社会人としての退行とアングラーとしての向上…11/13太田屋

たまには午前半日船もいいものだ。

釣りを終えて、身内と友人に獲物をおすそ分けしてから帰り、道具を綺麗にして洗濯をしてシャワーを浴びてもまだ2時。
釣りだけに休日を捧げるのではなく、家事も出来れば新聞だってゆっくり読める。
そんな訳で当日の釣行記を書ける時間的・体力的余裕もあるのです。


さて、今日のお宿は金沢八景の太田屋。
狙うはカーマ・カメレオンなお相手、タチウオだ。

水曜日に船中0~1本と大撃沈した影響で昨日は客が集まらなくて出船できなかったとのこと、なかなか痺れる状況ではある。しかしタッチーは気まぐれだから今日はすっかりゴキゲンが直っているかもしれない。まあ出たトコ勝負だ!

定時を5分程遅れて出船した船、30分程走って観音崎沖のポイントに到着してみれば、既に密集気味にタチウオ船団が形成されていた。これは群れが固まっている証拠、幸先が良いと言えよう。
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into the 大船団なう。

「水深は81m、どうぞ!」と合図があって実釣開始!
反応は底から10m以内に固まっているようで、ジグを着底させてから20mを繰り返し探る。
すると、
“ドンッ!”と衝撃、
“いきなりキターーーー!”
深い海の底からタチウオを引っ張り上げてくるのは疲れる。しかし苦労してこそ報われる思いもある。
電動リールなんてクソ喰らえ!
…。
しかしタチウオの引きってあまり面白くないんだよな・・・。
やり取りの面白味も醍醐味も全くなく、ひたすら重くなったハンドルを回してようやく魚体が見えてきた頃にはいささかグッタリ。お!ナイス・サイズじゃん!これを手巻きで獲るからこその喜びが・・・しかしその苦労した獲物が抜き上げたと同時にフック・アウトして大海原へとお帰りになられたのだった。

「…。」

疲労、2倍。

まあいいや、逃げたもんは仕方ねえ。
来る者を拒むことはあっても去る者は追わないというのが俺の行動基準のひとつなのだ。

さて、その後もバイトは結構あるのだが、フッキングしないかフッキングしたとしても掛かりが甘く巻き上げ途中でバレてしまって全く魚を上げることが出来ない。
どうやら“食い気はあるが食いが浅い”というのが今日のタッチーの傾向と対策のようだ。
まるで「お腹空いた。」と散々言ってたくせに、いざ飯を食べに行くとガッツリ残しちゃう我が儘な女性のようですな。
ならば食べ易くお膳立てしてやるのが男の甲斐性ってもの、試しにリーリング速度を落としてやると・・・

“ドンッ!”
“ズンッ!”
“ドカーン!”
“ズドーン!”
“ボカーン!”
“ズシーン!”
“バカーン!”
“イヤーン!”

hahahahahaha、見事にハマって連チャン、連チャン!

スローなリーリングは勿論、時折リーリング自体止めてみるのも実に効いた。

不遇な中間管理職として、または幸薄い家庭人として周りに振り回された結果、俺は疑心暗鬼で人の心が良く分からない人間になってしまったように感じていたのだが、引き替えにタチウオの気持ちが妙に分かるようになったのかも知れない。喜ぶべきか?
いずれにせよ人生はいつだってプラスとマイナスで構成されているのだ。

沖揚がりはいつもより10分早い10時50分。
17本の釣果は竿頭のオマケもついて納得、上出来、出来過ぎであった。
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【釣果】
7時出船、10時50分沖揚がり
タチウオ17本

【タックル】
ロッド:TENRYU OCEANIA OC581B-4
リール:Abu Garcia Salty Stage REVO BJ-L
ライン:PE1号、リーダー:フロロ6号、先糸フロロ40lb

【本日の総括】
どちらかと言えばテクニカルな要素は皆無に近いと思っていたタチウオのジギングだが、今日はパターンを見つけるまでは全く釣れず、ハマった後は釣れ続けた。
タナが散らばればジギング有利、固まれば餌釣り有利とも思い込んでいたのだが、今日は終日底近辺にタナが集中していたのにも関わらず餌釣り以上に釣れた。

ことほど左様に思い込みとはアテにならないものだし、釣りの奥深さも底知れない。
いずれにせよ今日俺の釣りに関する知識の箪笥に新たな引き出しが増えたことだけは間違いない。
引き出しが増え過ぎると却って迷い過ぎて釣れなくなる事もあるという釣りのパラドックスもあるのだが、まあそれはそれとして・・・。

さて冒頭に記した通り、獲物は実家の両親と妹家族、そして友人(仮にA君)にお裾分けしてから帰った。
2~3本だったら喜ぶ家族も8本置いてきたら困惑気味だったし、友人(仮にA君)はいささかありがた迷惑に感じたかもしれない。

しかし食べてみたらきっとタチウオ釣りに行きたくなりますよ、っと。