ロング・グッバイ(上)…11/25鹿島槍ガーデン

11/25、26の長野県北部の天気予報、晴れ。冬型の気圧配置も緩み日中は暖かい。

キター!!絶好のコンディションで2日間に亘る今年最後の鹿島槍参詣。好天下での遠征は実に久しぶりだ。最高の天気の中で最高の魚を釣りまくって最高に楽しく締めくくりたい。そんな期待を胸にニュー・ロッドを携え、友人(仮にA君)の車で6時半に自宅を出発した。

で、前回の記事に写真を掲載したそのニュー・ロッドの正体とは……
TAPER&SHAPE、GLASSWAY エリアエリア GAAS-66XULTだ!

「上州屋・トラウト初心者セット」の韓国製60ULから始まり、シマノのトラウト・ワン60SUL、カーディフXT60XULを経て今のメインであるレスターファインX-STREAM63SULに辿り着いた俺のロッド遍歴。
この現在のメイン・ロッドは使い込む程に味が出てきて、最高に気に入っている。
切れの良いキャスト・フィール、軽い割りに大物にも負けないパワー等、実際に使ってみて気に入った部分もある。しかしそれ以上に気に入っているのが“職人気質”を感じる竿だということ。ワンピースのブランクスを焼き上げてから2ピースにカットするという製法、“洗練”という言葉よりは“無骨”という言葉が似合う外観、良くも悪くも随所に残る手作り感、25年保証etc……。何よりも完全オーダーメイドであった為発注から納品まで5週間もかかったこと、その甲斐あってか(?)釣り場で他のユーザーを見掛けることが殆ど無い!性能面からもその背景からも俺の所有欲を完全に満たしてくれるロッド、飛行機に乗っけて2度も北海道へ連れて行っちゃったこの相棒は長く大事に使いたいと思う。
そんなわけで『いつか欲しいな~』と思っていた村田師匠ご愛用のカーディフ・エリア・リミテッドへの憧れはいつしか完全に消え去ってしまった。

カーボン製のロッドに関しては今のところ自分の中で行き着いてしまった感がある。新商品や評判の良いとされる竿を見ても“どうしても欲しい”とは思わない。となると必然的に(って訳でもないか)他の素材の竿に興味が移ってきた。具体的にはグラスである。(ボロンは?)
“安い”“重い”“古い”とネガティブな印象ばかりを持っていたグラス素材だが、釣り雑誌のインプレを読んだり、会社の大先輩で釣り歴40年以上の“還暦チョイワル釣り師”の話を聞いているうちに、カーボン・ロッドとは全く異なる楽しさがある素材だという事が分かってきた。そんなわけで釣具屋でグラス・ロッドを見かけるたびに手にとってみるようになったのだが、重いしハリは無いしでう~ん、よく分からん!
それなら冬のボーナスで1本買っちまえ!ということで色々調べ、3本の候補を絞り込んだ。
条件は1つのみ。“6フィート6インチ以上の長さがあること”。
これは鹿島槍ガーデンや白河FS等、大規模ポンドでの釣りが好きな俺が、現在のメイン・ロッドに対して唯一不満まではいかないが『もう少し長くても良かったかな…。』と思ったことに起因するものである。
①エイテック社 TAILWALK Beatrickグラッシー 66
②アングラーズ・リパブリック社 PalmsギャラリーGAVS-66XUL
③TAPER&SHAPE社 GLASSWAYエリアエリア 66
価格も上から約2.5万、3.5万、4.5万と微妙に異なっており、非常に悩ましい。
バランス的には一番良さそうだったのだがデザインが好みに合わずまずは②が脱落。セパレート・グリップは好きなのだが、あのコルクの曲線的な形状がどうにも我慢できなかったのだ。

①にするか③にするか、悩みに悩んでいたところ、以前の記事に書いたように衝動的に買っちまったというわけだ。そりゃー、較べたら③の方が良いに決まっている。でも俺のメイン・ロッドを凌駕するその価格(グラスってカーボンより安いんでしょ!?)がネックとなり簡単には決められなかったのだ。

さてこのTAPER&SHAPEという会社、というよりオーナーの島津靖雄さんという方のこだわりは相当なもののようだ。雑誌「アングリング・ファン」に彼のロッド・メイキングにおけるロジックが掲載されていたが、その奥深さと生き様には感心した。印象的な発言も幾つかあった。でも特に印象的だったのは、まるで東映任侠映画から飛び出してきたかのようなそのルックスである!(失礼!)みるからに“こだわり”“頑固職人”といった感じで、“職人気質”に弱い俺は完全にやられてしまった。(余談だが同様の理由でオリエンやBUX等のアングラーズ・システムのスプーンを気に入っている)

もうひとつ余談。実際に届いた竿を見て、グリップ・エンドの金属キャップにかつての薩摩藩藩主、島津家の家紋が入っているところに感激した。(そういえば島津さん、武士っぽいと言えなくもない)
俺のルーツの50%は鹿児島県(母方は鹿児島)、なんとなく運命や因縁を感じないでもないではないか。

さて、前置きが非常に長くなった。
長くなったのは理由がある。

…。

……。



全然釣れなかったからだ!!!

10時過ぎには鹿島槍に到着。連休最終日だから相当な混雑を予想したのだが、先行者は2~30人程度か?この広大な鹿島槍ガーデンではポイントは選び放題だ。

2号池1号池寄りに釣り座を構えたが、心なしかいつもより魚影が薄いような。更に水がクリアーなので魚が丸見えだが、殆どの魚がジッとしており活性は低そう。

手を変え品を変えるも魚たちは俺のルアーを無視。友人(仮にA君)もインレット付近という良い場所に釣り座を構えているのに大苦戦。釣れているのはフライ・フィッシャーとマイクロスプーンでボトムを叩いているアングラーのみ。俺のタックルでボトム攻めるならスプーンを着底させてのボトムずる引きか、DR系プラグなんだが、藻が生い茂っているここではそんな攻め方は到底できない。

完全に手詰まって次に使うべきルアーも決められず、途方に暮れてワレットを漁っていたらBIG FIGHT松本のおばさんに教えてもらって買った風変わりなルアーが目に付いた。
どう見ても釣れそうにないその形状、でも祈りを込めてキャストを繰り返す。“このルアーは超デッド・スローで巻くのが効果的。たまに手を止めるのも誘いになる”とのアドバイスを思い出し、ゆっくりゆっくり巻くが全くアタリがない。目先を変えてちょっとクランク的に使ってみようと通常のリトリーブ速度に変えて2投目、ガツンという衝撃が!激しく鳴るドラグ、凄まじい引き、スレか?しかし徐々に寄せるとしっかり口にフックの刺さった大きなニジマスの姿が!慎重によせてランディング!
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時刻は13時30分。3時間かけてようやく釣り上げた本日の1匹目は鹿島槍らしいヒレピンの大型レインボーだった。BIG FIGHTのお母さん、ありがとう!あなたのアドバイスのお陰で大物を仕留めましたよ!
まさかブラックバス用のラパラ・ジョインテッド・シャッド・ラップで本当に釣れるとはね…。

しかしこの後全く続かず。
集中力も切れ、どうやって攻めたかも全く覚えていない。

気分を変えるべく3号池へ移動。ここも実に渋い。
もうなんでもいいから釣りたい!というわけで自主規制スプーン筆頭のペレスプをチョイス。数投目でラインが張りアワセ、フィッシュ!
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大物が多いはずの3号池、普通サイズじゃん……。

大型ブラウンでも狙うか!というわけでスミスのシャッド、JADEをチョイス。タダ巻きを基本に軽めにトゥイッチを入れ巻く。トゥイッチ入れたとたんにコツンという感触!竿を立てて追いアワセを入れる。
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わかりにくいが一応タイガー・トラウト。でも小さいなあ、こいつも…。

ちなみに3号池は先週降った雪が残っていて、アウトレット付近はこんな感じ。
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前回ここでオリエン4g消ブラックでコマスが4連荘したことを思い出し、早速チョイス。しかしこれでも釣れない。“参ったな、今日はちゃんとしたスプーンで釣れてないぞ…。”と天を仰ぐと
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この絶景。
哀愁や ああ哀愁や 哀愁や
             -芭蕉

2号池に戻ると、これまた苦戦している友人(仮にA君)は完全にヤル気を失っていた。
辺りは薄暗くなってきており、これからが夕マズメじゃないかとも思うのだが俺の心も折れ気味。
「早く旅館行って風呂でも入ろうぜ!」と風呂嫌いの友人(仮にA君)から珍しい提案があったのだが「締めにALFを投げさせてくれ!」と制し、ALF2.7黒をキャスト。
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激渋の今日に相応しい極小ニジマスをキャッチし(しかもピンボケ)納竿とした。



【釣果】
10:30~16:40
4匹(ニジマス、ブラウン、タイガー)



【タックル】
ロッド:TAPER&SHAPE GAAS-66XULT
リール:BIOMASTER Mg 1000PGS
ライン:GT-Rトラウト・ゴールド 3.5lb



【ヒット・ルアー】
RAPALAジョインテッド・シャッド・ラップ、ペレスプ、JADE(サスペンド)、ALF2.7(黒)



【本日の総括】
鹿島槍でここまでの貧果は初めてである。
さて、ニュー・ロッドの印象であるが…
こんなに釣れないんじゃまだわからねえ!
釣れない時って良い印象は残らない。明日は爆釣を期待したいが、ひと雨降るか放流がない限り厳しいだろうな。