三婆々の謎
通勤の時、毎日だいたい同じ時刻に家を出て、いつもと同じルートを歩き、いつもと同じ電車の同じ車両の同じドアから乗り、いつも同じような時刻に会社に着く。
これは俺に限った事ではなく、多くの学生や勤め人が同じような感じで日々過ごしているのではなかろうかと推測する。
だって毎日のようにすれ違う人もいれば、毎日のように電車で見かける人もいる。
それぞれが規則正しい行動パターンをとっているからこそ、日々重なる訳だ。
それぞれが規則正しい行動パターンをとっているからこそ、日々重なる訳だ。
俺が家を出て最寄りの駅まで向かう約7分間の道程で、さして広くもない道路を横一列で3人で闊歩する60歳前後のオバチャン軍団と毎日すれ違っていた。
真ん中にリーダー格と思しき色黒で長身のオバチャン、向かって左に小柄で貧相なオバチャン、そして向かって右に小柄で小肥りのオバチャンというフォーメーションもいつも一緒。
真ん中にリーダー格と思しき色黒で長身のオバチャン、向かって左に小柄で貧相なオバチャン、そして向かって右に小柄で小肥りのオバチャンというフォーメーションもいつも一緒。
一体どういう繋がりのグループなのか知る由もないが、毎朝会うということは趣味ではなく仕事仲間、おそらく企業の清掃係か社員食堂の調理係ってとこか?
しかし仲が良いなあ、わざわざ待ち合わせて通勤するなんて。
しかし仲が良いなあ、わざわざ待ち合わせて通勤するなんて。
この仲睦まじいドロンボーに異変が起きたのは約1年前の事だったと記憶している。
すなわちトンズラが離脱したのだ。
楽しげに笑いながら職場へと向かうドロンジョとボヤッキーの100m後方を淋しげにトボトボ歩くトンズラの姿は痛々しかった。
俺はトンズラを応援することに決めた。
『負けるな、トンズラ!間違っているのはドロンジョ達の方だぞ、きっと。』
俺はトンズラを応援することに決めた。
『負けるな、トンズラ!間違っているのはドロンジョ達の方だぞ、きっと。』
数ヶ月後。
今やドロンボーは1本ずつ電車をずらして別々に通勤するただの三人のオバチャンへと成り果てた。
普段通りに家を出るとトンズラとすれ違い、ちょっと早目に家を出るとドロンジョとすれ違い、やや遅れて家を出るとボヤッキーとすれ違う。
そこには友情も結束も野望もヤッターマンへの対抗意識もなかった。
解散したドロンボーはもはや人目を引くことのない、ただの三体の肉塊のようなものだった。
そこには友情も結束も野望もヤッターマンへの対抗意識もなかった。
解散したドロンボーはもはや人目を引くことのない、ただの三体の肉塊のようなものだった。
更に月日は流れる。
区役所に寄る用事があっていつもより気持ち早目に家を出たフライデー・モーニング。
「!」
俺は感動すら覚えた。
君達のパッとしなくも残り少ない人生において、良い仲間というのは本当に大事なものなのではないか?
・・・。
すいません、完全に余計なお世話でした・・・。