「行ってきます。」・・・らーめん用心棒本号

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仕事で一山越えますと、ホッとしてやる気が失われたりします。

おまけに今年は梅雨明けがやたらと早く7月上旬から猛暑が続き、暑さに極端に弱い私は既にバテバテだったのでございます。

・・・。

「・・・行ってきます。」

行き先を示す会社のホワイト・ボードに“メシ”と書き込むと、私は荷物を持って会社を出ました。

それが誰であろうと、会社の人間などと一緒に食事をしたくない気分だったのであります。
そして会社近辺の店で食事をして、偶然会社の人間と居合わせるような事態も受け入れる事は出来ない、そんな精神状態でありました。

私は地下鉄に乗りました。
そして「東大前」で降りました。


辿り着いたのは“らーめん用心棒本号”。
らーめん、まぜ魚粉、ビールの食券を購入して着席しました。

単刀直入に言えば、この日は昼食にラーメンとビールを欲していたのですが、欧州の一部においては普通とされるランチ・ビールもここ日本に於いては推奨されないどころか反道徳的行為と見做されかねない為、会社の人間が決して足を運ばないであろうちょっと遠くの店に狙いを定めたのでございます。

席を決め、食券を出し、本を読みながらビールをチビチビやっていると、程なくトッピング・コール・タイムがやって参りました。

「野菜、辛たま、ニンニク少し。」

トッピング・コール・タイムが訪れる前にトッピングを心の中で決めておくこと。それこそが唐突に訪れ、かつやり直しのきかないトッピング・コールをそつなくこなす唯一の対処方法なのです。

トッピング・コールへの万端の準備が奏効して過不足なく私の欲求を店員に伝えることが出来ました。

しかしこの日のスープは何時に無くしょっぱく、辛たまは玉ねぎの刻み方が何時に無く細かい上に辛みが強烈でありました。

「ここのブレも侮れないな。」

店舗毎の味のブレは勿論、同一店舗に於いても日によって、或いは店員によって味が変わるということはラーメン店、特に二郎系においてはよくあることです。

画一的に平均を上回る作品が提供されることは安心感という観点において好ましいものですが、ブレはあるけどアタリが出たらとんでもないものに出会えるという“一期一会”には中毒的かつ背徳的な魅力があるものです。

『次回は豚入りにしよう。脂コールもあった方がいい。』
そう一人ごちて店を出ました。

会社を出てから戻るまで丁度1時間。
この作戦は今後も相当の頻度で使うことになるやも知れません。


おわり。