加齢臭・・・新角(有楽町)

同じ部署に強目の加齢臭を放つ人生のセンパイがいらっしゃいますけど、ワタクシ自身も自らの加齢臭に対して神経を使わねばならない香ばしいお年頃になって参りました。

ところで加齢臭とは人の食欲を削ぐものではありますが、ふと香るカレーの匂いというものは否応なしに食欲を刺激します。

恐らくは満足に昼食を摂ることは叶わないであろうと思われた会議地獄のある日の出勤途中、有楽町駅の改札を出たところで不意に鼻をついたカレーの匂いに誘われて、私は新角の暖簾をくぐった。

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玉子カレー、560円。

給食然とした醜悪なルックスと、立ち食いそば屋にしては高めのお値段。

しかし小麦粉感の強い、高い粘度のカレールウは強烈な郷愁を放つ。
加齢臭が気になるお年頃の人間は、ノスタルジーに極端に弱いのだ。

「過去はとにかく美化される。だから正しい、というのは老人の感傷以外のなにものでもない。」とは、かの岡本太郎の名言であり、私の好きな箴言でもある。

だから私はこのカレーを「正しい」と言うつもりはない。例えある種の正しさを体現していたとしても、だ。

但し、ノスタルジーとは善悪とか正誤を超えた次元のものである。

ただ、それはそこに有る。
在りはしないが確かに有るのだ。