逃避・・・蒲田「豚番長」

会社生活において最も重要な事、優先すべき事は“最大多数の最大幸福”である。

…と、常々思っている。

でも人はついつい自分主導での幸福ばかり追求しがちなものだから、同じ目的を持っているはずの組織内でもたまには諍いが起こることもある。
いや、正確に言えば諍いはしばしば起こる。

これはある程度仕方のないことかもしれない。


でも全ての問題を曖昧に覆い尽くすような「まあまあ、皆で飲んでパーッとやって仲良くやろうぜ」的な飲み会があったりすると、諍いが起こる以上に俺の頭は混乱することになる。

なんなんだろう、この嘘臭い雰囲気は?

迷える不惑無罪モラトリアム、ガキっぽい自分に嫌になっちゃうけど、本当に疲れちゃうんだよな、こういうの。

で、そんないたたまれない飲み会の雰囲気から逃避すべく充分過ぎる酒を飲み、充分にメシを食ったのにも関わらず、俺は蒲田で途中下車するとフラフラと豚番長に寄ってしまった。

店に着いてみれば入り込むスペースを見つけるのも困難な程の賑わい、もはや豚番長はいつ来ても混雑している人気店へとのし上がったようだった。

まずは三冷ホッピーの黒、そして頃合いを見てレバーとオッパイを塩で焼いてもらう。'

…旨い。

そしてここで覚えた“赤豚ハイボール”を追加投入。
瓶に唐辛子を入れて辛みを抽出したウイスキーに炭酸水を注ぐこのハイボールは、飲む度に辛みが増しているように感じる。
日が経つにつれて唐辛子の辛み成分がウイスキーへと熔け出す訳だからこれは決して気のせいではないのかもしれない。

サクッと飲んでお会計。客は後から後から引っ切りなしにやって来るし、腹がいっぱいの俺はこれ以上の長居は無用だ。

請求金額が960円と半端な額だったので、番長に1000円札を渡して店を出た。

混雑時のオペレーションも格段にスムーズになっている上、高いホスピタリティと飲食物のクオリティは保ったまま。居酒屋激戦区・蒲田にあっても人気が出るのも頷けるのであった。

30分程の滞在であったが、幾分、いや、随分気分は晴れた。

感情や気分のコントロールが不得手で、メンタル・ヘルスのセルフ・メディケーションの為にも釣りは俺にとって大切な趣味なのだが、会社帰りに釣り具店には行くことができても、そうそう釣りにいけるものでもない。

そんな時、ささくれた気分を癒してくれる店が身近にあるということはなんとも有り難いものだということを生まれて初めて悟った夜だった。


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写真は歌舞伎町で偶然見つけた“豚番長”という名の店。蒲田の豚番長とは無縁らしい。