唐沢そば集落(長野県山形村)

勤労感謝の日は、休日ファッキン・シュッキン@長野県。
休日出勤というよりは、日帰り出張という距離だ。

前夜から降りしきる雨は朝になって激しさを増し、どのみち休みでも釣りには行かなかったであろう。
喜んで労働に勤しもうではないか。
働ける悦びを噛み締めながら働くことこそ真の勤労感謝の日なのではないだろうかと自虐的に独りごち、愛車を駆る。

そういえば中央道を走ること自体が久し振りである。
トラウト・フィッシングに夢中だった頃は信濃大町に足繁く通ったものだが、最近は海沿いの道しか走らない。

八ヶ岳を過ぎる頃には空は晴れ渡り、紅葉と冠雪した南アルプスの色彩的コントラストが美しい、心踊るドライブとなった。
若かりし頃には、枯れた葉を見て何が愉しいのだと紅葉狩りには極めて冷ややかな態度を取り続けていたが、自らが枯れてくると紅葉には切実な美しさを感じるようになる。
冬が来れば冠雪するのは当たり前だが、巡る季節がもたらす四季折々の美しさに今年も無事に冬を迎えられた有り難さが加わると、冠雪した南アルプスの美しさもひとしおである。
こういうのは感受性の問題ではなく、老人の感傷に類するものであろう。

岡谷JC(*女子中学生ではなくジャンクションの略語である)から長野道に入り、塩尻北IC(*集積回路ではなくインターチェンジの略語である)で降り、ファッキン現場へ向かう。

...。

さて、長野である。
季節は晩秋11月、帰る前に新そばを食さねばなるまい。

事前に調べたところによると、塩尻から程近い山形村というところに、唐沢そば集落というなんとも魅惑的な一帯があることを知った。

閉店ギリギリの時間帯だけど、とりあえず行ってみよう。

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高原の空は低い。

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そば屋というより民家といった外観の山法師という店に飛び込むと、泉谷しげるに似た店員さんに、そばが終わったので丁度店仕舞いするところだと断られる。
そういえば、今は亡き蒲田のラーメン店、凛に泉谷しげるによく似た究極に無愛想な店員がいたな。
ラーメンを諦め故郷の長野に帰り、蕎麦屋で修行を積んでいたりして。

少し坂を下り、次に入るは根橋屋。

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玄関のような扉を開けると中は本当に玄関で、そこそこの人が並んでいる。

15分程待って奥の座敷へ。
メニューにはビールがあるが、車で来ている私はじっと我慢。

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お通しでビールに合いそうな野沢菜がたっぷりと出て来て、このホスピタリティはむしろ私にとっては拷問だなぁと苦笑い。

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オーダーは天ざるそば1000円也。
大盛にするか迷った末に普通盛りにしたのは正解であった。
都心の蕎麦屋のお上品な盛り方とは全く異なるたっぷりの蕎麦である。

硬めの茹で加減、ツルツルとした喉越し、豊かな蕎麦の香り、出汁の効いたつゆ、大きなかき揚げに厚いカットの野菜の天ぷら。
最高である。

秘境の蕎麦という雰囲気も加味されて、もう最高。
こんな蕎麦ならいくらでも食べられるな。
前言撤回、やはり大盛にすべきであった。
ごちそうさまでした。

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店の外には汚い猫がいた。
どう見ても野良猫なのだが、厳しい長野の冬をどうやって越すのだろうか?

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のんびりと温泉につかり、この集落のそばの食べ比べなども楽しみたいのだが、そうもいかない社畜の哀しみ。

再び中央道を走って哀愁の帰京となった。