原点・・・桂花ラーメン渋谷センター街店

朝一から渋谷で一仕事。
14時過ぎに解放され、会社に戻る前に昼飯食おうと、何処行くかちょっと考えてから懐かしの桂花へと向かった。

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オーダーは勿論、太肉麺。

15歳の春に初めて遭遇した新宿の桂花ふぁんてん、この店こそが私が初めてのめり込んだラーメン専門店である。

当時はメニューの少なさは勿論、大盛すら認めない正統派ストロングスタイルのラーメンであった。
店舗も新宿に3店舗のみであったと記憶している。

高校時代、大学時代は行き帰りに新宿を通るルートだったので本当にしょっちゅう食べていた。
正に青春の味である。

その後の多店舗展開が仇となったようで、2010年に民事再生法の適用を申請して倒産した時は驚いたものだが、しかしその時点では私の足は桂花から完全に遠退いていた。

桂花は多店舗展開するにつれ当初のストロングスタイルが徐々に失われていっただけでなく、味のブレが凄まじく大きくなっていったように思う。
特に酷いのがスープで、時折白濁しただけのお湯のような深みも旨味も何もないものにも遭遇した。
完璧なアタリを引くと物凄く旨い。
しかしアタリを引く確率は3回に1回、5回に1回といった具合に時と共に下がり続け、その割に値段だけは上がり続け、私には割りの合わないギャンブルと化して通う理由を喪失したのだった。

同じ熊本の味千ラーメンが救済し、桂花はよりポップでキャッチーな店へと変貌し今だ存続している。

しかし豊富なサイドメニュー、大盛の導入、そしてあろうことか細麺までラインアップされていることは最早往年の精神や魂を完全に失ったことを分かりやすく示している。
桂花で細麺?それは博多ラーメンのスープに二郎の太麺をいれるぐらいの冒涜じゃないか!

それでもノスタルジィに捕らわれて、年に一度ぐらいは食べたくなる。

味千救済後の桂花は、スープのブレは少なくなった。大当たりを引いたときの超濃厚臭旨スープには遠く及ばないものの、安定的に旨い。

しかし麺が何か違うのである。

ごわごわボキボキの桂花の麺ではなく、表面がつるつるして太さも若干細くなったような麺は以前より無個性になった普通の麺だ。
いや、もしかしたら以前と麺は変わっていないのかもしれない。私の感傷がそう思わせているだけなのかもしれない。

しかし何百回食べたか分からない当時のラーメンとは別物に感じられるというだけで、私と桂花の親密な関係が既に過去のものであるということが明らかだ。

本質を喪失した桂花の残滓のような店舗で私がすすったのは、私の青春の残滓であった。