BAND ON THE RUN

2週間ほど前の話になるが、土曜日に仙台出張が入った。
というわけで俺はサオを抱えて新幹線に乗った。
サオと言っても釣竿ではなく、ベースだけど・・・。

俺の出張にあわせ、我等がバンドMoritaheadのメンバー四人のうち三人までもが楽器を携え仙台まで駆け付けてくれるというのだ。

最近メンタル面がいささか弱り気味の俺、弱り目に祟り目的に仙台での仕事も非常に胃が重くなるような種類のものだった。
しかし翌朝から杜の都の汚いリハスタで爆音を鳴らしたこの爽快感!(俺達以外の)誰の人生にとっても何らかの足しになることは絶対にないであろう俺達の楽曲群は、少なくとも確実に俺を癒す。そして俺達のテンションを高める。
俺達だけの為にこのバンドが存在しているのだとすれば、この上なく内弁慶でこの上なく幸せだ。そう
だろ?精神科の名医が俺達の専属でいるみたいなものだからな。

さて、何人で釣りに出掛けようとも釣場に着けば己と魚の一対一の勝負。一人で行っても二人で行っても大勢で行ってもそれなりに楽しむことができるが、基本的に個人完結型の遊びであり、ランディングをサポートする程度しか共同作業はできない。
ところがバンドはワンピースでも欠けると著しくバランスが崩れてしまう。この日の仙台練習に最年長メンバーPは家庭の都合で参加ができなかった。で、我々はPのパートを丸ごと抜くか、誰かが代用することで曲を奏でることとなった。(数曲は演奏することすらできなかった。)すると、なんとか曲ができたという安堵感よりもP不在の欠落感を強く意識することになる。
ここには世界の縮図があり、家族の結びつきの一面を表し、システムの本質がある。つまりそれぞれが微妙かつ絶妙なバランスを保つことによって我々は有機的な集合体たりえているということだ。


スタジオを後にした俺達はまずツアーに出ているミュージシャンよろしく地元名産を食す為に牛タン屋に入店。その後新幹線で帰るというライスと別れ、リーダー、fIVE、俺の三人は市内の楽器店を物色した後、リーダーの車でTOKYOへと向かったのだった。


今自宅でこのMDを聴いている。
完全な身贔屓だが恰好良い。
でももう少し上手くなりてえなあ・・・。