暇潰しの達人・・・蒲田「みつるちゃん」

お互い残業も無いし、たまには会社帰りに蒲田で飲みますか、ってことで戸籍上の配偶者と待ち合わせ。

ところがスムーズに物事が運ぶ事が少ないのが人生、向こうが30分遅れるという。

しかし案ずるなかれ、蒲田という街で有効に30分を使う術など俺はいくらでも持ち合わせているのだった。

という訳で目指したのは蒲田西口バーボンロードにある「立飲処・みつるちゃん」。先日訪問した串揚げの店だ。

暖簾をくぐると、「いらっしゃい!あ、先日はどうも!」とマスター。毎日大勢の客が来店するだろうに、俺のようにさしたる特徴のない容貌の人間を一度見ただけでよく覚えているもんだな、と妙に感心。きっと優秀な商売人なのだろう。

串揚げ5本と生ビールのセットをオーダー。
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この日のセットの内容は長ネギ、玉ねぎ、椎茸、ウインナー、牛串の5種。
パン粉が細かい上にサクッと揚げてあり、思いの外あっさり食べられる。旨い!

店内のモニターでは在りし日の三沢光晴天龍源一郎の試合が流れていた。マスターの私物のDVDらしい。
「ボク三沢さんの大ファンなんですよ。」とマスター。
呼び捨てではなく“さん付け”で呼び、故人への想いを過去形ではなく現在形で話すアタリに三沢光晴への深い愛情が感じられる。

俺もビールのお代わりを飲みながら、その試合を見ていた。
プロレスを見るのはいつ以来かな?実に久しぶりのような気がする。
そう言えば馬場も鶴田も三沢も橋本もブロディもアンドレもみんな死んじゃったんだよなあ、などと妙に感傷的な気分になってきた。

三沢のランニングエルボーが炸裂してスリー・カウントを奪ったのを見届けてお会計。締めて1000円であった。安っ!

隣のお客さんが「プロレスってヤラセなんだろ?」と聞いていた。
マスターも「そうですね、ある程度の筋書きは決まってます。」と答えていた。

ミスター高橋の暴露本が出版されて以来、プロレスに筋書きがあることは半ば常識になっている。「ヤラセ」と言われればその通りだろう。
でもプロレスにいかに筋書きがあろうとも、リングで三沢が死ぬなんて筋書きはどこにもなかったはずだ。

彼等は命を懸けて闘っている訳ではないが、命を懸けて観衆にショーを見せている。

それは「ヤラセ」の一言で片付ける事などできるものではないし、ある意味崇高な仕事とも言えるだろう。

ところで原則的に釣りには筋書きがないはずなのだが、たまに人知の及ばない何かに導かれる(即ち神だとか運命だとかそういう類のモノ)こともあるのだ、というのが俺とDDVセンパイの共通の認識である。