濁り潮・・・3/12庄三郎丸

暦の上では春なれど、まだまだ寒い日が続く。

しかし少なくとも相模湾には既に本格的な春が訪れたようだ。

スプリングターンオーバーは水垢/ヌタ潮を生む。
底モノのアマダイシーズンは終わりを迎え、代わりと言っては何だけど、普段は深海にお住まいの美味しいお魚さんたちが浅場に浮いてくる。

庄三郎早春の風物詩、メダイ五目の開幕だ。

私は約1年振りに引っ張り出したスロージギングの道具を携え、平塚へと向かった。

23号船は大勢のアングラーで賑わっていたけど、ジギング用のミヨシのお立ち台は私が独り占めである。
前日はジグにキンメの反応良く、トップはなんと17枚の大漁。
否が応でも期待は高まったのだが...。

釣れない。
全く釣れない。

「活性が上がればタナはどんどん浅くなっていくから」という船長の言葉とは裏腹に、上から200m前後で始まった指示ダナは、次第に210、220、と深くなっていき、しまいには270mまで深くなる始末。
餌釣りのオモリは120号統一だし、250gのジグではオマツリが心配とジグを300gにチェンジ。

重い、深い、釣れない、という只の苦行へと化していった。

正午の時点で私のクーラーにはキンギョのようなキンメが1枚のみ。
低迷する2017年の釣り運は今だ低位安定中の模様、私は諦念に支配され始めた。

しかし12時半頃だったろうか、「僚船がキンメの群れを当てた」とのアナウンスがあり船は東へ、仕立てで出ていた18号船に横付けだ。

このポイントの230m付近でプチフィーバー発生、バラシや掛からないアタリもあったけど、ポツポツとキンメが釣れ始めた。

しかし時、既に、遅し。
この群れが抜けると、船は再び流浪の旅へ、そして「あと10分で上がります」という終了予告。
これにて終戦かと思った刹那、跳ね上げたジグに明確なアタリ、電撃バップなアワセを入れると
「ズドン!」
しかし直後に消える重み、ラインが切れたかと慌てて巻くと魚が暴れる感触が!
どうやらフッキング後に上に向かって泳いだようだ。

グリグリ巻くと魚が上に泳ぐので楽に上げてきたのだが、残り100m辺りから猛烈に重たくなってきた。
「メダイだ。」
と船長のアナウンスに頭髪の寂しい新人中乗りさんがタモを持ってきてスタンバイ。
最後の最後に待っていたドラマ、これで釣り運は復活だ!
さぁ残り10mというところでなんとお隣二人を巻き込んでオマツリが!
ゆっくり、ゆっくり巻き上げる。
リーダーが見えて、さぁ!
バラムツか!」
とお隣が声を上げたが見えてきたのは大きなメダイ、真鯛なら4kgを余裕で超えているサイズだ。
タモを入れる中乗りさん、しかし掬い損ない竿を立てて魚を回してもう一度!しかしこれもミスキャッチ。
糸を出されたのでもう一度巻いて魚は水面に!竿を立ててランディング!魚がタモに半分入るも落っこちる。頭から掬うというセオリーと逆に、尻尾側から掬うからだ。しかし、この落ちた勢いでオマツリしている部分からリーダーがスパッと切れてしまった!それでもラインがオマツリしているので魚はまだ海面にいる!
「早くタモ入れて!」
私の叫びも虚しく、またしても空振り、結局メダイさんは深海にお戻りになられた。

茫然自失。
そして沖上がりが告げられた。

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【釣果】
7時出船、14時沖揚がり
キンメ5枚、スミヤキ1本


【タックル】
ロッド:TENRYU OCEANIA OC581B-4
リール:DAIWA SALTIGA15HL
ライン:PE1.5号、リーダー:フロロ6号

【本日の総括】
最後のメダイをランディングさせていれば、かなりドラマチックで満足度の高い釣りとなったところだが...。

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しかしキンメは40cm級の良型も混じり合計5枚。午前中のあまりの渋さに一時はどうなることかと思ったけど、深海魚に手巻きルアーで挑んだ超過としては及第点であります。

冷静に考えてみれば、電動リールを入手した今となっては敢えて手巻きで挑む必要もないとは思うのだが、手巻きで、細いラインで、ルアーで挑むことにロマンがある。
ついでに鈍り気味の身体にも良い運動になる。

悔しさもひとしおな釣りとなったので、近日中の再戦は必至だ。