タイ放浪記~山岳民族、留学生、ゴッドハンド(10/27)

チェンライのホテルが今回の旅行6泊目にして初めての朝食付きであった。

焼そば、チャーハン、お粥という炭水化物過剰摂取気味の朝食。
味もまぁまぁといったところで、やはりタイでは朝食を付けないことで宿泊料金が多少なりとも下がるならば、ホテルの朝食をパスして街で朝食を摂る方が賢い選択だと思う。
どの街にも早朝から開いている食堂はあり、そして大抵とても安い上に旨い。

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さて、正午のチェックアウトまでに観光の続きを。
まずは前日訪れたら閉まっていた山岳民族博物館へ。入場料50THB。
山岳民族紹介のビデオは日本語音声で上映してくれた。
高野秀行の著作に親しんでいると、ミャンマーやタイの少数民族に勝手に親近感を抱いてしまうので興味津々。

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しかしこのような気になる展示もありました。ううむ...。

さて、その後は無意味に街歩き。
そう言えばチェンライに着いてからピザ、スパゲッティ、ホテルの朝食ビュッフェという地域性の欠片もない食事ばかりで、折角タイ最北の県に来ているにも関わらず北部タイ料理をまるで食べていないことに思い当たった。
しかし朝食を鱈腹食べてしまい食欲がわかない。
私は腹を減らすために猛烈かつ真剣に歩き回ったのであった。馬鹿みたいである。

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そしてこちら割と有名らしいお店にて(名前失念)牛肉の麺を。
入店すると店主さんらしきオバチャンがタイ語でなにやら話しかけてきて(またか)、タイ語は話せないと英語で答えると英語メニューを持ってきた。
なんと牛肉麺一種類しかメニューはない完璧な専門店だが、まず麺の種類を選び(6種類ぐらいあった)、牛肉の種類(茹で、煮込み、揚げ、団子等々)を選び、大小サイズを選ぶ。
いや、これが猛烈に旨い。
甘辛くてコクのあるスープはナンプラーやココナッツといったタイ料理の通奏低音のようなものは一切感じられず、なんとなく台湾の料理に近いような印象。
そう言えばトッピングの牛肉も台南の牛肉湯を彷彿させる。
こんなタイ料理もあるんだなぁ。北部ならではだと思われる。
無理してでも食べて良かった。

ホテルに戻り身支度を整えチェックアウト、12:10発のバスでチェンマイに戻る。
バスが走り出して暫くすると、行きにはなかったサービス、水のボトルが配られた。
蓋を覆うビニールを剥がし、そのゴミをもて余していると、
「ここに捨てていいですよ」と隣に座っていた女の子が自らがゴミ入れにしていたコンビニのビニール袋を開いて差し向けつつ、唐突に完璧な日本語で話しかけてきた。完全にタイ人だと思っていたので驚いた。
私が文庫本を読んでいたので日本人とわかったのだろう。
聞けばチェンマイに留学中の大学生で、今週は前国王の葬儀に伴い学校が休みのため小旅行をしていたのだそうだ。
12月まで留学生活が続くという。
しかしそんな若さでよりによってタイに、それもチェンマイ(!)に留学しようという決断力は凄いよね。
一方の私は昭和天皇が亡くなった頃は怠惰な糞大学生で、勉学には無関心で将来の希望も生の充足感も何もなく無為に日々を過ごす生ける屍であり、40過ぎてからようやく海外に目が向き、この歳になって初めてチェンマイを訪れているような状態。完璧なコントラストである。
君の反面教師、そしてアンチテーゼがここにいる。しかしアンチテーゼを取り込み昇華させることこそがアウフヘーベンなのだ。築地と豊洲の両活用でアウフヘーベンなんて言う人のことを信じてはいけませんよ。
勉強頑張ってね!

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世界の車窓から、タイ北部編。
丘の中腹に金色(どうか「こんじき」と読んで下さい)の仏陀が。

3時間半程でバスはチェンマイのアーケードバスターミナルに到着。
なんか「ああ、帰って来たなぁ~。」という安堵感がするから不思議だ。

トゥクトゥクやタクシーの客引きを交わしてソンテオを捕まえるのもお手のもの。
そしてこの日がチェンマイ滞在最終日、ということで空港に近く、また旧市街の東に位置するナイトバザールとは正反対の城壁西側にあるニマン地区という未訪の場所にホテルを押さえている。

お洒落なホテルにチェックイン、地図を貰って街歩き開始。
ホテルのみならず、ここニマン地区というのはチェンマイ随一のお洒落スポットらしいのだが、お洒落という言葉は男に対する侮蔑語であるという立場を取る私には、あまり縁がなさそうなのであった。
これだったらナイトバザール近辺にもう一度泊まった方が良かったかな。
繁華街の南の外れまで歩きそんなことを考えていたら、「新規オープンタイマッサージ1時間180THBポッキリ」との気になる看板を見つけてなんとなく吸い込まれた。

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セブンイレブンの奥にあるこんな薄暗い店舗である。
まさかこんな店舗にゴッドハンドがいようとは...。
原則的にタイマッサージとは何処でも気持ちがよく、勿論施術の上手い下手は人によってあるけれど、日本の2980円マッサージのような極端な外れというものは今までに出会ったことはない。
しかし稀に「こいつは神の手を持っているのでは!?」という抜群の施術にあたることがあり、ここが正にそれだった。
ああ、凝りが解されてゆく。ああ、とろけそうだ。
これで180THBとは。
担当してくれた女性は見るからにかなりのベテランで、店は新規でも経験は豊富なようだ。
英語が全く話せない彼女になんとか謝意を伝えたく、受付のおじさんに「彼女は天才だと思うよ!」と伝えるとニコッと笑って「ありがとう。」
私は女囚さそりマッサージ師に渡したチップの2倍を彼女に手渡し、店を出てホテルのフロントスタッフに薦められた北タイ料理のレストランへと向かった。ニマン地区、私の中で評価急上昇。

さて、レストランに着くと何やら黒山の人だかり。殺人事件でも起きたのだろうかと思ったら、なんと客が大行列を作っているじゃないか!
入口にいた店員のお姉さんに聞くと、手書きで番号を書いた整理券をくれた。
私の番号は76。そして次に案内される整理番号が日めくりカレンダーのようなボードに掲示されており45。なんと私は31番目、ラーメン二郎関内店もびっくりの並びだ。
しかし整理券を貰ったということは大人しく並んでいる必要もないわけで、私は今宵の寝酒を買いにコンビニへ、そしてビールを冷蔵庫に入れるためにホテルへ、そうだ、wi-fi繋がるうちに明日の飛行機のチェックインも済ませてしまおう。そして30分後にレストランに戻ると私の順番はあと15番先であった。

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数件隣に野外バーがあったのでこれ幸いとビールを飲みつつ時間潰し。
飲み終えてレストランに戻ると私は三番先だったのだが、私の前も、その前も待ちきれなかったのかお姉さんが番号を呼んでも現れず、いきなり私が通された。

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オーダーしたのはオススメ料理にあった北部タイ風豚挽き肉のスパイシー炒め(とライスとビール)。

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青唐辛子の辛さでなく、ベクトルとしては蒙古タンメン中本的な赤唐辛子をふんだんに使用した猛烈な辛さである。
や、これは今だかつてタイでは味わったことのない方向性、メチャクチャ旨い!
地のものフェチの私はにわかに大興奮。
いやー、やるじゃないか、ニマン地区!
しかもこのレストラン、メニューがメチャクチャ豊富で余裕で100種類以上ありそう。
何を頼んでいいかわからずオススメから選んだものの、そのオススメだって20種類ぐらいあったのだ。
嗚呼、もっと色々と試したい!

結局初日二日目はナイトバザール、スコータイ旅行を挟んで次の二晩を旧市街、そして最終日をニマン地区。
それぞれ違う特色があってどこも楽しめたのは大いに良かった。
目論見は成功したと言えよう。

なんだかチェンマイから離れがたい気持ちになっている。