ザ・スキン・ピーラー~皮剥ぎピエロの連続殺戮

前回の続き。

月曜日会社に行ってからも、断続的にカワハギのプルプルっとしたアタリがフラッシュ・バックし、何とは無しに落ち着かない。まるで鹿島槍で大物を何本も釣り上げた翌日のようだ。
また、慣れない左手でのロッド・ワークが災いし、左腕は全体的に若干の筋肉痛。
『いつもの右竿左巻きセッティングだったら、もう少し釣れたんじゃないか?』などと思ってしまったが最後、カワハギ・タックルが欲しくてたまらなくなってしまった!
幸か不幸か前の週の金曜日にボーナスが支給されたばかり。実はボーナス支給の数日前、某有名中古楽器店で気になるジャズ・ベースを見つけ、買おうかどうか迷っていたのだが、一気に方向転換だ!

社内ミーティングの席上、前日釣りの手ほどきを受けたチョイワルH氏と顔をあわせる。心なしか、先週までに比べ立派な人間に見える。
「あ、師匠、おはようございます。」といつになく謙虚な俺。するとチョイワル氏はニヤニヤしながら「おお、お前エサ釣りは汚いから嫌だとか散々言ってたけど、どうだ、面白かっただろう?」元々はフライ・フィッシングとバス釣りをこよなく愛していたというチョイワルH氏、どうやらこちらの気持ちが手にとるようにわかるらしい。俺も素直に「そうなんすよ、毛嫌いせずにもっと早くやってりゃ良かったな~。」と応じ、更に「専用タックル揃えちゃおうと思うんすけど、品揃えが良い店教えてもらえません?」といきなりの質問攻めだ!するとH氏は意味ありげに「今日七時半から渋谷警察の近くの店で飲み会が入ってるんだけど、その前にサン〇イ寄って買いたいモノがあるんだよ。」と耳打ち。「・・・。お供します!」

俺は外出先から直帰にし、いち早く渋谷サンス〇船釣り館に到着。チョイワル氏を待ちきれず、手の空いていたベテラン店員を捕まえてロッドの選定にとりかかる。まずは予算の上限を伝え、更に実践を経て重要視したい点の優先順位、すなわち1.感度の良さ、2.操作性の良さ、3.軽さ、を伝える。俺は全く知る由もなかったのだが、この世の中は多くのカワハギ専用竿で満ち溢れている。ひとつひとつ試していると、何が何だかわからなくなってしまう。オヤジ店員は言う。感度を最も大事にしたいなら、並行継ぎのツーピースは避けるべきである。ワンピースか、グリップだけが外せる変則ツーピースにすべきである、と。
「俺の車トランク小さいんですけど・・・。」と遠慮がちに言うと、「大丈夫、大丈夫。運転席と助手席の間に放り込めばたいていの車に収まるから。どうしても収まらないようだったらむしろ車を替えて下さい。」「・・・。」海の男とは乱暴な生き物だなあ、マッタク!なんてやり取りをしていると、満面に笑みをたたえたチョイワル氏がやってきた。
結局様々なロッドを試してみた結果、最も俺のニーズを満たし、かつ予算内に納まるロッド、TICAのTRANSEAカワハギ175タタキH(凄い名前だな)という竿に決めた。
軽くて、感度が良くて、操作性に優れる反面、軽い重りで浅場を攻めるのには向いておらず、またバットの張りがかなり固めなので、柔らかい竿に比べるとバラシ易いというのが店員とチョイワル氏の見立てだった。しかし、これからのシーズンは深場狙いだし、感度が悪いけどバラシにくい竿より、多少バレ易くとも高感度でガンガン掛けにいく竿の方が楽しそうだ!
さて、お次はリール。カワハギ・アングラーに最も人気があるのはダイワの小型両軸タイプとのことで、何種類か触らせてもらう。非常に軽く、持った感じも使い易そうではあったのだが、デザインとカラーリングがどうにも野暮ったくて好きになれない。先程購入を決めたロッドとのマッチングもイマイチだ。しかもトラウト用リールで言えばセルテートよりツインパワー。イグジストよりステラ(高くて買えないけど・・・)。俺はアンチ・ダイワのシマノ派なのだ!というような事を店員の荒くれオヤジに告げると、オヤジは「いや、立場上こんなことは言えないっすけどね、私もプライベートではお客さんと同じ趣味なんですよ。そういうこだわりって大事なんですよ。」と全肯定されてしまった。そして「お客さんの予算には合わないんですけど、個人的にはこれが絶対のオススメなんですよね。」と持ち出したリールはシマノカルカッタコンクエスト301F。おいおい、それは俺でも名前くらい知ってる最高級ベイト・リールじゃねえか。5万も出せねえよ、と思ったら3万円強で買えるという。
しかもオヤジとチョイワルが「このリールが出た時は衝撃だったねえ。」「ダイワが面食らったんですよコレが出た時。」「ABUにも引けをとらないもんなあ。」などなど思い出に浸りながらも最高の賛辞を贈っている。オヤジが俺に「これがあればカワハギの他ライト全般、タチウオのジギングやイカにも使えますよ!」と汎用性の高さをアピールする。追い撃ちをかけるようにチョイワルが「ま、予算と相談だから俺には何も言えんけど、釣りの道具って廻り道しがちなんだよな。」と、トラウト・タックルで廻り道しまくった俺の急所を的確についてくる。
竿にセットしてみれば、見た目もタックル・バランスもバッチグ~。(死語以前)
負けた・・・。負けましたよ、あなたがたの熱意と策略に。タックルは実用性と負けず劣らず見た目も大事、そのうえ性能もお墨付きとあれば予算を超えようがイクしかねえ!

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もうやるしかない・・・。