外道王

カワハギに夢中になった俺は、トラウト釣り仲間である友人(仮にA君)を猛烈にカワハギ業界へと誘った。
“釣って面白い、食べて美味しい”と喧伝しまくると、半信半疑ながらやる気になった友人(仮にA君)。気が変わらない内に手を打つべく俺は車で彼を迎えに行くと、そのまま上州屋へと向かったのだった。

そして12月20日、早朝5時半に家を出た俺は、友人(仮にA君)の家を経由し、久里浜へと向かった。
途中保土ヶ谷PAで朝食をとり弁当を購入、船宿には出船1時間前の7時に着いたのだが、駐車場は既にほぼ満杯だ!急速にカワハギ人気が加速しているのだろうか?
二人並べる釣座の確保も非常に困難だった程の船上の混雑ぶりに戸惑いながら、
とりあえずセッティングを施し出船を待つ。テンションが低めだった友人(仮にA君)も人生初の船釣りに見る見るテンションが上がって来ている!

海は前回とは比にならない程穏やかで爆釣を予感したのだが、この日はベラやトラギスなどの猛攻が凄まじく、俺はワンキャスト・ワンヒットぐらいの猛ペースで外道を釣りあげる外道王と化した。気のせいかも知れないが、周りもハイペースで外道を釣っていたけど、明らかに俺の外道の数は周りを圧倒していたように思う。そして本命が全く来ないのよ!

一方友人(仮にA君)は、カワハギではタブー視されているトラウト釣りのような派手なアワセを入れているにも関わらず、俺より順調に釣果を伸ばしていた。そして外道王の俺もビックリ!ウツボ、タコ、カサゴと様々な外道も釣り上げ、真の外道王に君臨したのだった!
俺も負けじと変な熱帯魚みたいな魚を釣り上げ応戦したものの、結局本命でも外道の種類でも彼に負けてしまったのだった。

さて購入したばかりのマイ・ロッド、感度が非常に良く、ちょっとしたアタリも確実に手元に伝わる。しかし、前アタリと本アタリの見極めが全く出来ない未熟さ故、アワセのタイミングが最後まで掴めなかったことが今日の敗因だろう。でもアタリが取れるということは、研鑽を積めば釣果も伸ばせるということになるのでは?
という訳で更にカワハギへの熱い思いはますます高まったのだった。

15時に沖あがりして帰港すると、捌き方が分からないとのことで、友人(仮にA君)は早くも獲物を持て余し気味だ。
だったらせっかく美味しく頂ける外道もある訳だし、何より俺は二週間前にカワハギを捌いたばかりの経験豊富な料理人。で急遽友人(仮にA君)宅で緊急カワハギ鍋パーティーを敢行することと相成った。
そしてそのカワハギ鍋の何と美味いことよ!濃厚なダシには何の臭みも無いのに、深い旨味がある。その旨味が豆腐や油揚げや野菜類に染み込んだその至福の味はフグチリにも勝るとも劣らない!いや、無造作に大量のカワハギを鍋に放り込むその豪快な調理方法故、店で食うフグチリより魚密度が遥かに高いため旨味は深い!
友人(仮にA君)お手製の茹蛸のお造りも、信じられない程の柔らかさだし、肝醤油で頂くカワハギ刺身の相も変わらぬ美味さといったら!

俺達は美味い料理に舌鼓を打ちながら、翌週の再釣行を誓ったのだった。
カワハギ万歳!


【釣果】
8時出船、15時沖あがり
カワハギ2枚 (外道多数)


【タックル】
ロッド:TRANSEAカワハギ175タタキH
リール:カルカッタ・コンクエスト301F
ライン:PE1.5号


【本日の総括】
トラウト釣りでさえ“下手の横好き”の範疇を超えられない俺だが、少なくとも自分のスタイルというか方向性は確立された感がある。だから新たな発見やテクニックの伸びしろは限定的だし、そもそも向上心があまりないのだ。
それに比べ、新たな種目に取り組めば新たな発見や驚きの連続で無限の可能性を感じるし、その経験値が良い形でトラウト・フィッシングにも跳ね返るような気がする。
何より、俺も友人(仮にA君)もオントシ・サンジュウキュウサイの立派な中年であるにも関わらず、釣り船乗ったら最年少の部類に入る若輩モノなのだ!
この先も長く楽しめること間違いないじゃないか!

餌釣りに抵抗があったのに、やってみたらこんなにも楽しかった。
ある程度のスタイルやルール、方向性が明確な方が趣味は楽しいが、釣りや釣り方に王道は無く、楽しみを自分で限定する必要も全くないのだということを今回学習したように思う。
そんな訳でトラウトもカワハギもガンガンやるし、機会があれば他の釣りもやっちゃうよ!