相模湾上の前厄男達・・・8/23浅八丸

前回のあらすじ・・・大磯邦丸のシイラ船を予約していたDDVセンパイ(40)と俺(40)だったが、突発的に発生した台風が関東に接近してあえなく出船中止に。仕方なく昼から赤羽で大酒をあおりながら近日中のリベンジを誓ったのだった。これを俗に釣り用語で“チャングムの誓い”という。(嘘)

我々が事前に予定を立てると、当日は悪天候に襲われるというジンクス。単なる巡り合わせなのか、それともW前厄による負のセルテートじゃなくてツインパワーがもたらすものなのかは神のみぞ知るところだ。

しかし念には念を入れた俺は、とっくのとうに釣行は決めていたにも関わらず、直前に予約を入れることで神だか運命だかのいたずらをはぐらかす作戦にでた。

フッフッフ。今から台風が発生しても、俺達の船出を止めることなどできないぜ。

当日5時過ぎに平塚新港・浅八丸に到着すると、既にDDVセンパイが俺の分の釣座も確保してくれていた。右舷トモ2番手に俺、3番手にDDVセンパイという我々の布陣。最近釣果が安定しない相模湾シイラ、船ももう少し空いているかと思ったのだが総勢12名とそこそこ賑わっていた。

曇り時々晴れ。無風。海上はベタ凪。
無意味な作戦が奏功したのか、最高のコンディションだ!

定時5分前に出船した第16浅八丸は真っ直ぐ南に航路をとると、そのまま携帯が圏外になるほどの沖へ突っ走った。
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相模湾沖は澄んだ綺麗な潮色だった。泳ぎてえ~~~!

潮目に漂流するゴミの固まりが見付かって船はスロー・ダウン。
すると何の合図もないのにワレサキニと一斉にキャストを始める12人の乗客達!気合いが入っているようで滑稽な感じも拭えない船上の雰囲気が独特だ!

ミヨシでポンポンっとヒットしたが大きな群れではないようでトモまで魚が回ってこない。
その後しばらく潮目に沿って流し、漂流物が見つかると船を止めて拾い釣りのような格好が続いた。殆どヒットもないし、釣れても単発で終わる。

8時少し前、船は潮目に見切りをつけ更に沖へ、遥か沖へと突き進む。
そして南下に飽きると今度は西へ進路を取り走り続ける。
いつ止まるとも知れないあてのない旅のよう。ミヨシの客と船長だけがギラツイタ欲望を剥き出しにして魚の姿を追い求めているが、殆どのお客さんは寝ている・・・。
まあ朝も早いし、体力を使う釣りだし、なにしろ走り回っている間は退屈だ。

結局次にキャストが出来たのはなんと9時半のことだった。船は実に1時間半以上も走り続けていたことになる。何故時間を克明に覚えているのかと言えば、我等がDDVセンパイもご多分にもれず熟睡してしまい、話し相手のいない俺は携帯で写真撮ったり、時計を見たりぐらいしかすることが無かったからなのだ。

ペンペンシイラに混じってワフーとキメジも揚がったが、我々はノー・ヒット。
しかし時折ルアーをチェイスするシイラの姿を確認できるようになってきた!
どうも見た感じ魚はやや沈み気味でルアーの泳層よりやや下を泳いでいる。
俺はペンシルからジャークベイトにルアーを変えた。

今度は東へ向かう船。

・・・。

「・・・しかしとんでもない釣りですなあ。」と俺。

「・・・とんでもなくない釣りなんてないじゃん。」とDDV。(禅問答?)

・・・。

でも確かにそうとも言える。

しかし“比較的とんでもない釣り”にばかり俺が誘っているとも言えるのかもしれないが・・・。

気が付けばDDVの手にも俺の手にもマメができていた。
ゴッツイタックルでデッカイルアーをフルキャストし、激しくトゥイッチさせながらの高速リトリーブ。実釣時間が短かろうが、魚がかすりもしなかろうが、体力の消耗が激しい釣りだ。

と、巨大な流木に無数のゴミが張り付いた「いかにも!」なポイントを発見!
すぐさまミヨシでヒット!するとここでワラワラと大小入り乱れたシイラが沸いて来た!
「ヒット!」俺の右隣、大トモのアングラーにもヒットだ!しかし次の瞬間巨大魚が大ジャンプ!(うわわわ、デケエ!)と同時に「あああ、バレタ!」
ジャンプ一発でフックアウト。タトゥーが眩ばゆいDJ風船長が「今の130以上あったのに!」と叫ぶ。本日最大魚だったようだ。
すかさず俺はその巨大シイラが跳ねた所にルアーを撃ち込む。着水と同時にトゥイッチを入れていたら、大きな影がルアーに近付いて・・・
“ドンッ!”
「喰ったあああああああ!」
いきなり反転して船と反対方向に暴走する獲物!ドラグが唸りラインは放出されっぱなしだ。そして「跳ねた!」喰ったポイントから随分沖で跳ねたシイラ
「おおお!でかいぞ!場所を変わろう!」と大トモのアングラーが場所を譲ってくれた。寄せては走られ、また寄せてはまた走られの繰り返し、気分はヒロキ・マツカタだ!

「揚がりそうになったら言って。」と船長。
隣のアングラーも「落ち着いて!」とか「大丈夫大丈夫!」と声をかけてくれる。
しかし俺は、焦っているのか落ち着いているのか、大丈夫なのか大丈夫じゃないのか、そもそも魚を揚げる事が可能なのか無理なのか、何も分からなかったのだ。

魚が目の前に寄ってからも、船の下に潜られたり、ネットを見た魚が再び走ったりと気が抜けなかったのだが、どうにかこうにかネットイン!
船長が「おめでとう!110cmぐらいかな。」とランディングした魚を俺の目の前に。そして「これは持って帰りましょう!」と船首寄りに置いてある巨大クーラーへ誘導してくれた。
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帰港後DDVセンパイ撮影。

極度の疲労と満足感で以後は廃人と化した俺。
前回1匹釣った後は釣りをストップしてず~っと寝ていた釣り歴四十余年、弊社が誇るアラカン・アングラー・ちょいワルH氏(62)の気持ちが少しわかったのだった
・・・。

結構な大群れだったようで、その後も沢山のシイラがルアーをチェイスしているのが見える。そしてフィーバーを嗅ぎ付けた庄治郎丸と大磯邦丸の船もやってきて辺りは大騒ぎ状態になったのだった・・・。

その後も港のある東へ進みながらシイラを捜して行ったが大きな群れは見つからず。

右舷トモのアングラーがペンペン釣ったのを合図にしたように沖揚がりとなった。

【釣果】
6時出船、12時20分沖揚がり

【タックル】
ロッド:PALMS CORALSTAR 70M
リール:SHIMANO TWIN POWER SW5000HG
ライン:PE2.5号、リーダー:ナイロン40lb

【本日の総括】
帰港後にスタッフが計測したところ105cm。一応大物の一つの基準であるメーター・オーバーな訳で、非常に満足だ。しかし自宅から1時間足らずの相模湾でこんな魚が釣れるなんて驚きだなあ・・・。

我々が乗った船は遭遇しなかったけど、船の無線からは“2~30kgクラスのマグロが跳ねてる”とか“カジキが跳ねた”など恐ろしい言葉が聞こえてきたし、大スペクタクルです、相模湾

さて船宿で三枚におろしてもらったシイラだが、半分はDDVセンパイに持って帰ってもらったけど、それでも凄まじい量だ!
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俺はマグロ納豆ならぬシイラ納豆温泉卵添えとシイラのソテーえのきソースの2品を作ってみた。
まずくはないけど旨くもない。それがシイラだ。

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こちらは料理が趣味のDDVセンパイの作品。
フライは旨そうだなあ。

大枚叩いたタックルがキッチリと仕事をしてくれて満足もしたし、愛着も湧いてきた。
一応シイラ専用という触れ込みだけど、スペック的にはPE4号まで対応しているこのロッド、ブリやヒラマサ、30kgクラスのキハダマグロ相手にも充分通用するらしい。

・・・。

今度は“美味しい巨大魚”でも狙ってみるか・・・。

ヒロキ・マツカタ編 つづく。