BLACK FLAG 「The process of weeding out」

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THE SMITH、My Bloody ValentinePixiesRadiohead、RideがTOP5というような音楽人生を歩んでいた俺がUSハードコアに夢中になったのは、fOULbloodthirsty butchersといったハードコアを通過した国内アーティストの音楽を一時期熱心に聴いていたことによる影響以上に、我らがバンドのリーダー、通称・リーダーの影響によるところが大きい。

2010年のこの時代に何を今更という感じだが、今BLACK FLAGがとにかく最高なのである。

1stフル・アルバム「Damaged」のあまりの暴力性と破壊力と下らない歌詞に圧倒され、方向性の変わった「MY WAR」以降のアルバムは熱心に聴いてこなかったのだが、グレッグ・ギンの凶器のような狂ったギターと、怨念の塊みたいなヘンリー・ロリンズのヴォーカルが織り成す危険なハーモニーはむしろ「MY WAR」以降の方が完成度が高い。聴いてて疲れちゃうぐらいの切迫感、痺れる。

そんな強烈な個性がいつまでも歩調を合わせられる訳もないというのも想像に難くないわけで、1984年発表の「Family man」では前半“SPOKEN WORD”というヘンリー・ロリンズの詩の朗読だけで構成され、途中で1曲だけ演奏が絡み、以降の後半部はロリンズの居ないインストだけで構成されるという、アルバムの中で精神が分裂してしまったような凄まじい作品になっている。

翌85年に発表された4曲入りの「The Process of Weeding Out」は、そのFamily Manの後半部分の延長線上にある作品である。すなわち、この作品にロリンズはいない。

ハード・コアの代表格のように言われる彼等だが、実はその音楽性は多彩だ。
BLACK SABBATHからの影響を公言しているように、重く、遅いドゥーミーな曲もあれば、プログレやフリー・ジャズからの影響を感じさせるようなスケールも展開も通常のロックの枠に収まりきらない曲もある。
こういった多様性が、“ハード・コアとしてのBLACK FLAG”を愛するファンから当時相当にバッシングされたと聞く。

確かにこのミニ・アルバムに収録された4曲はいずれもハード・コアっぽくはない。10分弱の長尺の曲も2曲あるし…。
しかしドコまで計算しているのか分からないグレッグ・ギンのギターは最高にスリリングだし、ブンブンいってるキラのリッケンも最高!
逆に“ハード・コア”というイメージでこのバンドは随分損をしているのではないだろうか?
そんな気さえする最高のロック作品だ。

「Damaged」だけがBlack Flag、そんな風に思っている人こそ聴くべき作品だと思う。

ところで、この「The Process of Weeding Out」というタイトル、直訳すれば“草を取り除く過程”ということになるが、これはグレッグ・ギンの“ハード・コアばかりを求めてくるうざいファンを取り除く”という思いが込められているそうだ。
ついでに当時WEED=マリファナ漬けになっていた彼等の、“ちょっとマリファナ抜かなきゃ”という思いも込めたダブル・ミーニングなのだとか…。

う~ん、本当にドコまでもカッコイイぜ!