撃沈・・・8/16野毛屋

ヒラメ、マゴチ、ホウボウ、ニベと外道が活発になっている上に本命の真鯛も大物混じりで安定的に釣れてきている。

おまけに大潮だし、夏期休暇最終日はお盆期間中とは言え火曜日だし、これは絶好のチャンス!

という訳で迷うことなく金沢八景に向かったのだが、堀口能見台ICを降りた途端につまずいた。

八景の船に乗る際毎回朝食を摂っているマクドナルドが、年中無休24時間オープンのマクドナルドが、店内設備整備の為に閉まっていたのだ!
これは芥川龍之介だったら死ぬほどの恐怖を感じる凶兆と捉えるに違いない!

しかし俺は芥川ではないので、気を取り直し向かいの西友で朝食用のパンとコーヒーを買い求めると、そのまま野毛屋へと向かった。

真鯛船は先行者3名、四隅で唯一空いていた右舷大ドモの釣座札を取り、受付を済ませて船に乗り込んだ。
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ミノーやメタル・ジグならいざ知らず、こんなもので何故魚が釣れるのか、今でも時々不思議になる。

この日も最初のポイントは第二海保北側の水深15~20m地点。
タイラバには辛い水深ではあるが、前回ここで小さな真鯛を1枚釣った実績もあるのでネガティブなイメージは無い。

「ヒットーーーーーー!!!」
反対舷から聞き慣れた声の聞き慣れたフレーズが聞こえてきた。
竿を曲げているのは当然客ではなくキャプテン勇治さん(62)。そして上がってきたのは2kgの真鯛だった!
流石と言うか何と言うか・・・(^_^;)

そして次の流しで
「またヒットーーーーー!!!」
と聞き慣れた声の聞き慣れたフレーズが聞こえてきた。
今度はソゲサイズのヒラメをゲットしたキャプテン勇治さん(62)。
釣れない客を尻目に船長がガンガン釣る、これもある種の野毛屋スタイルだ!


第二海保北側のポイントで最も深い、水深20mポイントでのことだった。

ジグを落とし込んでいると着低の直前にアタリ、そのまま巻くと何かが掛かった。
鯛のアタリ方ではない。これは恐らく・・・。

やはり・・・。

姿を現したのは60センチ程のサメ。やけに引くと思ったら口ではなく尾鰭の辺りに針が掛かっていた。

結局後が続かず船は移動、通常のルートであれば第三海保へ行くところだが、この日の2ヶ所目は猿島沖のアジ船団のど真ん中へ突入していった。
ここ数日、猿島アジ船団で外道に真鯛が上がっているという。
でもイワシミンチに誘われてやってきた真鯛がラバー・ジグに食いつくのだろうか?

“ゴンゴンゴン!”
疑ってたらいきなりアタリがきた!
しかし弱いなぁ~。鯛のアタリではない。

上がってきたのはホウボウであった。外道とはいえ嬉しいゲストであることに違いはない。
という訳で生け簀へ入れて有り難くキープ。
とりあえず今宵のおかずは1品ゲットだぜ!

しかしこのポイントでは本命の顔見ず、その後船は落と潮の定番ポイントである第三海保へ移動。

前回乗船時、ここで1.2kgの本命釣れたし、なんだかイケそうな気がする。
(言うまでもなくこういう思い込みはこの釣りの大事なファクターの一つである。)

“ゴンゴンゴン!”
「!」
“シーン・・・。”
「・・・。」
今度こそ本命っぽいアタリだったのだが、一瞬でアタリが消えた。
素早く落とし込んでもう一度誘うも魚からのコンタクトは無かった。

何か変な感じだ。

一旦ジグを回収してみると、
「!!!」
なんとラバーのネクタイが根元付近から切れてるじゃないか!
ううう、そういえばネクタイのこの部分に僅かな切れ目が入っていたことに気付いてはいたんだよな・・・。
今年に入りBRIDGE社は原材料の高騰を理由にラバー・ジグ関連の全ての製品を製造していない。
よって手持ちのストックが無くなったら次にいつ手に入るかは全くもって不明であり、たかがゴム製とはいえネクタイの1本1本が非常に貴重なのだ。

しかし少ないチャンスをモノにしなければならないタイラバ、これは本末転倒的な判断ミスと言わざるを得ない。
BRIDGEさん、タングステンが高騰してるのは分かるけど、せめてフックとスカートだけでも作ってくれ~~~(T_T)

船は4時まで真鯛を求めて走り回ったが、俺の物語はここで終了。

この後は外道含めて只の一度もアタリはなかった。

特に上げ潮の後半は第二海保南の水深10mという超浅場ポイントを延々と攻めたのだが、この水深ではタイラバでは手も足もでない。

来月には深場に落ちるかな?

気が付けば野毛屋の真鯛シーズンも残すところあと2ヶ月。
そろそろデカイのが欲しいところだが・・・。

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【釣果】
7時15分出船、16時沖揚がり

【タックル】
ロッド:ZENITH零式 LIGHT G-TOP L 
リール:DAIWA RYOGA BAY JIGGING C1012PE-HWL
ライン:PE1号、ハリス:フロロ5号

【本日の総括】
船中8名(客)+1名(船長)で釣りして0~2枚の船中4枚。
竿頭は勿論客では無くて…(以下省略)。

平潟湾に入り船が速度を落として徐行運転になると、操舵室からキャプテン勇治が大声で俺を呼んだ。
また説教でもされるのかと恐る恐る近づくと(I'm just joking.)、
「生簀のホウボウ取る時にさ、俺が釣った小さい方の真鯛が一緒に入ってるから持ってってよ!」
という訳でまたまた貴重な獲物を頂いちゃいました。
これで通算3枚目の頂き物だ。(釣った枚数より貰った枚数が多くなるような事態だけは避けたい。)
帰りは自棄ラーメンでも食べて帰ろうかなと考えていたのだが、船長のお気持ちが有難かったので素直に頂くことにした。

ついでに色々と他愛もない話をして(というか一方的に聞いて)、何を話したかは覚えていないのだが、船が帰港し、頂いた鯛をキッチリ締めて船を降りる際、
「いや~、最近釣りが本当に楽しくなってきたんだよな。」とこの大ベテラン船長はサラッと言ったのだった。

これが不意を突かれたというか、凄く刺さる言葉だった。

40年以上毎日毎日釣りを続けることで到達出来る境地なのかもしれないが、兎に角この人は今自分自身と完全に一体化しているんだな、と強く感じた。

獣であれば自分が自分自身と完全に一体化するというのは当然なことだ。

しかし我々は“社会化”という名の下に飼いならされ、望んでもいない役割を演じさせられ、気付かぬうちに社畜化したり家畜化したりしている。
場面場面において様々な顔を意識的かつ自発的に主体的に使い分けているつもりでも、何時の間にやらアイデンティティーは崩壊しているのだ。

自分自身と完全に一体化するとは、生命の起源にたちかえること、即ち宇宙の真理に触れるということだ。

自分のアイデンティティーが実は11歳の時から崩壊を始め、既に致命的に損なわれていたことに今年気が付いた俺は、“自我の回復”をとりあえずのテーマに掲げている。

そんな時にひとつ道標が出来た思いだ。

思いもかけずこんな勉強が出来ちゃうのだから、1万円払ってボウズを喰らい続けようとも、第二忠丸に俺が乗船し続ける意味がある。