど)俺の釣座は操舵室の真下なのだ。
いつもより慎重にリールを巻き、慎重に中オモリを掴み、慎重にハリスを手繰る。そして慎重にエギを掴み、慎重にイカの首を握り、慎重にイカを下に向けて水を出す。そして携帯カメラを向ける中乗りエストシ君(仮名)に向かって慎重にイカを向けて、慎重に写真に収まった。
やった!ミッション完了だ!
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この久里浜沖の指示ダナ35mラインで、その後本命はポツリポツリと乗ってきた。
数は出なかったけど殆どのイカがキロ前後の型揃い、数釣りに興味の無い俺には理想的な展開だ。

ドスンという衝撃、グイグイ引っ張る引き味、そして深い所から獲物を引きずり出す醍醐味。
秋から春まで続くアオリ・シーズンで最も楽しいのは、やはり厳冬期である2月だと思う。

この日は15時が満潮で潮止まり、当然定時で揚がるものと思っていたが、キャプテン勇治は久里浜沖水深80mという深場へと移動してまだ攻める。
聞けばこの時点で未だ2人が型を見ていないのだという。
やはり俺の知る限り最もオフェンシブで、客に釣らせたい思いが最も強い船長だ。
武骨だけれど、これだってホスピタリティの一つの形であることは間違いない。

そして3時半過ぎにヤリイカの群れと遭遇!
船中バタバタっと4杯のヤリイカが上がり、幸運にもその内の1杯は俺のエギに乗った。

乗りが止まると同じようなポイントを何度も流し変える。

しかしヤリイカの群れは移動してしまったようで、その後は誰の竿も曲がることはなかった。

「もう駄目か。」
確認するようにそう一言呟くと、船長はマイクで沖揚がりを告げた。
時刻は15時50分。
既に辺りに他の遊漁船の姿は見えなかった。
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【釣果】
7時15分出船、15時50分沖揚り
アオリイカ4杯
(外道:スミイカ2杯、ヤリイカ1杯)

【タックル】
ロッド:マニアス・アオリスペシャル350
リール:カルカッタコンクエスト301F
ライン:PE2号、ハリス:フロロ5号

【ヒット・ルアー】
YAMASHITAエギ王Q LIVE グリーン3.5号、ラメオレンジ3.5号、YO-ZURIアオリーQマーブルバレンシア4号

【本日の総括】
澄んだ潮、そして大潮の割には流れもなく、イカの活性はかなり低かった。前日南西の暴風が吹き荒れたことも何か影響したのかもしれない。
そんな状況下、胴の間で本命が4杯とれたら言うことなし!船中釣果は0~4杯で竿頭のおまけ付き、スミイカヤリイカも釣れて正にイカ三昧だし、最高の1日だった。

ノッコミ間近のスミイカは大きな白子が入っていて、そのせいで身質が粗く甘味も旨味も全くなかったのだが、深場で釣れた良型アオリは捌いた後一晩寝かして刺身と炒めものにしたところ絶品!

釣り味、食味共に今がアオリの旬、頑張って食べきって早く次の釣行を計画しなくてはなるまい。