WHITE RIVER

11月28日(金)午前8時。
普段であれば会社へ出勤する為に慌しい時間を過ごしているのだが、この日俺はある男の到着を待っていた。
その待ち人とは我らがバンドのリーダー、通称「リーダー」だ。
しかし到着予定時刻の直前、「渋滞にはまっててまだ暫くかかりそう」との連絡が入った。手持ち無沙汰でベースの練習などをしながら待つこと50分、リーダー我が家に到着。
リーダーの車を我が家の駐車場に残し、俺の車で出発。環八を北上し、高井戸のガストで我らがバンドのギタリスト、fIVEが合流。そして高井戸ICから首都高に乗り、更に東北道へ入り北上を続ける。
家を出たときは豪雨だったが、雨は徐々に弱まっているような気がする。天気予報によれば天気は西から回復するとのこと。しかし我々の進路は低気圧の進路と同じ方向である為、イメージとしては厚い雲に向かって疾走している感じだ。
そして車中のBGMは勿論我等がバンドの最新作(通称LIVE IN SENDAI)だ。他人には聞かせられないお粗末な演奏だが、当事者しかこの車には乗っていないのだから遠慮無く爆音再生が可能だ!井の中の蛙大海を知らずというが、大海を知らない井の中の蛙達は自分達の作品にご満悦なのだからそれはそれで最高だ。
さて、そんな我々の目的地は勿論白河フォレストスプリングス。さして大きな規模ではない同じ会社に勤める三人が、しかも36歳,38歳,39歳という中堅クラスの三人が堂々と同じ日に休暇を取得した上に会社の保養所に宿泊するという背徳的爽快感!この気持ちを一言で表現するならば「ザマーミロ」って感じだ。


さて、目指す白河FSには12時過ぎに到着。平日ということもありガラガラだが、客足が遠のいている理由はもう一つある。それはこの豪雨だ!とりあえず受付を済ませるべくレストハウスへ。レジにいたマネージャー氏は我々のタックルを見ると「今日はコンディション最高でしゅ!」(大雨じゃねえか・・・)「朝からルアーが爆釣で表層でも底でも釣れてましゅよ!」(ナヌ!?)しかしいくら耳寄りな情報を頂こうとも、長旅を終えたばかりの三中年はいきなり豪雨の中に飛び出してロッドを振ろうなどという根性などもはや持ち合わせていないのだった。というわけで、半日券を買ったにも関わらずまずはレストハウスに陣取り白河名物メガバーガーをオーダー。アメリカ育ちのミンチ王、我らがリーダーも認めるここのハンバーガーは相当クオリティーが高い。しかしメガ故の宿命で付け合わせのポテトフライもメガ盛りであり、食べ切れないというメガ悲話。
窓の外に目をやれば、雨ニモ負ケズ、メガマスどもがメガライズを繰り返している。確かに活性は高そうだが依然として降り続くメガ豪雨。気分もメガ萎えだ。
13時過ぎ、小雨になったのを見て3rdポンドへ出漁。まずはパイロット・スプーンのNOA2.6からスタート。“爆釣”って言うぐらいだから、そこそこ反応はあるだろう。

…。


あれ?全然釣れないよ?


……。

あれ?周りにポツポツいるアングラーも誰も釣ってないよ?

忘れてた、ココはかの有名な白河FSだったよ!

「爆釣でしゅよ!」と言い放ったスタッフを責めてはいけない。だってここは白河なのだから。
釣れない己を責めてはいけない。だってここは白河なのだから。

仕事関係の面倒臭い電話をかけてきたスタッフを責めてはいけない。だってここは白河なのだから。

…。

ん?

最後のは白河関係ねえ!

俺は今日休みを取って精神のメンテナンス中なんだよ!気が滅入る上に簡単に解決できない種類の問題じゃないか、コレ!

俺はしばし中断を余儀なくされ、関係各所に電話をかけまくる。
ああ、ああああ、ああああああ、ナンセンス極まりないよ、マッタク!!!

「ゴルフってメンタルなスポーツなんだってね。」「ふ~ん。」

…。

釣りだって負けず劣らずメンタルなスポーツだぜ!

というわけで釣れない焦りと仕事のトラブルに、しかも福島くんだりまで来ているというのにこんな糞みたいなトラブルに巻き込まれてしまった怒りと諦念。俺は孤独なボウズ街道をひた走るハメに陥ったのだった・・・。



【釣果】
13:30~17:00
1尾(ブラウン)

【タックル】
ロッド:TAPER&SHAPE GAAS-66XULT
リール:TWINPOWER 1000PGS
ライン:GT-Rトラウト・ゴールド 4.0lb

【ヒット・ルアー】
NOA2.6(サンスイ・オリカラ)

【本日の総括】
さてさて、クローズ時刻は17時だが、16時半を過ぎると照明の乏しい白河は漆黒の闇だ。そしてこの時間帯、リーダーは怒涛のワンキャスト・ワンヒット状態に突入し、彼の握ったカーディフXT62XULは弧を描きっぱなしだった。それでも俺にはアタリすらないのだから釣りとは恐ろしい。

結局この日は流れ込みで出合い頭にキャッチしたブラウン1尾のみという非常にお寒い釣果となってしまった。
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さて、釣りを終えた我々は、宿に行く前に寄る所がある。そう、それはJR東日本那須塩原駅だ。仕事を終えて新幹線でやって来た“Mr.アメリカの鱒釣り”ことDDV先輩と合流する為に!
ただでさえ狭い俺の車に身長188センチのfIVEと183センチのDDVを含む男4人が乗り込むと、そこは寿司詰め監禁オイル地獄だ。更にBGMは爆音で流れる我らがバンドのゴキゲンなナンバーとくれば、周りの車からは俺達は狂人護送集団にしか見えなかったことだろう。

近隣のコンビニでアルコールをしこたま買い込むと、我々はチェックン→温泉→夕食→そして狂乱の宴へと突入した!
遠征の為に早朝に起き、翌朝も早くから釣りをする予定の我々、早く寝ることが得策だと分かっているのだが、狂乱の宴は日付が変わってからも続いたのだった。途中で力尽き畳に突っ伏して眠ってしまったfIVEのBREEZY SOUNDを聞きながら
・・・。

つづく。