LTアマダイ漂流記

釣りはなんでも面白い。
だからこそ困るとも言える。
 
多くのターゲット、そして同じターゲットを狙うにしても様々な釣り方があり、更に新たな釣り方がどんどん編み出されている。
 
・・・。
 
究めようなんて到底無理な遊びだ。いや、端から究めようなどという気は更々無いのだが、それでもこの奥の深さには脱力感を感じることがある。
 
つまり、まだまだ未知の面白い釣りが沢山あるというのに、限られた俺の一生と可処分所得ではこの遊びの真髄の一端に触れる事さえ叶わないのではないか?、と。
 
多くのサンデー・アングラーがぶち当たるであろう壁、ここでの対処方法でアングラーは大きく2種類に分けることができよう。
 
様々な種目にチャレンジする「広く薄く系」と、特定の種目にのめりこむ「狭く深く系」である。
 
何かを身につけるのに人より時間が掛かるという性質と、極めて限定的な可処分所得しか持ちえないという経済的事情、そして比較的しつこい性格が合わさり、俺は何と言っても後者「狭く深い…いや狭いけど深くは無い系」なのである。
 
アオリにはまれば月に5万回ぐらい長竿をしゃくりまくり、カワハギにはまれば月に5万個ぐらいのアサリを針につけ、タイラバにはまれば5週間ぐらい連続で一度もアタリが無かろうとも虚しい誘いを繰り返す。
 
そんな訳で沖釣りを初めて3年半、俺はいまだに王道のアジ釣りすらやったことのない偏ったアングラー
であり続けているのだ。
 
このようなスタイルを続けていると、当然ながら世界は広がらない。
 
手持ち釣り種目ポートフォリオにおいて一定レベルに達し新たな発見が少なくなっていた昨秋、ここは未知の釣りにチャレンジするべきタイミングなのではないかと考え、好調に釣れ盛っていた相模湾LTアマダイに目をつけた。
 
電動リールとコマセを使わないという自分内ルールに合致し、更に手持ちの道具で出来そうで、尚且つターゲットは魚屋なんかではまずお目に掛かれない超高級魚!
 
そして気が付けば初挑戦となった11/18から最終戦となった3/17に至るまで、実に14回乗船、総釣上数74尾、ボウズは0回、竿頭2回、最長魚51㎝1.5kg、最重魚49㎝1.6kg、かなりの相性の良い釣りとなり非常に楽しめた。
 
本当はもっとやりたかったのだが、春の濁り潮&水垢が相模湾を覆い尽くしたことで乗合が終了となってしまった。
 
今年掴んだ感覚を来たるべき来季に向けて忘れないように、備忘録的に総括しておこう。
 
①誘いについて
「誘いが大事」という割には置き竿のアングラーに連発することもあったり、この釣りの肝である割には謎が多くて正解がないような“誘い問題”。
11月末の最盛期に配船の都合で36人の客を1隻に乗せ片舷18人という無茶苦茶な状況に陥ったこの日、俺は左舷のど真ん中という最悪の釣座で船中もボウズ多発の0~10尾という状況の中で9尾釣って(正確に言えば“釣れて”)次頭。この日はグラス製ティップを搭載したタイラバ・ロッドを使っていた為に殊更感度が悪く、苦肉の策的にフグのタイム釣りよろしく3~5秒に1回誘っていた。
これが良かったのか?しかし釣れたサイズがいずれも30㎝未満のハナッタラシばかりだったのが実は重要なポイントだった。
次回乗船時はなんとアマダイ船3隻出しで片舷5人とようやくストレスの無い釣りが実現したのだが、前回と同じようにフグのタイム釣りよろしく誘いまくったら外道のオンパレード。本命も僅か4尾に終わった。
ところが俺が誘いまくっている時に隣の釣座の置き竿のオッサンに良型が連発!
どうやら誘い過ぎは逆効果なようだし、誘い上げるスピードも今までは早すぎたのかもしれないという仮説を導き出した。
その後誘いの間や誘い上げのスピードを色々変えて試行錯誤。
魚の活性や、乗船人数や、潮流れによって状況はコロコロ変わるが、待ちを7秒、誘い上げは3秒で1mというスピードが基本の攻め方として確立するに至った。
51㎝も、49㎝もこの誘い方をしている時に誘い上げの途中で食ってきた。
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②タナ取り
誘いまくっても食って来ないこともあれば、置き竿に食ってくることもある。
つまり、誘い以上に大事なのはこの“タナ取り”である。
潮の速さによってオモリを上げる高さを調節することは勿論、フラットな地形のポイントであっても船を微速前進は後退した時にタナボケしていることが多い。
2~3回誘ったらタナを取り直すことが大事だし、タナを取り直した直後に食ってくることも多い。
 
③視線
テンビンつけて、5連サルカンつけて、80m前後、時には100m以上の深場をオキアミ1尾付けで狙う釣り、外道(乃至は本命)にオキアミの頭だけ齧られるような小さなアタリはまず手元に伝わらない。
しかし、オモリを底から浮かせている為竿先には常にテンションが掛かっており、よく見ると手元に伝わらない極々小さなアタリが竿先に出やすいことが分かってきた。
オキアミの目玉がバイト・マーカーなので頭が取れたオキアミでは外道すら食ってはこない。
こうして小さなアタリを見極めることで、頭が取れたエサで誘っている無駄な時間を省くことが出来る。
 
④アワセ
結構バラしたし、これは課題。
しかしアタリ即電撃アワセよりまずは聞きアワセ、そして重みを感じてからやや強めの追いアワセが一番バレが少ないように思う。
 
他にも色々あったような気がする。
掴みかけた感覚を忘れないように(最近重要なことから順番に忘れていってしまうのだ…)、2013年相模湾アマダイ釣りのシーズンを待つとしよう。