平成の終わり、小出監督の死。

改元
遂に私の人生で3つ目の元号である。

しかし昭和が終わった時に比べれば、いや、別に比べるまでもなく、特に何の感慨もない。

何にだって終わりはあるということが、天命を知る我が身に染みて、よく分かっているからだ。
だからこそ、大事なものをとことん大切にして、どうでもいいものとは徹底的に関わらないように生きたい。
ま、後者に関しては会社員をやっている限りはそうもいかないんですけどね。
言わば意識の問題である。

改元よりも感慨深かった最近の出来事は、女子マラソンで有名な陸上の小出監督の死だ。

イメージ 1

恐る恐る走り始めた頃、私は誰かに走り方を教わりたくてこの本を購入した。

これが驚いたことに、金言・至言の宝庫であった。

フォーム?
そんなもん人それぞれ、走り慣れるにつれ自然に自分に適したフォームになってくる。

呼吸法?
ルールなどない。考えずに身体が勝手にやってくれるに任せる。

ペース?
苦しいのはダメ、鼻歌が歌えるぐらいが丁度良い。

続けるコツ?
欲張らないこと。

途中で苦しくなる?
そりゃ頑張りすぎ。もっとゆっくり走ってごらん。

等々。

しかし読み進むにつれ、ロジカルな内容も出てくる。
怪我をしない為に、タイムを縮める練習方法、レースのコツ、など。

走るとはフィジカルでプリミティブな行為。
まずは頭で考えず心と身体の赴くままに。
ロジックは後から。

この本のお陰で気負いのようなものもなくなり、走ることが純粋に楽しくなった。速く走れるようにはなりませんでしたけどね。

そしてここに書かれている内容はジョギングのみならず、仕事や私生活にも敷衍可能なひとつの哲学であった。

平易な言葉で書かれ、氏の優しいキャラクターが偲ばれるとても親しみやすい本だが、恐らく彼自身は恐ろしく深い次元まで「走ること」についての思考を掘り進めていたのだろう。

R.I.P