フライデー・ナイト・・・富士屋本店

台風の接近に伴い出船は絶望的だったが、そんなの関係無く週末の釣具店は混雑していたのだった。

一軍ルアーの予備は必要だし、一方で新しいルアーを見ると試してみたくなる。
このようにして俺のトラウト用スプーンは増殖の一途を辿り、気が付けば400枚を数えるに至ったのだが、同じようなプロセスを経て今我が家ではエギが増え続けているのだった。この日もついつい4本購入。

そして上州屋渋谷店を出ると、俺の足は自動的に富士屋本店へと向いてしまう。
一度身についた習慣とはことほどさように揺るがないものなのだ。

まずは瓶ビール、そして一息ついてから茄子ミソとレンコン天ぷらをオーダーした。
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放置プレイこそがここのホスピタリティー、徹底的に気を抜いてボーッと酒を飲む。こういう種類の気の抜き方が出来る店って案外少ないのかもしれない。

薄着で街中を歩いた為に身体が少し冷えた。
めずらしく熱燗を追加。
家族の名誉の為に詳細は秘すが、熱燗の匂いには個人的に根深いトラウマがあって10代の頃から全く受け付けなかったのだが、数年前から徐々に呑めるようになってきた。
人生を「何かを乗り越える過程」と仮に定義するのなら熱燗の克服も前進である。歳を重ねる事も悪くない。
まあ乗り越える以上に何かを失っているのだろうが、ここでは敢えて前しか見ない。


以前は金曜の夜ともなれば誰かしらと必ず飲みに行く約束をしていたものだが、最近では翌朝に備えて早く帰宅し早く就寝することが多い。
しかしこの日は帰宅すると、チーズをつまみにワインを飲みながら読みかけの本を時間をかけて読み終えた。
いかに早起きしようとも翌日船は出ないのだ。