多様化する家飲み

19歳になったばかりの時に、突如尿管結石を発症した。

体質的なものもあるようだが、俺の水分摂取量が少なかったこと、そしてトイレの回数が極端に少なかった事も原因だと医者に指摘された。

利尿作用のある珈琲とビールの摂取を奨められ、持ち前の素直な性格と相俟って以降珈琲とビールは俺の日常に欠かせないものとなった。(珈琲は10年程前に止めたけど。旨い珈琲を煎れることは結構手間がかかる。要は面倒なのだ。)

ところで当時俺は村上春樹の小説「風の唄を聴け」に心酔していたのだが、運の悪いことにこの小説にはとにかくビールを飲むシーンが沢山出てくる上に描写が実に旨そうで上手い。おまけに主人公が当時の俺と同い年ということも災いし、その頃からビールを飲まない日がなくなった。

以降今日に至るまで俺の人生に休肝日は2日しかない。
1日はインフルエンザを発症し熱が40度を超えた日(余談だが子種を失う事を恐れた俺は朦朧とする意識の中でタマキンを扇ぎ続けたのだった。その試みが成功したのか否かは今の所証明されていない。)、もう1日は自衛隊体験入隊した日だ。

治療の為の晩酌。
という訳でビール一辺倒から始まった俺のアルコール・ライフは、加齢と共に治療という概念を忘れ、一方で酒の味(と失敗)を徐々に覚え、焼酎、モルトウイスキー、ワインといった具合にそのレパートリーを増やしていった。
それに伴い自宅に備蓄する酒の種類も当然の如く増えていったのだった。

結婚と共にワイン・セラーを購入してから日常的にワインを飲むようになった。
特にワインの適度な飲酒がもたらすマイルドな眠気は釣行前夜に最適だ!(ということも体験的に学んだ。)
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先日飲んだオールド・ワイン。まろやかで旨かった。

寝酒にモルトウイスキーを1杯嘗めるのも習慣になった。

まあここまでは良い。
進化の方向性は洗練へと向かっていたからだ。

話しは変わる。

数年前に痛風を患った。
これは俺のレックレス・ライフも原因の一つであるかもしれないが、生物学的には主に遺伝によるものだと理解している。
以降尿酸値を下げる薬の世話になってはいるものの、それと同時に常日頃からプリン体の過剰摂取にも気をつけるよう医者に言われている。

プリン体含有量の多い酒と言えば、ビール。
19歳以降俺の主食となっていたビールとの付き合い方を考えなければいけない事態に陥り少なからず混乱したが、そんな俺の窮地を救ったのは赤羽のもつ焼きの名店、「米山」で覚えたフローズン・ホッピーだった。

それまでにもホッピーを飲んだことは幾度となくあったが、焼酎に氷を入れてホッピーで割るという一般的な飲み方はビールというよりサワーの代用品のようで、嫌いではないものの好みという訳でもなかった。
しかし米山のフローズン・ホッピーの旨さといったら!十分にビールの代わりたり得るのだ!

そんな訳で最近では我が家の冷凍庫には凍らせた金宮焼酎が常備され、台所の棚にはビールと共にホッピーの瓶が備蓄されている。

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更なる進化は続く。

サントリー角瓶に唐辛子を入れて辛みを抽出し、それを炭酸水で割るという辛口ハイボール。蒲田の立ち飲み店「豚番長」で“赤豚ハイボール”と呼ばれるオリジナル・メニューだが、このジャンクな味だが妙にスッキリとした後味に惹かれ、豚番長における俺の締めの1杯になっている。

ある日、自宅で夕食を摂った後にふと赤豚ハイボールが飲みたくなった。

・・・。

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そんな訳で我が家の冷蔵庫には唐辛子を入れたサントリー角瓶と炭酸水も常備されるようになったのだ。

哀愁。