基準値の相違・・・6/6千鯛丸

え~っと、どこから書けばいいものか。

昨年こちらのエキスパートの方に誘って頂いて初めてやってみた野毛屋のウイリー・ハナダイ。予想以上の面白さとハナダイの旨さにすっかり魅せられて、昨年のクリスマスイブに上州屋で6割引で売られていたアルファ・タックルのウイリー・ハナダイ用ロッド、エアボーン・スティック60F-200なるものをを衝動買いしてしまったんですよ。

しかし附属のバットはトリガーがついていないタイプ、これは疲れてきたり釣れなくて集中力が切れてきたら、竿を海に落としてしまうリスクが高いのではないか?と1回使ってみて不安になった。

調べてみると、エアボーン・スティックに適合するトリガー付きのバットが発売されていることが判明した。
しかしこれが安くても7500円ぐらいするので、ちょっと割高だなぁと二の足を踏んでいた。
なにしろ竿本体と別売りバットのセットを1万円程で購入したのだから。

そんなある日、偶然YAHOO!オークションで新品のエアボーン・スティック30T-200にトリガー付きバットがセットになって出品されているのを発見した。
目当てはあくまでもバットなんだけど、30T-200ってどんな竿なんだろ?
でググってみると(死語?)、またまたまたまたこの方のブログで“フグには無敵のロッド”と紹介されているのを発見!
湾外フグは湾フグ好きの俺にとってこの先避けて通れぬ道、かといて繊細な湾フグロッドを湾外で使うのは憚られると思っていた折、これは竿ごと欲しい!

そんな訳で入札に参加したのだが、ライバルが少なくて8000円で落札出来ちゃった!
ラッキー!

で竿が届けば釣りに行きたくなるのが人情というもの。
大原は禁漁期間に入ってしまったし、どこかで釣れる場所はないかと調べてたら見つけたのが千倉の千鯛丸。
ここもまたcalmさんお気に入りの船宿らしい。
これはなんか導かれているな。

という訳で友人(仮にA君)を誘って一路千倉へ!

集合が午前4時半という激早時刻なので、ほぼ徹夜に近い状態で午前2時に出発。
しかし館山道全線開通の恩恵で、約20年振りに訪れた南房総は思いの外近く、3時半過ぎには千倉に到着した。

しかしこの頃大島では17mの南西暴風が吹き荒れており、いくら地形的に風裏になるとはいえ出船出来るのか若干不安になる。

4時20分頃に軽トラに乗って船長が現れた。そして予約順に釣座のリクエストを聞いてまわる。我々の順番は最後で、釣座は左舷のど真ん中となった。
事前に船長から満船と聞かされていたが、定員10名で打ち切りとのことで、片舷5人とゆったり釣りが出来る。
「今日は窮屈でスイマセンね~。」と船長はしきりに恐縮していたが、なんのなんの、白子全盛期の湾フグ船に比べたら、むしろ大名釣りに近いですよ。

5時出船と聞いていたのだが4時40分頃には強風を切り裂いて出船、この時期は千倉港から南西方面の白間津~白浜のポイントで白子持ちの良型が出るらしいのだが、波風強くて近付けないので今日は風裏で遊びましょうとのアナウンスがあった。

そして港前の水深20mのポイントで早くも合図があって実釣開始!
「たま~に根掛かりがあるかもしれないので気をつけてねぇ~。」と船長のユル~~~イアナウンス、どうやら根周りでなく底は砂地であるようだ。
初めての25号カットウ、初めての湾外フグ、釣り方がよくわからずとりあえず周りの方の様子を盗み見る。
するとアオリでも釣っているかのような電撃しゃくりに電撃アワセで釣っている方が多い。しかもしゃくりのストロークも1m程と深いようだ。

オモリからカットウ針までのハリスが湾フグカットウよりも長いので、ストロークが多少深くなるのは理解できるが、電撃アワセは果たして有効なのであろうか?
「引っ掛ける」のではなく、「誘って乗せる」イメージの湾フグとはかなり色合いが違う釣りのようだ。

「朝のうちはねぇ~喰いが渋いですけどねぇ~、フグは居ますからねぇ~、そのうち時合いが来たら必ず喰い出しますからねぇ~~~。」

「・・・。」

なんかこの船長、ユル~~~~~~~いマイク・アナウンスを延々と続けている。
言葉の端々がなんか面白くて思わず笑ってしまう。
常連さんも皆さん気さくで船上は和気アイアイムードが漂っており、非常に雰囲気の良い船だ。

さて俺のファースト・ヒットはというと根掛かりと勘違いした大きなカスザメであった。
この不気味なサメは我が沖釣り史上初めて目にする魚である。
しかし反対舷の方とオマツリしながら上がってきてしまい、そうこうする内に喰わせ仕掛けのハリスが切れてカットウもろとも海へと帰っていった。

・・・。

幸先が悪い。

カットウを新しいオレンジ色のものに変えて戦線に復帰。
すると程なく餌を啄むようなアタリがきて、東京湾風にソフトにアワセると、
“グイッ!”
“キターーーーーー!!!”
一気に巻いて引っこ抜くと、それは20センチ程のショウサイフグだった。嬉しいことは嬉しいが、これでは白子は期待出来まい。
「今日やるポイントはそれぐらいのサイズが多いよ~~~。」と船長が操舵室から顔を出しユル~~~~~~~く言い放った。

しかし1尾釣って確信したことがある。
それは周りのようにビシバシとしゃくらなくても東京湾のようにソフトなしゃくりで充分に釣れる、と。

竿の感度が良いのか、それともアオヤギの餌持ちがいいからなのか、フグのサイズは中小型が多くてもアタリはハッキリと出る。
そしてソフトに聞き上げるようにアワセると、
“グイッ!”

やばい、面白い!

7時前に早くもツ抜け、白子持ってそうなフグはそのうち1尾だけだが湾フグとシビアな勝負を繰り返していた俺にとってはパラダイス銀河のようだ。
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それでも船長は仕切りに「渋い、渋い。」と言っている。
これは“基準値の相違”ということなのであろう。


もはや釣り方は東京湾と全く同じである。
東京湾方式でも釣れる”ではなく“東京湾方式の方が釣れる”と確信したのだ。

「おかしいな~~~~~、昨日みたいな時合いがないな~~~~~、なんかスイマセンね~~~~~。」
船長の激ユルトークは続く。
千倉沖では時間はゆっくりと流れるのだ。


「今ね~~~、11時半なんでね~~~、いつもだったらそろそろ魚捌いてね~って言う時間なんですけどね~~~、今日は渋いからね~~~、もう少しやっていきますからね~~~~~。」
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いや、全然渋くないし、俺もうお腹一杯だし!
でも、
「昨日の竿頭と同じぐらい釣っちゃって~~~。」
と船長に満面の笑みでユル~~~~~く言われたら、頑張るしかないじゃん!

結局30分の延長で沖上がりは12時30分。
俺はショウサイフグ35尾、友人(仮にA君)は23尾と共にフグ釣りの自己記録を大きく更新してフィニッシュとなった。

港に着いて船長に料金を払いに行くと、
「今日は海悪くて良いポイントに行けなくてスイマセンね~~~~~。」と謝られた。
しかし船中釣果11~35尾って、東京湾水準なら爆釣と呼べる数だ!

恐縮する船長に、我々は「非常に楽しかった。」と礼を言ってから出発した。
それは社交辞令ではなく、心からの本心であったのだ。


【釣果】
4時40分出船、12時30分沖揚がり
ショウサイフグ35尾(外道:カスザメ、カワハギ、サバフグ、キタマクラ)

【タックル】
ロッド:エアボーン・スティック30T-200
リール:カルカッタ・コンクエスト301F
ライン:PE1号

【本日の総括】
中小型主体だったので、35尾中持ち帰り可能な白子は4尾のみであったが、まあ4尾分も白子があれば食べるには十分。
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一方身は十分過ぎて、それからの一週間フグを食べつづける羽目に。
刺身、タタキ、テッチリ、焼きフグ、ムニエル、漬け、味噌焼き・・・。

正直当分の間フグなんて食いたくない。


でもこの日釣ることが叶わなかった白間津~白浜で季節限定の白子持ちデカフグをガンガン釣ってみたい!

という訳で近い内に再訪は必至なのである。
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