越えねばならぬ壁・・・1/9山天丸

釣り歴四十余年を誇る弊社のアラカン・アングラー、ちょいワルH氏(62)が年末にギックリ腰を発症した。
三ヶ月の釣り禁止を医者から言い渡され、「完治する頃にはアオリが終わっちゃう。」と元気が無い。
そして“ちょいワル氏にビシアジを教えてもらう”と専用竿に電動リールまで買い込んで備えていた弊社のもうひとりのアラカン・アングラー、めちゃワルI氏(59)も肩透かしを喰らった恰好で元気がなかった。

「今度の土曜日カワハギ行こうや。」
新年の挨拶もそこそこに、会社で会うなりいきなりめちゃワル氏が切り出した。
師であり友であるちょいワル氏の戦線離脱は当の本人のみならず、めちゃワル氏にとっても痛いのだ。

仕事が忙しく、まだ初釣りの予定がたたないとお嘆きのDDVセンパイに声をかけてみると、「上手くやりくりがついたので参加する」との返事が。これで役(厄)者が揃った。
しかし2009年には“W前厄の負のツインパワー”として関東の釣船を震撼させた我々、今年はW本厄な訳で、更なる負のシナジー効果を生み出してしまうかもしれない。恐ろしい。


8時に久比里港を出船した山天丸が目指したのは剣崎沖。
この日竹岡に直行したという野毛屋第二忠丸の姿は見えなかったが、前週fIVEさんと虚しく空を切るだけのしゃくりに腐心したのは正にこの辺り、嫌な記憶が蘇った。

「はいどうぞ。水深は28mです。」
と船長の合図があって開始!

オモリが着底した途端、ガリガリっと根を転がる感触、水深もコロコロ変わり相当深い根周りを攻めている感じだ。
根掛かり防止と外道除けの為、底から1mオモリを離してふわふわ誘う。
するといきなり、
“コンコン”
「?」
トラギスとは異なるアタリ、ベラかな?と思いつつ竿を送ると
“ゴンゴンゴンゴン!”
と連続ノック、こりゃ本命じゃないか!
竿を上げてアワセを入れ、即座に巻く!
結構強めの引きが途中でフッと軽くなる。バレタかと思うとまた引く!間違いない!

そして海面に現れたのは本命のカワハギ、型も28cmと文句なし!

開始僅か5分足らずで船中1枚目をゲット!今日は爆釣かあ!?ついに俺は一皮剥けるのかああ!?

・・・。

・・・・・・。

1枚目はどうやら出合い頭の事故のようなものだったようだ。

その後周りも全く釣れない状況が続き、一言で言えば激渋。
活性が極端に低いようで、アタリが一瞬で止まり、誘っても後が続かない。

そんな中DDVセンパイはアタリを感知してから激しいタタキを入れるという釣方でポツリポツリと本命を掛けた。
俺も真似してみるが、俺のタタキは外道の活性を上げるのみ。

一方、最も場数を践んでいるめちゃワル氏はたたいたり、たるませたり、宙を探ったりと引きだしの多さを見せ付ける釣りを展開するも、外道ばかりで本命を掛けられない。
やはりカワハギは難しい。

正午までにもう1枚追加したのみで残り3時間、徐々に俺は焦ってきた。

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晴天、ベタ凪、コンディションは申し分ないんだけどなあ…。

事件はそんな1時過ぎに起こった。

「?」
急に竿からオモリの重みが消えた。
隣のアングラーを見るとリールを巻いている。潮流れは緩いものの、底を切って誘っていた俺と、ずっとタルマセ釣りをしていた隣のアングラーの仕掛けがオマツリしたようだ。

彼が回収した仕掛けに俺の道糸が絡まった格好、向こうが作業を始めたので任せていたら、
「ブーッ!」
と仕掛け回収の合図が鳴った。
船長のところにオマツリ解いてるからちょっと待ってと言いに行こうとしたその時、解くことを放棄したそのジジイがいきなり俺の道糸を手繰り始めた!
そして回収したオモリと仕掛けを俺に手渡したのだが、手で回収した肝心の道糸はぐしゃぐしゃ。
唖然とする俺を尻目に、暫くぐしゃぐしゃになった道糸と格闘していたジジイは突如試合放棄、おもむろに「切っちゃうよ。」と言うと自分の仕掛けを温存して俺のウルトラ・ダイニーマWX8をズタズタに切ったのだった。

・・・。
「随分ヒドイことするな!」
穏やかで有名なこの俺(ちょっとだけ嘘)が、つい声を荒げてしまった。
しかしそのクソジジイ(段々呼称が荒くなるが俺の心の声なのでご容赦願いたい)はうんでもなければすんでもない。ましてや詫びの言葉などあるはずもない。
一瞬カッとなって暴言、もしくは物理的制裁を加えそうになってしまったが、そんなことしたら折角の楽しい休日が台なしになってしまうので堪えた。
クソジジイとは世の中に沢山いる生物じゃないか、今日は運悪くそんな一人と隣り合わせになっただけだ。

心を落ち着かせて仕掛けを作り直す。
切断されたウルトラ・ダイニーマWX8をそのクソジジイが俺に放り投げても(くそ、タップリ20mはあるじゃないか!)もはや何を言う気もない。

そんな俺の怒り鎮めてくれたのはカワハギちゃんだった。

底を1m切って揺らしていた仕掛けを止めた瞬間、
“ゴンゴンゴン!”
強烈なアタリ、竿を少し送って聞き上げると完全にかかった!
結構強烈な引き、海面に姿を現したのは朝一の獲物とほぼ同サイズの良型だった!

餌を付けて再投入。良型は浮き気味だと判断し、今度は2m上から探ってみる。
すると
“コンコン!”
これも本命っぽい!竿を少し送ってから聞き上げると針掛かり!
上がってきたのはカワハギと思いきやウマヅラハギ。
最近野毛屋のウイリーハナダイの定番外道でよく釣れているそうだが、俺は初対面だ!

さあガンガン行くぜ!と張り切りモードに入ったものの、それからのラスト1時間は潮が完全に止まってしまい船中沈黙、そのまま3時に沖揚がりとなった。
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【釣果】
8時出船、15時沖あがり
カワハギ3枚、ウマヅラ1枚 (外道多数)

【タックル】
ロッド:TRANSEAカワハギ175タタキH
リール:カルカッタ・コンクエスト301F
ライン:PE1号

【本日の総括】
またしても冴えない釣果、己のカワハギ釣りのセンスの無さに嫌になってしまうが、あの旨さには抗えない。もう少し頑張ってみようと思う。
但しこの日は船中1~8枚、ベテランめちゃワル氏でも1枚しか釣れず(1枚だけ持って帰っても仕方ないと譲ってくれた)、同じ久比里の巳之助丸でも竿頭9枚、緩い潮と急上昇したという水温の影響か、この日はどこも苦戦を強いられたようで、腕のみならず日並みも悪かった。

さて、前回羽田かみやで惨敗した際に船長からおすそ分けしてもらったカワハギは血抜きをしてあったのだが身の色も肝の色も違っており非常に旨かったので、俺も今回全ての獲物を血抜きして持ち帰ってみた。

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これが大正解!

臭みの全くない黄金のスープで作ったハギチリ鍋は絶品、戸籍上の配偶者からも星三つ頂きました。

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あれ?ご主人様カワハギを持って来てくれる約束じゃ…?・・・実家の猫・談

すまん。釣りが下手な俺を許してくれ・・・。
次こそは必ず食わせてやるからな!待ってろ!