2011納竿・・・12/30川崎中山丸

早いもので2011年最後の釣行である。

納竿ともなれば一年の締め括りにお世話になった船宿に顔を出したい気分もあるのだが、今年は特に“納竿だから”と気負うことなく、釣りたいモノを釣りに行くことに。
これもまた釣り納めの一つの形ではある。

そんな訳で訪れたのは川崎の中山丸。
狙うのは数日前から急上昇の冬タチウオだ。
今年タチウオ・デビューを果たし、おまけに太田屋の午前タチウオ船に1人で乗り込むなど、すっかりタチウオ・ジギングの虜になった感のある地元の友人(仮にA君)も同行である。

船は14人(だか15人)の客を乗せて一路観音崎沖へ。
北風強まる予報だったがこの時点では大した事無く順調なクルージングで50分ほどかけて観音崎沖に到達した。

全盛期に比べると船の数は随分と少ないが、それでも密集したタチウオ船団が形成されており群れが固まっていることが予想される。良い傾向である。

暫くの探索の後船団の端っこに加わる形で実釣開始!
水深は84m、反応は底から20mと幅広く出ているらしい。
すると、
「ヒット!」
いきなり大きな声が聞こえた。見ると大ドモのアングラーがいきなり竿を曲げている!続いて左舷トモ二番手のアングラーが竿を曲げた!
これはまさかの入れ食いか!!!???

…。

どうも出会い頭の事故の様だった。

俺も友人(仮にA君)も早々に本命の顔を拝むことは出来たが、全体的にアタリは極めて少なく、最近お決まりの「反応はあるけど口は使わない」という撃沈パターンに陥っていた。
大体水深が80mもあると手返しが悪く、マメにルアー・チェンジする気力も起こらない。
なんだってこんな深い水深の場所であくせくワンピッチ・ジャークを繰り返しているのか疑問に思わないでもないが、深いことを承知で来ているのだから当然文句を言う資格などないのであった。

下げ潮が利き始めると、段々と北風も強まってきた。
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そして風のみならず、上ッ側の潮がカッ飛び始め、徐々に釣り辛い状況になってきた。

それでも活性の上がらぬ魚、繰り返されるオマツリ、全く好き好んで冬タチウオのジギングをやる奴なんて真性の変態である。
でも考えてみれば水深10mで釣れるタチウオよりも80mで釣れるタチウオの方が俺も好きだ。
何故ならば釣れた時に味わえる「報われた感」が強いからであり、これは厳冬期のアオリやタイラバでも同じことである。

この不確かで不公平で不条理に満ちた世の中において、努力が正当に報われるということが如何に少ないことか?
それでも生きる以上は報われなかったとしても努力を止めてはいけない、それが世に蔓延るアイロニーである。
生きることの困難さに比べて水深80mのジギングなど屁でもない。そして努力が報われる確立が高いのが冬タチジギングの良いところである。

…。

ううむ、どうも満たされぬ思いの代替行為として釣りをやっているような気分になってきた。
このように釣れない釣りをやっていると俺の思考は止め処なく分散していくのである。
集中、集中。

昼前の事だったか、根掛かりの少ない観音崎タチウオで、俺のルアーがガッチリと根掛かりした。
ん?しかしハンドルを回すと重たいながらもなんとか巻ける。
結果的に言えばそれは朽ち果てた長いロープの残骸だったのだが、水圧を受けてやたらと重くなったそのロープを80m以上の海底から引き揚げることは凄まじい重労働である。
やっとの思いで引っ張り上げた時には疲労困憊、冗談でなく肩で息をしているような状態で体力の大半を使い果たしてしまったかのような徒労感を味わった。
もういや!
俺は昼飯休憩でリフレッシュすることに。

昼食を終え僅かながら体力も回復、戦線に復帰するといきなり1投目で良型がヒットした!すわ、昼飯効果か!?と思ったのだがどうやら活性が上向いてきたようで全体的にポツリポツリと釣れるようになった。どうもタチウオにとってもようやくランチタイムが訪れたようだ。

そしてただ釣れるばかりではなく、釣れてくるタチウオのサイズがデカイ、デカイ!
レギュラーで指4本、時に指5本以上のドラゴンが混じる展開で、数は釣れなくても引き味を堪能するにも食べるにしても数本あれば充分と言う感じであった。

結局沖揚がりの時点で俺の釣果は10本、指4本~5本の良型が揃い(不思議とそれ以上のサイズもそれ以下のサイズも全く混じらなかった)、20本釣った時以上にクーラーはパンパンになって今年の釣りを終えた。
友人(仮にA君)も良型中心の7本、お互い良い2011年の締め括りとなった。
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【釣果】
7時出船、14時30分沖揚がり
タチウオ10本

【タックル】
ロッド:TENRYU OCEANIA OC581B-4
リール:SHIMANO SPEEDMASTER201
ライン:PE1号、リーダー:フロロ5号、先糸フロロ40lb

ロッド:ZENITH零式 LIGHT G-TOP L 
リール:SHIMANO スコーピオンXT1501-7
ライン:PE0.8号、ハリス:フロロ4号、先糸フロロ40lb


【本日の総括】
家に帰って魚を捌くと、全ての個体が産卵直後のメスだったようで、はたいて萎んだ真子が申し訳程度に入っていた。
ここのところ急激にタチウオの食いが良くなってきたのは、一斉に産卵を終えたメスが荒食いを始めたからなのかもしれないな。
でもタチウオっていつ釣っても結構真子や白子が入っていて、産卵期がいつなんだろう?という疑問もあるのだが…。

さて、この産卵直後の巨大メスだが、脂のノリが凄まじく、ラーメン二郎において高い頻度でアブラコールをする俺にとってもかなりヘヴィ、塩焼き二切れで強烈な胃モタレと胸焼けを引き起こした。
更に味も大味というか、甘味・旨みが足りない感じがする。
よって旨みを凝縮する為に、大量の味噌漬けとミリン干しを作った。
なにしろ2011年を締め括る大事なターゲット、工夫を凝らして美味しく食べる義務が俺にはあるのだ。


これをもって2011年の釣行は終了である。
2011年は生涯忘れることの出来ない大災害と大事故を目の当たりにした一方で、釣りに関しても絶不調、記憶に残るような釣りが殆ど無い盛り上がりに欠ける一年となった。
しかし、「無事に健康に1年間釣りを楽しむ」という事がいかに大事で幸福なことか、思い知らされた年でもあった。
まだ終息しない放射能問題も含めて、自分と釣りの関わり方の根源を考えさせられた年であるし、こうして今尚釣りを楽しんでいることが俺の生き方の結論でもある。

それでも強いて一番の思い出釣行を上げるとすれば8/3平塚庄三郎丸でのシイラ釣りである。
俺自身結構な数を釣ったが、同船者がでっかいキハダ・マグロを掛けたのを目の当たりにして大興奮、そして沖揚がり後に閉店時間直前のラーメン二郎藤沢店に滑り込み、短い夏休みを心ゆくまで満喫した。

来年はもっと記憶に残るような釣りをやりたいと思う。
しかし相手があっての釣り、自分の思いだけでは如何ともし難い。まあそれが釣りの面白いところでもある訳だが…。



さて、本記事を以って今年のブログ納めとしたい。
壊れかけのパソコンを相手に記事を書く作業は、ただでさえ文章を書くことが好きではない俺にとっては結構な苦行で、今年は携帯からクソのようなラーメン記事を投稿してお茶を濁すことが多かったとやや反省している。

苦労して書いた記事は、後日読み返した時に自分にとって大いなる励みや癒しになったりするものである。
来年も何本かは自分の為になるような記事が書ければ良いと思う。
自分の文章は時に自分を絶望させるに充分であるが、時には自分自身を治療する効果もあるのだ。
それこそが自分が駄文を書き続ける理由の最たるものである。


最後にこの記事をご覧頂いている皆さん、特にコメントを下さった皆さん、今年一年本当にありがとうございました。
こんな駄目ブログでも出会いがあったり、読んでくれる方がいるということが励みになり、飽きっぽい自分が4年以上も細々と続けてこれたのだと確信しています。
皆様にとっても、勿論私自身にとっても2012年が幸多かれと願います。

来年もどうぞ宜しくお願い致します。


2011年 完