どうでもいい話

『京の着だおれ、大阪の食いだおれ』とは慣用句なのか諺なのか故事なのがよくわからないが、昔から良く耳にする言葉だ。
しかし2008年にこの言葉にリアリティがあるかというと、個人的には全くピンとこないし、多くの方が俺の意見に同意してくれるのではないかと思ったりする。。
日本人が普段着としての和服を放棄し幾年月、今現在の京都が服飾品の中心地では無いことは議論の余地が無いように思う。じゃあ現代の着倒れシティは何処かと問われると困ってしまう訳だが…。(う~ん、う~ん、やはり東京か?)

そして大阪フードの数々、お好み焼き、たこ焼き、串カツetc。これらは確かに旨いが、個人的にはジャンク・フードの範疇に区分されるべき食物だ。アメリカのハンバーガー、イギリスのフィッシュ&チップスと同じような匂いがする。決して蔑んでいるわけではなく、これらの食べ物はむしろ好きなのだが、“食事”という概念とは若干異なり、“おやつ以上食事未満”とでも言うべき微妙な立場にあるように思う。だから俺としては“お好み焼きをおかずにライスを食べて食事にする”という行為は“ポテトチップをおかずにライスを食べる”位の違和感がある。そういう意味では今まで訪れた都市の中で、最も“食い倒れ=食道楽で身を持ち崩しそう”な街は個人的感想で言えばずばり福岡だ!素材良し(魚の旨いこと!)、郷土料理良し(ああ、モツ鍋、ゴマサバ…)、ジャンクフードよし(おおおおっ、トンコツラーメンに餃子…)、そして安くて旨い焼酎(あ、これは多くが鹿児島産だが…)、三年ぐらい赴任したいね、まったく。

そんな大阪フードに対して特別な思い入れもリスペクトも無い俺だが、ひとつだけ最高に羨ましいシチュエーションがある。それはたこ焼き屋でビールが飲めることだ!
なんばのNGK近くに1階でたこ焼きと生ビールを買い、2階の座席でゆっくり飲み食いできる店がある。焼きたてアツアツのたこ焼きと良く冷えた生ビール…。この組み合わせは最強だ!たこ焼きはビールのアテに供されるべき食べ物なのではないだろうか?っていう気がする程の完璧なマリアージュ!((C) 神の雫 )しかし都内でもその気になって探せばそこそこ美味しいたこ焼きは食えるのだが、“旨いたこ焼き”と“旨い生ビール”を同時に頂ける店というのはお目にかかったことがないように思う。いや、確かに知らないよ、そんな店!

普段乗り換えの為だけに使っているJR某駅。この駅前の薬局で俺の愛用する点鼻薬が異常に安く売られており、この時期(即ち花粉の時期)はよく途中下車をして立ち寄る。
最近の猛花粉のお陰で点鼻薬のストックが心細くなっており、本日も途中下車して件の薬局に立ち寄った。その帰り、気になる赤提灯を発見!『たこ焼き』の文字と3席ほどのカウンター、更に入り口脇は酒のメニューが…。
「これだ!」何も考えず店に飛び込み、ビールとたこ焼きをオーダー。するとヤル気の無さそうな店主が、冷えた鉄板に並ぶ萎びたたこ焼きを皿に載せ、あろうことか電子レンジへ入れたのだった…。

お祭りの屋台でさえここまでは酷くないだろう、たこ焼きとすら呼びたくない悲惨極まりない球体の物質。間違いなく人生最悪のたこ焼きと出会ってしまった…。しかもそんな家畜の餌のような代物を、いくら空腹だったからとは言え完食してしまった自分も腹立たしい!
たこ焼きは大阪のソウル・フード、関西ではこんな不味い店など一瞬で淘汰されるに違いないが、東京人の舌もしくはたこ焼きへの拘りはかくも寛容なのか…?

とりあえずこのまま一日を、そしてたこ焼きを締めくくるわけにはいかないと思った俺は、有名チェーン“京たこ”でテイクアウト用たこ焼きを買い求め、家でビールとともにいただいたのだった。

どうでもいい話、おわり。