COOL fIVE

管釣りが好きだ。色々な管釣りに行ってみたいと思う。

だから出張が決まると出張先近辺の魅力的な釣り場を探す癖がついてしまった。

おかげで札幌に出張が入ればBIG FIGHT松本、名古屋に出張が入れば平谷湖といった具合に、普段中々足を運ぶことが出来ない管釣りへ行く楽しみができ、ただでさえテンションが上がりやすい出張がますます楽しいものになってきた。

しかし、今回の出張先である福岡は9月に行った大阪同様近くに魅力的な釣り場がない。そんな時にするべきことと言えば勿論食べ歩きと観光だ!なにしろ福岡は旨いものの宝庫、管釣りは無くとも俺が日本で一番愛する地方都市なのだ!
話は変わるが俺は東京生まれのHIP HOP育ち(ちょっと嘘)。しかし熊本出身の父と鹿児島出身の母をもつ俺は、幼い頃から九州との関わりは深かった。小学生の頃には夏休みの度に九州に行っていたし、俺にとっては第二の故郷のような場所だ。しかし、ふと考えて見れば俺が唯一足を踏み入れた事がない県がある。それは長崎県だ!

そんなわけで福岡グルメもそこそこに、土曜の夜中に仕事を終えた俺は日曜日の朝9時5分に天神バスセンターを出発する長崎行き高速バスに飛び乗った。
何の面白味もない風景の中を走ること2時間強、俺を乗せたバスは長崎駅前に到着。意外と近いな。
さて、着いたは良いものの土地勘も情報も何も持っていない俺。とりあえず観光案内へ行くと、12時発の市内観光バス所要4時間コースがあるという。う~ん、観光バスかあ・・・。
ツアーの類いが大の苦手な俺としては実に気が進まない。伊集院光似のバスガイド(何故か俺のイメージではイケテないバスガイドは伊集院光に似ている。)の旗に先導されて名所を見て歩くなんて耐えられないし、ツアー客である目印のバッジを付けるなんて屈辱的だし、増してや伊集院光似のバスガイドが下手な歌でも歌おうものなら紅顔必至だし、そのうえツアー客が手拍子など始めようものなら死にたくなってしまうかもしれない。
しばし観光案内所の中で逡巡するも、今からガイドブックを買って観光プランを練る方が現実的ではないと観念し、その定期観光バスとやらに乗ることにした。なにしろ俺は福岡空港を今夜発つ便で帰京しなければならないのだ。(観光バスのチケットを購入すると案の定「見える位置につけて下さいね~。」とバッジを手渡され、先が思いやられる。)さて、バスの出発までは40分程ある。
ということは長崎名物ちゃんぽんor皿うどんで早めのランチじゃ!

・・・。

なんでちゃんぽん屋が駅前に1軒もねえんだよ!?
あのさあ、“JR長崎駅”といったら長崎観光の玄関口なわけじゃないですか?そしたら名産品を提供する店が1軒くらいあったって、例えそれが最高に旨い店でなくても1軒くらいあったっていいんじゃねえのかい?もし俺が長崎県だったら真っ先に長崎駅前にちゃんぽん屋を配置するね、マッタク。
そんなわけで駅ビルの某有名ファミレスにて割り切れない気持ちを抱えながらちゃんぽんを食し、バスに乗り込む。
さて、未踏の地・長崎に対して抱いてイメージと言えば、①坂が多く ②路面電車が走り ③異国情緒に溢れ ④大村湾をぐるりと囲む独特の地形 といったところで、なんとなくサンフランシスコのような街並を想像していた。
しかし車窓から見える長崎の街は、サンフランシスコとは全く異なり、言わば“巨大な熱海”といった風情だ。
考えてみればいくら異国情緒溢れようともここは日本なわけで、アメリカの都市よりも熱海に似ている方が遥かに自然だ。

駅から5分ほど走ったところで最初の見学地「原爆資料館」に到着。
唯一の被爆国民たる日本人として、一度見ておいて損は無かろうという程度の軽い気持ちで行ったのだが、いや、凄かった。
平和を愛するナイス・ガイで魚にも優しいナイス・アングラーな俺は、勿論核兵器を肯定する思想など持ち合わせていないが、“核抑止力”という概念に本質的な矛盾を認めながらも一定の理解できる部分があった。すなわち「しょうがねえじゃん、出来ちゃったんだもん。誰かが独占しちゃうほうが危険だから、バランスとって何人かでシェアすれば?」という感じである。でも、ここで見た圧倒的な現実。ここを見たらかけらほども核兵器を肯定できる要素などなくなる。館内は日本人のみならず、多くの外国人観光客の姿もあったが、彼等ひとりひとりに感想を尋ねてみたい衝動に駆られた。日本に生まれて39年と7ヶ月。高校生以降、中道よりやや左よりに居場所を定めていた俺のイデオロギーは近年やや右傾化が見られるようになっていたのだが、そんなの関係ねえ!駄目だ、感じた事を言葉にできねえ!
まだまだ見ていたかったのだが、バスの出発時間が迫り退館を余儀なくされる。ああ、もう!だからツアーってヤツは嫌いなんだYO!

続いて平和公園へ移動。するとガイドが「ええ、ここで皆様で記念撮影を行いますのでご協力下さい。写真屋さんにお金を渡すと後日ご自宅まで写真をお送り致します。」
誰が写るかそんなモン!!!
ああ、もう!だからツアーってヤツは嫌いなんだYOOOOOOOOOOOOOH!
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モニュメント。こめられた思いに反してなんとなくユーモラスな印象を受けてしまうのは俺だけ?

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平和記念猫。さすが平和の象徴、呼べば寄ってきてこのリラックス。

ウンコ撮影で相当気が滅入ってしまった俺(デリケートなのだ)、バスを降りちまおうかとも思ったが観光を続ける。

続いての目的地は歴史の教科書でもお馴染み“出島”。
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しかし、周り全てが埋め立てられた現在、僅かに外壁にその名残りを留めるのみで、建物は全て復刻。ガイド曰く「(若干得意気に)先週ここで水戸黄門の撮影が行われまして、その模様は12月に放送されます。」それがどうした!俺は太秦日光江戸村に来たわけじゃねえんだよ!
ここが日本の歴史上重要な場所であることはわかるが、所詮はレプリカじゃねえか。さっさと立ち去りたかったのだが、ご丁寧に30分以上も観光時間が割かれている。
ああ、もう!だからツアーってヤツは嫌いなんだYOOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!

ええ、続きまして~、こちらが孔子廟でございます~。
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一体俺はなんで長崎で中国の博物館を見ているのか?割り切れぬ思いで雑に見学。

そして大浦天主堂
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「こちらが国宝・大浦天主堂でございます。」
「…。ふ~ん。」

そしてグラバー邸を散策。
(あれ?相当つまらなかったのか写真が一枚もないぞ!?)

で、長崎駅に戻って解散と相成った。

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おまけ。長崎駅停車中の特急かもめ

さて、福岡へ向かう特急の発射時刻まで1時間ほどあるのだが…駅前に上手い食い物屋も時間が潰せそうな場所もまるでないんだよ!
俺は駅ビルでウンコをし、駅ビルをぶらぶらし、コーヒー・スタンドでコーヒー飲みながら手持ちの文庫本を読み、無為に時間を過ごした。やはり旅にはある程度の準備が必要なのだということを噛み締めながら…。

そんな訳で食べ歩きも観光も非常に消化不良な遠征となった。
失敗から学ぶことも少なくはないが、俺に残された人生は修学旅行に来ていた若者達と比べれば原則的に長くは無い。
次からは計画的に無駄の無い旅をしようと特急つばめでビールを飲みながら思ったのだった。